[コラム:Spencer F. Katt]
クリントンがSAPカンファレンスをドタキャンした理由

2003/7/1


 往年の名捕手、ヨギ・ベラがMCIの展示ブースで来場者と談笑しているのを見て、吾輩は「ITビジネスもまだしばらくは大丈夫みたいだな」と思った。今年6月、ニューヨークのジャビッツ・センターで開催されたイベントは、PC ExpoでもTech Xでもなく、毎年春にドイツ・ハノーバーで開かれる巨大展示会をスケールダウンした米国バージョンの「CeBIT」だった。

 確かにラウンジエリアを備えたレイアウトはいつもと若干違っていたが、それでも吾輩にはいかにもジャビッツ・センターのトレードショーという感じに見えた。特に大きく異なっていたのは、国別に展示ブースがクラスタリングされていたことだ。しかし、展示会場を見渡しても、海を越えて持ち込まなきゃならないほど画期的な新製品はなかったね。吾輩が会場をうろついたのは木曜日の昼ごろだったけど、ブースはどこも閑散としていた。

 ところで、フロリダ帰りの友人からSAPのSapphireユーザー・カンファレンスに関する情報を聞き出しているとき、われわれのすぐ横を通り過ぎた人物がスイカ割りコメディアンのギャラガーだったのか、それとも彼の芸を盗んだ邪悪な兄弟、ギャラガーII だったのか、いまだに気になって仕方がないのだが……。

 それにしても、ビル・クリントンがオレンジ・カウンティ・コンベンション・センターで行うはずだった基調講演をドタキャンした理由はなんだろう? 表向きの説明では、カンファレンスのオープニングが火曜日から月曜日に変更になったため、出席できなくなったというもの。しかし出席者の間では、FOB(Friend of Bill:クリントンの友だち)で大統領選の有力な支援者だったラリー・エリソンが、オラクルのライバルであるSAPのイベントに出席するのはとんでもないと横槍を入れたからだ、とささやかれていたとか。

 本当のところは、ヒラリー・クリントンが真犯人かもしれないね。事実、前大統領はその日、ニューヨークで開かれた先代のファーストレディの出版記念サイン会に顔を出していたから。

 オラクルがクリントンに出席禁止令を出したかどうかは分からないけど、データベース製品の次期アップグレードの詳細については、厳しい言論統制を強いていることは間違いない。が、ある業界関係者の話によると、「Oracle 10i」には重要な機能が欠落しているという。次のアップグレードには、これまで同社が約束してきた新しいデータベース暗号化機能は搭載されない模様だ。突破不可能な(Unbreakable)セキュリティ機能は、いつまでたっても製品化の突破口(Undeadline)を見つけられないのだろうか……。

 それはさておき、今回のニューヨーク滞在のハイライトは、ブラックダック・レストランで開いた吾輩主催のおしゃべりパーティだった。酒とジョークの合間に吾輩は、マイクロソフトが今年10月のデベロッパ・カンファレンスで“Longhorn”の詳細を明らかにするらしいという情報を得た。

 また、ラップリンクのトップに就任したトム・コールが教えてくれたところによると、同社では来月にも新しいリリースを提供する見込みだ。今後6カ月にわたって発売する一連の製品の最初のものになるという。それらの製品によって、同社は大きなステップを踏み出すとか。

 おそらく今回のパーティで入手した最高の機密情報は、オラクルのインサイダーからのものだろう。そいつによると、ラリー・エリソンは髪を染めてはいないらしい。真偽のほどは定かではない。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Clintonian curveball dulls Sapphire luster.

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