[コラム:Spencer F. Katt]
エイリアンに憑依されたか、マクニーリ?

2003/9/30


 吾輩はふたたびサンフランシスコ湾のほとりにやって来た。今回の目的は「SunNetwork」カンファレンスの取材を兼ねて、マクニーリのジョークの切れ味が衰えていないかチェックするためだ。しかし、会場で手渡されたものは、寄生虫のような形のネバネバしたキャンディーの袋が1つ。パッケージには「食べられるワーム:SunNetworkでしか手に入りません」と書いてあった。きっとユーモアのわかる10歳くらいの少年には大ウケしただろうね。

 それにしても奇怪だ。サンのCEOは、記者から「新しいJava Enterprise SystemとJava Desktopの超低価格戦略は、レドモンドへの宣戦布告か?」と質問されたとき、マイクロソフトを徹底的にこき下ろすチャンスを自ら放棄したのだ。従業員1人あたり年間100ドル(両製品で150ドル)という価格は、「マイクロソフトに対する攻撃ではない」と、まったく彼らしくない態度で応じた。むしろ新しい価格戦略は、従来型のソフトウェアの配布方式、価格体系、ライセンス・モデルに対する挑戦なのだという。どうしちゃったんだい、マクニーリ?

 それはともかく、彼は3カ所あるという自宅のそれぞれに、合計6台のSun Rayマシンを持っていると自慢した。「みんなSun Rayなしで、どうやって仕事してるんだか不思議だよ」とマクニーリ。すると、1人の記者が吾輩の耳元でささやいた。「まぁ、われわれは普段、それを“ラップトップと無線ネットワーク”と呼んでいるけどね……」

 マクニーリは、サンの共同創設者で同社を近く退社するビル・ジョイについても言及した。彼によると、ジョイは「全世界が共有すべきリソースであり、どのような会社よりも大きな存在」だという。が、同時にこう付け加えた。「もっとも、ジョイと将来の偉大なアイデアを共有するのは、サンが最初でありたい」

 携帯電話の通話明細をチェックし、まだ無料通話時間が残っていることを確認してから、吾輩はThe Institute for Spam and Internet Public Policy(ISIPP)のCEO、アン・ミッチェルと長々と電話で話し込んだ。彼女がなぜ、電子メールに俳句を埋め込むソリューションを考案したアンチスパム会社、ハベアスのCEOを辞任したのか、どうしても理由が知りたかったからだ。ミッチェルはそれについてこう話した。「辞めてくれって言われたからよ。彼らはセールスやマーケティングの素養があるCEOが欲しかったの」

 ミッシェルの答えは正直なものだった。が、Mail Abuse Prevention System LLC(MAPS)の法務ディレクターであった彼女が、スパムに関する正しい認識と法律知識を持ち合わせていることを考えれば、そうした会社の方針には疑問を持たざるを得ない。先週、サンフランシスコでISIPPが主催したサミットの共同議長として、彼女は大手ISPやスパム・フィルタリング会社で構成されるワーキング・グループを主導し、その手腕が高く評価された。そのとき人々は尊敬の念を込めて、彼女を“電子メール配信のおせっかい女”と呼んだほどだ。

 さて、「Embedded Systems Conference」の出展企業が出席するザ・フェデラリスト・レストランのディナーに顔を出すため、吾輩は急いで飛行機に乗り、ボストンへ戻った。すると、レストランのテーブルは“Blackfin”の話題で持ちきりだった。もちろんツナではなく、ストリーミング・メディア・プロセッサの方ね。同チップをインテルと共同開発したアナログ・デバイセスは、今後登場するであろうネットワーキング製品で業界の本流を目指しているという。

 そのうち“アナログ・インサイド”なんてキャンペーンでもやるのかな? そんなことを考えていると、ソムリエはマテウスを頼んだ吾輩の意向を無視し、グラスに1999年のメルローを注いだ。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Aliens take over McNealy's body.

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