[コラム:Spencer F. Katt]
プレッシャーを感じていたビル・ゲイツ

2005/2/15


 「くそ、パンクサトーニー・フィルめ……」。全米一有名なグランドホッグ()の名前をMSNサーチに入力しながら、吾輩は悪態をついた。もう寒いのはいやだ。あと6週間も春を待ち続けるのは絶えられない。こうなりゃ、ヤツのねぐらを探し出して、むりやり引きずり出してやる……。と思って、いくつか検索エンジンで調べてみたけど、残念なことに、役立たずのウッドチャックの居場所を突き止めることはできなかった。

 モジラでFirefoxの開発を指揮していたベン・グッドガーが検索大手のグーグルへ転職した。同社で新しいアルゴリズムが必要になったら、きっと彼が考えることになるだろう。オープンソースの純潔性とストックオプションの魅力をスワップする少し前、グッドガーは自身のブログで、3月に予定されていた「Firefox Version 1.1」のリリースが延期されることを明らかにしたが、「私がグーグルへ移籍することが延期の原因ではない」と強弁している。

 天井裏のうるさいネズミどもを追い払おうと、テレビのスイッチを入れると、もう1人のフィルが現れた。カリスマ人生相談専門家のドクター・フィルだ。彼が、「誰かと一緒にいて病気であるより、1人っきりでも健康である方がいい」と断言したとき、部屋の電話が鳴った。かけてきたのは、いつもの友人だった。オラクルとピープルソフトのショットガン・ウエディングについて、最新情報を仕入れたらしい。

 彼の話によると、ラリー・エリソンはデータベース分野のライバル、IBMに最近しきりにラブコールを送っているらしい。ピープルソフトの顧客の多くが、ビッグブルーのコンサルティング・サービスを受けているからだ。ところが、IBMは今月末にラスベガスで開催するPartnerWorldで、SAPに最適化したDB2を発表するという。果たしてラリーは、サムライを振り向かせることができるだろうか?

 「知っていても行動しないのなら、なんの意味もない」と、ドクター・フィルがテレビで力強く語ったとき、吾輩のBlackBerryにメッセージが届いた。ハッカー集団「LOpht」のオリジナルメンバーで@StakeやIntrusicの創設者でもある“Mudge”ことPeiter Zatkoが、ARPAnetを構築したことで知られる古巣のBBNテクノロジーズに研究者として戻ったらしい。伝えられるところでは、政府系のセキュリティ・プロジェクト「Nice」を担当するもようだ。Zatkoは1998年に米上院委員会で、彼や彼の仲間なら誰でも30分以内にインターネットをクラッシュできると証言したことで有名だ。

 ところで、英国のタブロイド各紙は先ごろ、世界経済フォーラム(ダボス会議)の演壇で見つかったイタズラ書きのメモは、トニー・ブレア英首相のものだと盛んに書きたてた。しかし、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の関係者が、イタズラ書きはビル・ゲイツのものだと明かしたことから、筆跡鑑定家まで雇って殴り書きを分析させたタブロイド各紙は、とんだ大恥をかくハメになった。筆跡鑑定した専門家たちは、メモの書き手の心理を「意識を集中するのに苦心している」とか、「大きなプレッシャーを感じて不安定になっている」などと分析した。

 ドクター・フィルなら、ビルにどんなアドバイスをするかな? と大笑いしていたら、テレビから名医の声が聞こえてきた。「ときどき鏡を出して、自分の顔を眺めてみましょう」。

(注)ペンシルバニア州パンクサトーニーに住むフィルという名のグランドホッグ(リス科、ウッドチャックとも呼ばれる)。毎年2月2日(グランドホッグ・デー)、冬眠から目覚めたウッドチャックは地面から顔を出し、もし自分の影を見つけたら、春はまだ遠いと判断して再び冬眠に戻り、あと六週間は出てこない。つまりそれだけ春の訪れは遅れるという。パンクサトーニー・フィルは、毎年全米のニュースに登場して春の到来を予想する。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Back for a Re-Phil

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