[コラム:Spencer F. Katt]
マイクロソフトのクラリア買収は白紙に?

2005/7/26


 うだるような暑さの中、ミネアポリスで開催されたマイクロソフトのワールドワイド・パートナー・カンファレンスで、同社のCEO、スティーブ・バルマーは基調講演の壇上から「パートナーの皆さん、アイ・ラブ・ユー!」と叫んでいた。仕事で取引のあるパートナー企業の人々は、彼にとって最も会話を楽しめる相手なのだそうだ。いや本当に、彼は真顔で聴衆にそう話していた。

 マイクロソフトのCEOが人々に愛を打ち明けているとき、吾輩はホテルで受け取ったミステリアスなパッケージのふたを開けようと苦闘していた。そしてようやく中から出てきたものは、小さなトランシーバだった。スイッチをオンにすると、バルマーの声が聞こえてきた。ちょうど、マイクロソフトの販売実績について「それほど悪くなかった」と述べ、同社の収益の97パーセントはパートナーの貢献によるものだ、と説明しているところだった。「つまり、昨年度は皆さんにとっても良い年だったわけです。サンキュー、サンキュー、サンキュー。もう1回いわせてください。サンキュー!」と、何度も感謝の気持ちを表したCEOは、来場者から嵐のような喝さいを浴びた。

 と、そのとき突然、トランシーバから押し殺したような声が聞こえてきた。「ちまたでは、マイクロソフトがアドウェア・メーカー、クラリアの買収計画を白紙に戻した、ともっぱらの噂だ。オーバー」。

 はて、この声の主はいったい誰だ、と周囲を観察していると、喝さいが止んだ。レドモンドが、パートナーのグラウンドを脅かしつつあるいくつかの市場を制覇する決意を固めた、とバルマーが語り始めたからだ。同社はビジネス・インテリジェンス、ドキュメント・ワークフロー、そしてマネージド・サービスなどの市場について、今後徹底的に研究する方針だという。

 雑音とともに再びトランシーバからメッセージが聞こえてきた。「デルはシェリル・クロウをフィーチャーした新しい広告キャンペーンを始めたばかりだけど、同社が英国で展開している広告について、クレームが広告基準協議会(ADA)に持ち込まれたらしい。広告の最後の“デルのPCはインテルPentium 4プロセッサを搭載しています”という表現が問題になった。まるでデルのすべての製品が、そのチップを搭載しているかのような誤解を招くというのだ。ADAもそのクレームを認めた。オーバー」

 トランシーバの声の主が誰だか分からないまま、吾輩は壇上のバルマーに再び目をやった。マイクロソフトのグローバルセールス部門の話題の途中で、「うちでもシーベルを実装しているが、使い方が分からない。ユーザーインターフェイスの講習を受けていないから」といって、CEOが聴衆を爆笑させたからだ。

 しばらくすると、またしてもトランシーバの声が割り込んできた。「コンピュータ・アソシエイツの地域担当副社長だったダニエル・トンネルが、IRSから7万ドル以上の課税申告漏れを指摘されたらしい。マサチューセッツ州の本社にいたとき、部下とともに得たコミッションのうち、彼の取り分が申告されていなかったもよう。2001年度分が5万1063ドル、2002年度分が2万109ドルだ。オーバー」

 基調講演のあと、吾輩はマイクロソフトのLinux実証コーナーをチェックした。展示されていたのは、KOfficeとKonquerorブラウザが組み込まれたKDEデスクトップで、DebianベースのKnoppix Linuxだった。どう考えても、あまり一般的なLinuxディストリビューションではない。デモを行っていたスタッフが、かたわらに立っていたマイクロソフトの技術者を来場者に紹介し、彼のワークショップに参加するよう促したとき、サードパーティによる公明正大なLinuxの実証実験という幻想は、もろくも崩れ去った。オーバー。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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