一志達也のSE、魂の叫び [2]
「SE」って何だろう

一志 達也(ichishi@pochi.tis.co.jp)
TIS株式会社
2001/5/16

ごあいさつが遅れましたが

 前回から始まったこのコラムだが、筆者が日ごろ考えていることや苦悩していることなどを、ざっくばらんにお話ししていきたいと思う。筆者は、ここLinux SquareではApachePHP4をテーマにした連載を書いているが、本当はデータベース(特にオラクル)を得意としているつもりである。

 詳しくはプロフィールを参照いただくとして、この連載では独立系SIベンダーでは大手といわれる会社に属しSEと呼ばれる職種に就いている者の視点、はたまた転職(2回)やさまざまな副業の経験など、少し変わった経歴を持つ者ならではの視点、1人の現代人(のつもり)の視点など、さまざまな視点から身近なテーマについて考察していきたい。

SEはメジャーな職種なのです

 さて今回は、筆者の本職でもある「SE(System Engineer)」の定義について考えてみたいと思う。日ごろ、なにげに「SE」という言葉を使っているが、SEとは何を表しているのだろうか。SEと呼ばれる人々は、何をする人なのだろうか。すでに次期(2002年度)の就職活動も始まりつつある今日このごろ、どうにも謎めいたこの職業の本質について明らかにする努力は、決して無駄ではないと思う。

 実際、この問題について、「SE」であるはずの方に聞いてみても、なかなか明確な回答を得られない。それどころか、人によってまるで違った考えを持っていて、まったく違う職業のように思えるくらいである。

 世の中には、星の数ほど職業が存在していると思うが、これほど多くの人数を有しながら、その本質が理解しづらい職業も珍しいと思う(補足)。例えば、旧通商産業省が発表している総合的人材ニーズ調査(http://www.cin.or.jp/needs/)によれば、「SE」という職種の求人数は上位であり成長職種であるとされている。つまり、それだけメジャーな職種にもかかわらず、はっきりとした定義が分からないのだから不思議だ。

 ではほかの職種には定義があるのかということになるのだが、その実態こそ分からないものの、何をしているのかまるで分からない、という職業はまれだろう。親戚一同や学生時代の友人などから、仕事は何をしているのかと聞かれて言葉に詰まった経験を持つSEの方は少なくないと思う。「SE」といっても通じるはずなどなく、いかに業界用語を使わずに仕事を説明するか、いつも工夫しているつもりなのだが、いまだに正確に伝えられた試しはないのだ。

補足:正確な資料は見つけられなかったが、日本全国で「SE」と呼ばれる人、または自称している人の数は数十万を優に超えるはずである。

SEにはだれでもなれる?

 そもそも SEという職業は、特別な学歴や資格を必要とするわけでもなければ、同じ内容の仕事を繰り返すわけでもない。1年前に会ったときにやっていた仕事と、いまやっている仕事ではまるで違うことをしている、なんて大半の人が当てはまるから始末が悪い。大抵の方は、自分のいまの仕事を例えにして相手にSEというものを伝えているだろうから、次に会ったときには説明し直さなくてはならないのだ。

 そんなわけで、必要な資格も仕事の内容も定まってないのだから、「自称SE」が突然大量に現れたとしても、「あなたは違う!」という権利もない。いつもは何をしているのだろう、と余計な心配をしてみたくなる「○○評論家」と同じだなとも思ったが、人に説明しやすいだけあちらの方が職業の定義は真っ当かもしれない(笑)。

 それはさておき、旧通商産業省(つまり国)に認められたメジャーで有望な職種なのに、こんなにもいい加減な職業なのだからSEというのは面白い。いい機会だと思って、前出のサイトを必死に見ていたのだが、ほかにこんな職業は見当たらないのだ。筆者は、この事実にうすうす感づいていたものの、現実を見せつけられて考え込んでしまった。

SEのお仕事

 しかし、そんなことで挫折していてはこのコラムが完結しない。今回は、なんとしてでもSEの定義、というものを見つけておきたいのだ。そこで、まずはSEの仕事について、もう一度整理してみるとしよう。SEの仕事で最も一般的かつ重要なもの、といえば「顧客の業務システム構築」である。

 一口に業務システムといっても、目的や作り方はさまざまなのだが、どんなシステムでもおおむね次のような流れで構築されている。

  1. 提案を考える
    顧客からの依頼を受けて考えることもあれば、汎用的に利用できるソリューションを考えて、複数の顧客向けに使うこともある。このとき、システムの構成やおおよその価格、システム導入のメリットなどを考えておく。
  2. 顧客に提案する
    実際に顧客に提案し、問題点を聞いたり、間違いを正してもらったりする。
  3. 契約を取る
    何度か提案を繰り返し、詳細な価格の見積もりや契約条件、納品までのスケジュールを確認したうえで契約を締結する。
  4. 詳細に仕様を決めていく
    提案の段階で、概略の仕様は決められていることが多いが、より詳細に仕様を詰めていく(家でいえば設計図を作る段階)。
  5. システムを作り上げる
    策定された仕様をもとに、システムを構築していく。プログラム作りに携わるSEもいるが、本来はドキュメントを作ったり、全体の進行をチェックしたりするのが仕事。プログラム作りは、専門のプログラマーに任せる。最近は、短納期の仕事が多いため、仕様作りと並行でシステム作りが行われる例も多い。
  6. テストする
    作りながら行うテストを「単体テスト」、できあがったシステムの全体を通して行うテストを「結合テスト」などという。ここでいうテストとは、結合テストのことで、全体の最終チェックの段階を指す。
  7. 納品して検収をもらう
    できあがったシステムを顧客にチェックしてもらい、実際の業務をシミュレートしてシステムの妥当性を検査する。不具合や、仕様面での問題が見つかれば、細かな修正などを繰り返す。この段階を「フィールドテスト」などという。無事に検査に合格すれば、「検収」をもらい、仕事としては完結する。
  8. 運用を開始する
    完結といっても、実際にシステムが稼働してみて、初めて分かる問題も多い。また、利用するユーザーのサポートを手伝うよう、依頼を受けることも多い。そうした場合には、SEが現場に常駐して、当分の間サポートする。もちろん、サポート料などは、別途ご相談。

SEの定義とは

 このような仕事の流れは、あくまでも基本であって、実際には雑用だのなんだのと多岐にわたる仕事をこなしている(そもそもこんなに奇麗に流れるのは珍しい)。しかし、顧客向けのシステム構築こそ、SEの仕事であることに変わりはない。その中でも、提案と仕様の策定、全体の管理が本業といえるだろう。

 ということは、SEの仕事を定義するならば、「顧客の業務を支援するシステムを企画し、その構築から運用にいたるまで、顧客と構築現場の橋渡しをする仕事」というあたりが妥当な線だ。

 などと定義づけてみたが、やはりSEの仕事を的確に表現しているとはいいがたい。実際のSEは、プログラムも書けば営業もする、奇麗ごとでは片付けられない世界なのだ。そういった姿も的確に表すならば、SEとは、「顧客の業務システム構築にかかわることなら、なんでもやらなくてはならない、なんでも屋の総称」となるのかもしれない。

 結局、SEの定義は中途半端にしかできなかったが、その理由はおぼろげにも見えてきたように思う。次回、もう少しSEについて考えてみたい。

筆者紹介
一志達也

1974年に三重県で生まれ、三重県で育つ。1度は地元で就職を果たしクライアント/サーバシステムの構築に携わるも、Oracleを極めたくて転職。名古屋のOracle代理店にてOracle公認インストラクターやサポートを経験。その後、大規模システムの開発を夢見て再び転職。都会嫌いのはずが、いつの間にやら都会の喧騒にもまれる毎日。TIS株式会社に在職中。Linux Squareでの連載をはじめ、月刊Database Magazineでもライターとして執筆するほか、Oracle-Master.orgアドバイザリー・ボードメンバー隊長など、さまざまな顔を持っている。無類の犬好きで、趣味は車に乗ること。

連載 一志達也のSE、魂の叫び

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