連載:アニメーションで見るパケット君が住む町(2)
インターネット世界の運送の様子を動画で見よう


綱野衛二
Roads to Node
2009/3/16

2-4 荷物に名前を付けよう

 さて、トラックでやりとりする荷物なんですが、「荷物」っていっても

  • 顧客から預かった荷物
  • Webサービス部が預かった荷物を運送できる形に仕立て直したもの
  • それをTCP課長が壊れないように段ボールに入れたもの

など、課によって荷物の形が違います。

 これを「荷物」とまとめていってしまうと、どの課での形なのか分かりづらいです。

 よって、荷物の前に課の名前と階を入れて区別するようにしましょう。例えば、「7F Web荷物」とかですね。

 これにより、荷物がどの課の状態を指すのか分かるようになります。

パケット君「3F受発注荷物っていったら、僕が配送票を付けた状態の荷物ってことだね」

 そういうことですね。

 つまり、実際の荷物のやりとりは次のようになるわけです。

  • 顧客からの要求を受けて、Webサービス課が「7F Web荷物」を作る
  • それを受け取ったTCP課長が、「梱包」して「4F 受発注荷物」にする
  • それを受け取ったパケット君が、「梱包」して「3F 受発注荷物」にする
  • それを受け取ったイーサ配送君が、「梱包」して「2F 車両荷物」にする
  • それをトラックに積み込む
図2-8 荷物の梱包(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です)

 このように「梱包」されて運ばれるということになります。


 データはパケットという形に分割されて転送されるのが「パケット転送方式」です。

 「パケット」という名前は転送用のデータの総称です。そのため、課によって荷物に名前を付けたように、それぞれの段階(レイヤ)で別の名前を付けています。

 これをPDU(Protocol Data Unit)と呼びます。PDUは、上位レイヤが渡してきたPDUに自分の制御情報を付加したものです。通常はレイヤの番号を頭に付けて「レイヤ7PDU」のように呼びます。

 PDUには、それぞれのプロトコルごとに呼び名が存在します。例えば、レイヤ4PDUで、使用プロトコルがTCPならば「セグメント(segment)」と呼びます。

 転送されるデータは、荷物が「梱包」されていったように、上位のレイヤのPDUを受け取り、それに自分の制御情報を付加していきます。または、下位レイヤのPDUは上位レイヤのPDUを「運ぶ」といってもいいかと思います。

 これを「カプセル化(encapsulation)」と呼びます。

図2-9 カプセル化(右下のボタンで再生・停止ができます。Flash Playerが必要です)

 カプセル化されたデータを受け取った受信側は、制御情報が付加された逆の順番でカプセル化を解除(デカプセル化:decapsulation)します。順番にデカプセル化され、最終的には元のデータに戻る、という形になります。

 カプセル化の際に付けられる制御情報はそのレイヤの役割に合った制御情報です。例えば、TCPならば信頼性を確保するための制御情報を付けます。この制御情報は、上位レイヤPDUの前に付けられる場合「ヘッダ(Header)」、後ろに付ける場合は「トレーラ(Trailer)」と呼びます。通常はそのレイヤの番号または使用プロトコル名を付けて、「レイヤ3ヘッダ」「IPヘッダ」などと呼びます。


 次回は、イーサ配送君が主役です。

パケット君「僕は?」

 また今度です。


インターネット世界の運送方法 連載インデックス
  2-1 荷物を運ぶ仕組み
  2-2 道路の仕組み
  2-3 ビントサーフ市の道路事情
2-4 荷物に名前を付けよう


関連記事
  ネットワーク・コマンド/ツール群の活用法を大紹介
連載 ネット・コマンドでトラブル解決
あなたのLANは健康ですか? 現状改善から一歩進んだ構築術まで
特集:基礎から学ぶネットワーク構築

レスポンスの悪いネットワークシステム どう検証し、解決していくか?
特集:ネットワークトラブルを解決する
運用管理に必須のツール/コマンド群
連載:24×365の運用管理

「Master of IP Network総合インデックス」


Master of IP Network フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Master of IP Network 記事ランキング

本日 月間