リッチクライアントベンダ・インタビュー
第8回:日本ネクサウェブ株式会社

宮下知起
2006/1/13



 米Nexaweb Technologiesが開発したNexawebは、Curlと同様にMIT(マサチューセッツ工科大学)出身者によって開発されたリッチクライアント技術だ。JavaとXMLというオープンな技術のみでリッチクライアントを実現しているのが特長である。

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 日本ネクサウェブ株式会社 チーフコンサルタント 福島竜氏は、Nexawebの特長について次のように補足する。「NexawebはJavaアプレットが動作するクライアント環境で動作します。通常、IEなどのWebブラウザにはJavaプラグインがあらかじめセットアップされていますので、事実上、NexawebはほとんどのクライアントPCで動作することになります。その意味で、我々はNexawebをプラグインのインストールを必要としないリッチクライアントだと位置付けています。この点がアドバンテージの1つです」。

JavaとDOMの活用によるパフォーマンスを実現

日本ネクサウェブ株式会社 チーフコンサルタント 福島竜氏

 Nexawebがリッチクライアントを実現するモデルはシンプルだ。クライアントには画面のレンダリングを行うJavaアプレット、サーバにはクライアントとの画面の通信、セッション管理、DB連携などを制御するミドルウェアが配置される。ミドルウェアはサーブレットで構築されているため、J2EE環境さえ整っていれば、あらゆるプラットフォームをサポートする。

 画面のレンダリングを行うJavaアプレットは、サーバから送られてくるXML形式の画面情報に従ってユーザーインターフェイスをクライアント上に展開する。Javaアプレットは、アプリケーションの起動と同時にサーバから自動的にダウンロードされる。同時に、IME制御やバリデーションなどのロジックを制御するAPIもダウンロードされる。両者を合わせたサイズはわずか500Kであり、アプリケーションの起動は企業内のLAN環境やブロードバンド環境であれば非常にスピーディーだという。起動時間は次期バージョンではさらに短縮されることになる。福島氏は「必要な機能に応じてアプレットを提供する仕様に変更されるため、クライアントにダウンロードされるサイズはさらに小さなくなります」と強調する。

日本ネクサウェブ株式会社 代表取締役 山本崇敏氏

 起動後のパフォーマンスの良し悪しを論じる際、Nexawebはアプリケーション本体や、必要なクラスをその都度サーバ側からダウンロードすることがないため、画面制御のためのXML通信の負荷がどれくらいであるかが焦点になる。XML通信の負荷軽減を、NexawebはDOM(Document Object Model)を活用してXMLの差分だけを通信することで解決している。福島氏は次のように補足する。「XMLの操作にはDOMを採用しています。画面情報は、クライアントとサーバの両方でエレメントごとに同じ情報が共有・管理されています。画面の変更時には差分だけを通信するため、通信は非常に高速に行えると同時に、画面の更新の都度にクライアントの画面全体を書き直すことがありません。ユーザーの操作や画面描画などと並行して、クライアントとサーバ間を双方向に同期/非同期通信を可能とする機能が提供されているため、ページ遷移を伴わない業務アプリケーションを実現することができます」(福島氏)。

 クライアントとサーバ間の通信量は少ない。よって、アプリケーションの実行速度はクライアントのCPU性能とメモリ容量(画面定義のXMLをDOMで扱うため多くのメモリが必要)に委ねられることになる。クライアントPCの性能が向上している今日、クライアントリソースを生かせることはメリットの1つとして評価できるだろう。

 実際、Nexawebのパフォーマンスへのクライアントの評価は高いという。同社 代表取締役 山本崇敏氏は「米国ではサーバ側で毎秒10万エレメント単位の画面更新を実現したテスト結果もあり、国内の大手金融機関ではその処理能力の高さを高く評価いただき、採用を決定していただきました」と語る。

Nexawebのもう1つの特長は高度なグラフィックスを容易に実現できる点だ。リアルタイムな情報配信、高速なレスポンス、高度なグラフィック性能が求められるオンライン・トレーディング・システムなどに適しているという。また、サードパーティーが提供しているJavaコンポーネントをNexaweb上で利用することも可能だ。画面は米Quadbase Systems Inc.が開発するEspressChartを利用したデモ (クリックすると拡大表示します)

Nexawebのマーケットは証券・金融系システムとPLM

 Nexawebが得意とするマーケットについて山本氏は「まずはミッションクリティカルな環境でのリアルタイム性能が求められる、証券・金融系システムや、PLM(Product Lifecycle Management)」だと説明する。米国では、オンライン・トレーディング・システムに採用されるなど、金融機関での実績はすでにあるが、今後のNexawebの目標はPLMにまでマーケットを広げていくことだと山本氏は強調する。

 山本氏は今後のPLMにおける需要について、過去のEDIの課題を指摘して次のように説明する。「EDIが充分に普及しなかったのは、相手方のIT化の成熟度が大きな問題でした。今後インターネットという安価なインフラを利用するシステムの構築が活況となることが予想されますが、EDIの時のように相手方の事情に合わしていては投資に見合うシステム稼働はいつになるか分かりません。取引先または利用者に余分な負担をかけずに実現することが、普及のためにも、また、保守運用コストを削減するためにも大事なキーポイントとなります。よって端末に特別なソフトウェアのインストールを強要するシステムであってはいけないと思います。一方で、日本の製造業が復活するキーワードとしてPLMが注目されています。しかし多くの取引先を包括するPLMを実現するためには、EDIのような仕組みではなく、大手企業が主導して取引先とシームレスにつなぐリアルタイム性の高いWebシステムを構築することがもっとも有用な手段ではないでしょうか。Nexawebはこれらの要件を満たしているソリューションであり、今後需要が増大するPLMシステムの構築などに非常に有用なWebプラットフォームになると思います」(山本氏)。

 さらに山本氏は、Nexawebが対象とするシステムの規模についても言及し「現在のところリッチクライアントという技術に対しての投資効果が顕著なのは大規模システムだと考えています。したがってNexawebの現在の主要なマーケットは大規模システムです。ほとんどの大規模システムがJ2EE環境で構築されていることも、NexawebがJava/J2EEをサポートしていることで市場ニーズと一致しています」と述べる。

 さらに、今後の日本市場の開拓について同氏は「金融、製造業のPLMのほかに、電力・ガス・テレコムなども主要なクライアントになると見ています。これらの業種のように、リアルタイムの状態監視が業務の中で重要とされる分野では、Nexawebのニーズは高いでしょう」と語る。

Eclipseプラグインで提供される開発環境
Nexawebの開発にはNexaweb Studioが用意されている。Eclipseのプラグインとして提供されるため、Java開発者には取り組みやすい。画面はEclipse 3.0をベースにした「Nwxaweb Studio 2.1」の開発画面。

(クリックすると拡大表示します)

国内パートナーの開拓も進む

 Nexawebは、米国ではシーメンスのPLM、シェラトンホテルの顧客サービスシステム、大手ストレージベンダのストレージ監視システムにOEMで提供されるなど、数々の導入実績があるが日本国内での認知はこれからだ。

 現在Nexawebは国内パートナーの開拓に積極的だ。すでに株式会社日立システムアンドサービスとパートナー契約の合意に至り、大手金融機関からの大型案件の受注を達成している。また、日立システムアンドサービスは基幹業務システム開発を最もリスクの少ない具体的な開発手法で支援するフレームワーク「Extended Strtus for Nexaweb」を適用したソリューションサービスの提供も開始した。ほかにも大手SIer数社とのパートナー契約の交渉が進んでおり、主要パートナーを近々に6社程度に増やしたいとしている。

「Extended Struts for Nexaweb」を利用した外為取引画面(株式会社日立システムアンドサービス提供) (クリックすると拡大表示します)

 「Nexawebはプラグインのノンインストール、リアルタイムという特長を生かし、大規模な業務系アプリケーションのWeb化に貢献できると考えています。Nexawebと比較されるリッチクライアントソリューションは多いかと思いますが、それぞれの製品の特長や対象分野が異なるため、それぞれのすみ分けは可能だと思います」と山本氏は今後の抱負を語る。

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