Webバグの拡大で危険を冒す企業

2001/8/18
Tuesday, August 14, 2001, 2:26 PM ET. InternetWeek, By Mary Mosquera

 インターネットのサイト訪問者に関するデータを収集する「Webバグ」の利用が急増している。調査会社のCyveillanceが8月14日に明らかにしたところによるとここ3年で488%増加したという。その結果、プライバシーに敏感なサイト訪問者が、Webバグを使用する企業に対して慎重になるかもしれない。

 Cyveillanceが実施した調査によれば、Webページに密かにWebバグが隠されている可能性は1998年の5倍近くになるという。同社は、1998年と2001年に無作為に抽出した100万ページ以上のインターネットページのサンプルを比較してこの調査を行った。 

 Webバグは、Webページに密かに埋め込まれたグラフィックスで、ユーザーのIPアドレス、使用されたブラウザのタイプ、前回セットされたクッキーの値といった情報を気づかれることなく収集できる。クッキーは、個人やトランザクションのプロファイリングを可能にする情報を格納する。

 Cyveillanceによると、一般的に、WebサイトのデベロッパーはこのWebバグを使ってユーザーのオンラインでの使い勝手をカスタマイズしたり合理化する。また、サイトの訪問者数といった統計情報を集めることにも使うという。

 Webバグの急増と、インターネットの爆発的成長やオンラインでのパートナー・ネットワークの拡大とが結びつき、平均的な企業が消費者のプライバシーを脅かすリスクは倍増しているとCyveillanceでは見ている。

 2001年のデータでは、上位50ブランド中8ブランドのサイト(これらのサイトの16%)のホームページ(多くはプライバシーポリシーに関する説明から1回クリックしてたどり着くレベル)に、Webバグが埋め込まれていることが明らかになった。サイト内のサブページにもWebバグは隠されており、ユーザーがホームページ以外のページからもサイトに訪れていることを、Webデザイナーが認識していることを示している。

 しかし、このWebバグは目に見えないという特性から、プライバシー論争を呼んでおり、特にメディアの注目をますます集めつつある中で、カスタマーの反発が予想されるという。さらに、この問題を一段と悪化させているのが、Webバグの収集するデータが第三者にも頻繁に伝わってしまう事実だ。プライバシーの専門家によると、ユーザーが最も懸念していることは、個人情報を自分で管理できなくなることだという。

 CyveillanceのCEO Panos Anastassiadis氏は、「企業各社は自社のカスタマーの信頼を獲得し、維持したいと考えている。Webバグに関与することは、その努力を土台から深刻に揺るがす可能性を秘めている」と語った。

 同氏は、昨年Forrester Researchが実施した調査で、Webで買い物をする人の41%が自分の情報が企業によって濫用されたと考えてデータベースからの情報削除を求めた、という調査結果を引き合いに出した。

 Cyveillanceの調査によると、「このようなプライバシーに対する懸念は、カスタマーのブランド信仰の土台を揺るがす。それだけではない。企業のイメージにダメージを与え、ブランドの価値を弱め、最終的には企業の収益に影響を与えかねない」という。逆にいえば、「カスタマーの情報へのニーズとプライバシーに対する権利とのバランスをうまく取れる企業は、将来的に成功が期待できる」(Cyveillance クライアントサービス部所属でこの調査をまとめたシニアディレクターのBrian Murray氏とアナリストのJames Cowart氏)ということになる。

 Webバグの埋め込まれるページは通常、ブランド名が大きく謳われたページであることが多い。同調査会社によると、2001年に実施した調査のサンプルには、ページの26%ではトップブランドが謳われており、Webバグの埋め込まれたページの96%で上位50ブランドが謳われていたという。

 個人ページについても、2001年には1998年よりも多くのWebバグが埋め込まれるようになった。ISPやコミュニティサイトといった大手のホストやサードパーティーのプロバイダーが提供するフレームワーク、広告ツール、およびユーティリティが増加の原因ではないかといわれている。

[英文記事]
Companies At Risk Over Proliferation Of Web Bugs

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