日本のSAN市場を牽引するブロケード

2002/1/18

 近年の世界規模でのストレージ市場の伸びは、IT不況が叫ばれる状況下においては数少ない明るい話題だ。さらに2001年9月に発生した米国テロ事件以降、データ保全や管理に関する意識がさらに高まり、この市場は再び注目を集めつつある。

 そのストレージ市場の中でも特に注目されるのが、SAN(Storage Area Network)と呼ばれるシステム技術の分野である。SANはファイバ・チャネルという高速な通信技術を使い、ストレージ群とサーバ群によるネットワーク網を構成するもの。単なる外部増設のサーバ直結型ストレージ製品に比べ、管理面のしやすさや構成の柔軟性、高い冗長性などのメリットがある。ブロケード コミュニケーションズ システムズ(以下、ブロケード)は、このSANの中核をなすファイバ・チャネル・スイッチの分野で9割近い世界シェアを誇る、SAN市場のリーディング・カンパニーである。

 1995年に米国で設立されたブロケードは、2000年に日本オフィスを開設、2001年に日本法人として独立させた。同年には、TIS、エントレージ・ブロードコミュニケーションズ、東京エレクトロン、ベリタスソフトウェアら4社とB-Cubeと呼ばれるプロジェクトを共同で立ち上げ、マルチベンダ環境におけるSAN構築サービスの提供を開始した。2002年に入り、日本市場の本格的なてこ入れを目標に、コンピュータ・アソシエイツ副社長だった松島努氏を日本法人社長に迎えた。同社は1月17日、立ち上がりつつある日本のSAN市場に向けた戦略発表会を開き、今後の日本でのSAN市場の展望や営業施策について語った。

 米ブロケード会長兼CEOのグレッグ・レイス(Greg Reyes)氏は、同社製品の国内展開において「2001年度の日本市場での売り上げは、全体の約7%を占める。2002年度には、さらに11%へと成長することが見込まれる」と、日本市場の重要性と今後の盛り上がりについて強調した。そのための施策として、2002年度中に営業部隊などを中心に人員を大幅に強化、パートナーによるチャネル・セールスだけでなく、ユーザーから直接意見を吸い上げることが可能な、ダイレクト・セールスも積極的に展開していく予定だという。

 試験導入から、拡大・展開へ。次のフェーズへと移行しつつあるSAN市場。企業システムにかかわる技術者や情報マネージャは、SANをめぐる同社ならびに関連企業の動きに注目する必要があるといえる。

(編集局 鈴木淳也)

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ブロケード コミュニケーションズ システムズ

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