[第4回データストレージEXPO開催]
ディザスタ・リカバリのソリューションが盛況

2002/6/29

 6月26日から3日間、東京・有明の東京ビッグ・サイトにて、ストレージに関する展示会/カンファレンス「第4回データストレージEXPO」(主催:リードエグジビジョン ジャパン)が開催された。同会場には主要ストレージ・ベンダが集まり、各社が持つ製品やソリューションをそれぞれアピールするなど、ストレージ業界の最新動向を知るうえでは格好のイベントとなっている。

各社のブースでディザスタ・リカバリに関するデモが見られた展示会場

 過去に開かれた同イベントでは、SANなどのストレージ・システムや、FCIP(Fibre Channel over IP)やiSCSIなどのIPとストレージを融合した「IPストレージ」などが大きな話題を集めていた。今回最大のトピックはといえば、やはり遠隔地のレプリケーションなど、「ディザスタ・リカバリ(Disaster Recovery:災害復旧)」に関するソリューションである。ちょうど昨年のデータストレージEXPOの直後、米国ニューヨークなどで大規模テロ事件が発生し、ディザスタ・リカバリの重要性がストレージ・ベンダ各社から叫ばれるきっかけとなった。こういったこともあり、各社の展示ブースでは、遠隔地のストレージ・システム間でレプリケーションを実行し、災害発生時にすぐにシステムを切り替え、業務継続が可能なソリューションを中心に構成していた。

 従来まで、バックアップといえばテープなどの媒体にデータを保存する手法が一般的だった。だが、ディザスタ・リカバリが対象とするような災害時においては、ある拠点のシステムがまるごと消失してしまう危険性もある。また昨今のシステムにおいては、ダウン・タイムを限りなくゼロに近づける高い可用性も求められており、この場合、テープによるリカバリでは復旧時間がかかってしまうのが難点となる。今回、ベリタスソフトウェアをはじめ、ストレージ機器大手各社で展示されていたディザスタ・リカバリのソリューションでは、別拠点のストレージ・システムとレプリケーション(もしくはミラーリング)で常に同期をとり、災害時にはサブシステムに切り替えるという、データとシステムのバックアップを同時に行う手法が紹介されていた。

ネットマークスのブースでは、iSCSIとFCIPのデモ・システムが公開されていた

 だが、データとシステムの普及だけでは間に合わず、まひしているオフィス機能も復旧させなければいけないという意見もある。ネットマークスのブースでは、これらディザスタ・リカバリのシステム構築に加え、NRIとの提携で「Business Continuity(ビジネスの継続性)」を重視した災害時のオフィス機能復旧支援ソリューションが紹介されていた。

 ディザスタ・リカバリ以外では、iSCSIやIP-SANなど、IPストレージに関する展示が人気を集めていた。iSCSIはまだ対応製品こそ少ないものの、規格の呼びかけ人がシスコ・システムズであるという背景もあり、将来有望な技術の1つとして注目を集めている。実際、IBMなど一部のブースでのみ紹介されている状態だったが、来場者からいろいろ質問を受けている様子がうかがえた。また遠隔地のSANシステム同士を結合し、SANの弱点の1つである距離制限を取り払うFCIPの対応製品やソリューションにも注目が集まっていた。

 イーサネットなどの回線をそのままストレージ接続に利用できるiSCSIは新規導入ユーザー向け、分散したSANの統合を実現できるFCIPは既存のSANユーザー向け、と住み分けていくだろうとは言われている。だが、双方とも現状で対応製品は少なく、今後どちらがメインストリームとなるのか、まだしばらくは市場の動向を見ていく必要があるだろう。本格的なブームの到来は来年以降にやってくるものと思われる。

(編集局 鈴木淳也)

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