政府はベンダの“おいしいユーザー”から脱却できるか

2003/3/15

経済産業省の商務情報政策局 情報政策課長 松井哲夫氏

 「政府はベンダにとって“おいしいユーザー”になっている。それを見直す必要がある」。経済産業省の商務情報政策局 情報政策課長 松井哲夫氏は、「ECOM・JIPDECジョイントフォーラム2003」でこう述べて、「ITアソシエイト」と呼ばれる政府の情報システム管理者制度を説明した。

 松井氏によると、ITシステムに関する政府調達の問題点は、一部ベンダによる安値落札や、高値随意契約の横行、大手ベンダ依存による重複開発などで大量の無駄が発生していること。経産省によると、ITシステムに関する政府調達は、府省が約1.1兆円、地方公共団体が約0.7兆円で、合計すると情報サービス市場全体の約2割を占めるという。ベンダにとっては巨大な市場であるだけでなく、政府システムを請け負うことで、地方公共団体のシステムや、政府とやりとりする民間企業のシステムも連動して受注できることがあり、政府が“おいしいユーザー”になっている。また、省庁間で横のつながりがなく、ITに詳しい人材もいないため、同じシステムを複数の部署に同時に納入したり、高値で納入することが可能になっている。

 松井氏は政府調達の問題を解決するためには、「大手ベンダ依存構造の是正や調達管理体制の強化、業務別にバラバラなシステムを効果的に統合し、改革を促進することが必要」と指摘。経産省では、この政府調達の問題を解決するために「ITアソシエイト」と呼ばれる外部の専門家を任命することを検討している。ITアソシエイトとは各省庁のITシステム戦略を企画するIT補佐官。調達契約や開発作業の監理などを担当し、ITシステムにかかわる無駄をなくすよう調整する。

 ITアソシエイトは本格導入前のテストケースとしてモデル事業が一部の省庁で実施され、2003年4月以降、各省庁に本格的に配置されると見られている。ITの活用が必須になってきた中で、行政サービスの現場は“おいしいユーザー”からの脱却を試みているようだ。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
電子商取引推進協議会(ECOM)
日本情報処理開発協会(JIPDEC)
経済産業省

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