「ILM標準化には2〜5年」、米SNIA会長

2005/1/29

 ストレージの業界団体、米国SNIAの会長で、米EMCのCTOオフィス上級技術員 ウェイン M.アダムス(Wayne M.Adams)氏は、SNIAが進めているストレージの情報ライフサイクル管理(ILM)の標準化について「策定までは2〜5年かかる」との見通しを示した。

米国SNIAの会長、米EMCのCTOオフィス上級技術員 ウェイン M.アダムス氏

 アダムス氏によるとSNIAはILMに関して、データのクラス分け、データサービス、ヘテロジニアス環境でのインターフェイス、サービスレベル・アグリーメント(SLA)の4分野について標準化の作業を行っている。この中でアダムス氏が「重要になる」と指摘したのはデータのクラス分け。

 データのクラス分けとはストレージに格納されているデータを分析し、どのような属性のデータかを判断。メタデータを付け、最適なストレージに割り振るプロセスを指す。現在、この作業は手作業で行っているが、ILMが標準化された段階ではインテリジェンスなサーチエンジンがデータを分析し、最適なストレージに自動で格納できるという。

 各ストレージベンダが提唱しているILMのソリューションはプラットフォームが単一のことが多く、データの分析、割り振りについてもある程度、解決されている。しかし、さまざまなベンダのストレージ、プラットフォームが混在する環境では「データのクラス分けの標準化が必要になる」(アダムス氏)。また、アダムス氏はヘテロジニアス環境のストレージについて「上位のアプリケーションに対する認識が重要になる」と指摘し、ビジネスプロセスに合致するデータ・ライフサイクルの構築が求められると説明した。

 データをクラス分けするには、そのデータに関する定義をストレージ業界だけでなく、ユーザー企業の内部でも統一する必要がある。そのようにベンダだけでは解決できない問題をはらむだけに標準化に時間がかかるというのがアダムス氏の考えだ。アダムス氏は「SNIAや各企業がリーダーシップを発揮して進めることが大切だ」と強調した。

 アダムス氏はILMが標準化された段階でのベンダの差別化要素として、「ストレージの基礎プラットフォームの充実と、データが認識されてからストレージに格納されるまでのサービスレベル目標(SLO)のアサイン機能」を挙げた。アダムス氏はストレージ・プラットフォームの充実については、EMCの階層型ストレージの有用性を強調。SLOのアサイン機能についてはドキュメンタムの買収などで厚みが増したソフトウェアの開発力をアピールし、EMCの先進性を訴えた。

(@IT 垣内郁栄)

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EMCジャパン

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