フィオリーナの次はNCR出身者、HPが新CEOを決定

2005/3/31

 米ヒューレット・パッカード(HP)の取締役会は、新しいCEO兼社長に米NCRの社長兼CEOのマーク・ハード(Mark Hurd)氏を選出したと3月29日に発表した。4月1日に就任する。カリスマ女性CEOとして有名だったカーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏の解任から約2カ月。HPは、NCRの業績回復に貢献したハード氏の下で成長路線への復帰を目指すことになる。

HPのCEO兼社長に就任するマーク・ハード氏

 ハード氏は48歳。2003年3月からNCRの社長兼CEOを務め、5つの事業部を担当してきた。NCRの在席は25年で、経営、業務、販売、マーケティングなどさまざまな業務を担当。社長兼CEO就任以前は、テラデータ事業部の社長兼COOだった。

 HPの取締役会長 パトシリア・ダン(Patricia C. Dunn)氏によると、取締役会は全会一致でハード氏を選定。「(NCRの)複雑な組織をリードしてきた実績と、経営者および人間としての健全な資質を評価」したという。

 ダン氏は「取締役会が着目したのは、ハード氏の経営者としての強力な実行力、優れた組織を構築し率いていく能力、株主利益向上の実績だ。NCRはHPより小規模な会社だが、さまざまなビジネスから構成される複雑な組織で、ハード氏はNCRを再生する過程でこうした能力を発揮してきた」など述べ、ハード氏を選んだ理由を説明した。

 CEO兼社長就任についてハード氏は、「HPは世界で最も偉大な企業の1つで、誇るべきイノベーション(改革・革新)の歴史、優れた人材、そして、多くの製品とサービスで、羨望の的となるようなマーケットポジションを確立している。HPのリーダーシップチームに加わり、その成功を構築する機会に恵まれ、大変光栄だ」とコメントしている。

 ハード氏が最初に取り組むのは、事業再編の検討だ。HPで最も利益率が高いのはプリンタ事業。一方でPC事業は高い市場シェアにもかかわらず利益が出ていない。サーバやストレージは、デルやIBMとの競争が激化している。事業の分割、分社化もささやかれる中で、ハード氏はHPの事業をどうデザインするのか。

(@IT 垣内郁栄)

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日本ヒューレット・パッカードの発表資料

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