BladeSymphonyに搭載、「日立仮想化機構」(仮称)とは

2005/6/1

 日立製作所は5月31日、IAサーバやネットワーク・スイッチ、ロードバランサ、ストレージを1つの筐体に統合したサービスプラットフォーム「BladeSymphony」に、1つのプロセッサ上で複数の異なるOSを稼働できる新技術「日立仮想化機構」(仮称)を搭載すると発表した。インテルが次期Itaniumプロセッサ「Montecito」に搭載予定の仮想化技術「インテル バーチャライゼーション・テクノロジ」(VT)と連動する。サーバ統合を実施する顧客や、本番系と開発系など業務によって利用するOS環境を変える必要がある顧客に売り込む考えだ。

日立製作所 情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部長 北野昌宏氏

 日立仮想化機構は2006年第1四半期(1-3月)に搭載する予定。ホストOSを必要とする既存の仮想化技術と異なり、ハイパーバイザー型と呼ぶファームウェアをプロセッサのうえで直接走らせる。ファームウェアは複数のプロセッサのリソースを仮想的に統合してパーティションを作成。それぞれのOSはこのパーティション上で稼働する。日立のメインフレーム技術を応用。1つのOSの負荷が別のOSに影響を与えることが少なく、「低オーバーヘッドを実現する」(日立製作所 情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部長 北野昌宏氏)。BladeSymphonyは、Windows Server 2003、Red Hat Linux、HP-UXが稼働する。
 
  パーティションに割り当てるリソースは業務の内容に合わせて柔軟に変更可能だが、自律的に変更させることはサービス提供時にはできない。サービスを停止して手動で変更する必要がある。北野氏は、将来的にJP1の運用管理ソフトウェアを連動させてパーティションに割り当てるリソースを自律的に調整できるようにすると説明した。

 また、日立は、BladeSymphony用の従量課金モデルを2005年9月に導入することを発表した。BladeSymphonyと日立製ミドルウェアをパッケージして従量課金で利用可能。オンラインショッピングや映像、音楽配信、インターネットデータセンターなど時期やタイミングによってトラフィックが集中する業務に適しているとしている。課金は基本料+従量分の仕組み。

 従量課金の対象となるのはBladeSymphonyのサーバ、ストレージと、日立のデータベース「HiRDB」、アプリケーションサーバ「Cosminexus」。日立以外のミドルウェアを使う場合は従来のライセンスモデルが適用される。

 日立の執行役常務 情報・通信グループ 副グループ長 篠本学氏は、基幹系システムの今後について「あるべき姿は統合オープンアーキテクチャ」と述べ、BladeSymphonyの先進性を強調した。「オープンでありながら密な機能連携により、システム全体の最適化を実現する」(篠本氏)。BladeSymphonyの販売目標は最初の製品を発表した2004年9月の時点では、2006年度末までに3000台だった。しかし、日立はUFJ銀行など導入が進んでいることから上方修正。販売目標を4000台に引き上げ、売上目標も1000億円から1100億円に修正した。

(@IT 垣内郁栄)

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日立製作所の発表資料

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