ITシステム全体最適化の体制確立、マーキュリー

2005/11/3

 マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン(以下、マーキュリー)が11月2日に発表した「Mercury BTO Enterprise」というコンセプトは、企業情報システムに関わる3つの領域(「開発・テスト」「導入・運用」「ITガバナンス」)に分散していた同社の製品を1つにまとめ、顧客に対して同社が提唱する「BTO」(Business Technology Optimization)という概念をこれまで以上にうまくアピールするという狙いがある。

マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン 代表取締役社長 石井幹氏

 Mercury BTO Enterpriseを構成する各領域の製品には、発表済みのものと未発表のものが混在し、現段階では顧客が利用可能という意味でMercury BTO Enterpriseが存在しているわけではないが、Mercury BTO Enterpriseを1つの“製品”ととらえた場合(同社としてはそれを望んでいる)、(製品としての)確固とした目的があるのは当然のことだろう。同社の説明によるとMercury BTO Enterpriseは「プログラム/ポートフォリオ管理者、品質/パフォーマンス保証管理者、IT運用管理者、ビジネスアナリストなどで構成されるITチームが、より協調的に、効果的に業務を遂行できるようになる」ものだ。

 10月に同社の代表取締役社長に就任したばかりの石井幹氏は“センター・オブ・エクセレンス(CoE)”という流行のキーワードを口にしながら、Mercury BTO Enterpriseの存在意義を話した。CoEとは、1970年代初頭のアメリカにおいて、基礎研究の資金を投入して形成された研究拠点(いくつかの大学の集合)を指す。転じて、同社では、情報システムの運用・管理に関する技術やノウハウ、プロセスを統合して提供することに適用している。

 欧米ではすでに実施している事業に「Mercury Managed Services」というアウトソーシング・サービスがある。ネットワーク経由で顧客の情報システムを監視するサービスで、顧客にとっては、新たなソフトウェアのインストール作業はほとんど発生せずに、マーキュリーのインフラストラクチャを(間接的に)使用できるというメリットがある。「ソフトウェアベンダという企業イメージから脱却しつつある」と石井氏はいい、実際同社は、そのような方向に事業戦略の舵(かじ)を切りつつある。

 なお、11月1日に起きた東京証券取引所のシステムダウンについて「一部の報道ではシステムダウンの原因が報じられているが、実は本当の原因は明らかではない」とコメントした。そして、あくまで一般論であると断りながら、「要求仕様の確定からテストプラン策定に至る(システム開発における)上流工程の適切な運用」がシステムダウン回避の有力な対策であると話した。

(@IT 谷古宇浩司)

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マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン

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