“脱チェック・ポイント=ファイアウォール”を目指す

2006/2/3

 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは2月2日、報道関係者向けに同社の2006年度における事業戦略を説明した。新たに、米チェック・ポイントのチーフ・マーケティング・オフィサーに就任したケン・フィッツパトリック(Ken Fitzpatrick)氏は、「従来よりチェック・ポイント=ファイアウォールというイメージが強いが、今後はここから脱却する。製品中心のメッセージからソリューション中心のメッセージに変えていく」と語り、今後の同社の方向性を示した。

米チェック・ポイント チーフ・マーケティング・オフィサー ケン・フィッツパトリック氏
 フィッツパトリック氏は前日雨の中でかすかに見えた富士山を例に出し、「当社のセキュリティ技術は富士山のように大きく、偉大なものだ。しかし、従来の当社のイメージはすべてファイアウォールに集中してしまっている。それが問題だ」と指摘。セキュリティ市場におけるファイアウォールの市場規模は数%に過ぎず、このままでは今後同社の売り上げが頭打ちになる可能性があることを懸念し、チェック・ポイント=ファイアウォールというイメージから脱却し、セキュリティ全体に広げたいという意向を示した。

 フィッツパトリック氏は、その対策として4つの施策を挙げた。1つ目は「メッセージをシンプルにする」、2つ目は「製品中心のメッセージから、ソリューション中心のメッセージへの変更」、3つ目は「技術者をマーケティング部門下に置き、マーケティング中心で製品企画を作る」、4つ目は「チャネルやパートナーに権限を移行し、さらに数も増やす」というものだ。

 メッセージをシンプルにする理由を、同氏は「当社のWebサイト上では、SSL-VPNやIP-Secなどさまざまな技術が掘り下げて紹介してあり、有効なコンテンツだ。しかし、ユーザーからしてみれば、『セキュアにネットワークに接続したい』ということが重要であり、それにかかわる技術にはあまり関心がないのではないだろうか」と説明した。それに関連して、2つ目の「製品中心のメッセージから、ソリューション中心のメッセージへの変更」という考えに至ったという。

 これについて、フィッツパトリック氏は「ビジネスマンであれば、ビジネス上で悩みや問題があるから製品を購入するのであり、初めに製品や技術ありきではない。ビジネスマンに訴求するためには実際に彼らが困っているビジネス上の問題を、どう解決できるか。という点をアピールしていかなければならない。そのためには、製品をアピールするのではなく、ソリューションをアピールすることが有効だ」と説明した。

 これらのことから、同氏は就任後、イスラエルにいる技術者やプロダクトマネージャをマーケティング部門の下に移し、マーケティング主導による商品開発に取り組んでいるという。さらに、4つ目のチャネルやパートナーへより権限を移行することで、チャネルやパートナーのやる気を促進し、結果としてチェック・ポイントとの仕事がしやすい状況を生み出すとした。

 さらにフィッツパトリック氏は、「ユーザーは可視化と管理の容易性を求めている」と指摘。同社のプラットフォーム「NGX」が、さまざまなベンダの製品に対応し、これらを統一的に管理できる点を挙げ、「すでにあまりにも多くのベンダのネットワーク機器を導入しており、管理に苦しんでいる多くのネットワークエンジニアやCIOに訴求できるはずだ」と語り、今後の戦略に自信を見せた。

(@IT 大津心)

[関連リンク]
チェック・ポイント

[関連記事]
“ファイアウォールの父”が語るチェック・ポイントの行方 (@ITNews)
「VoIPセキュリティで第2の革命を起こす」、チェック・ポイント (@ITNews)
チェックポイントが方針を転換してリリースする製品とは?(@ITNews)
チェック・ポイントに聞く、内部セキュリティ対策が必要な訳 (@ITNews)
ネットワーク内部のセキュリティに照準、チェック・ポイント (@ITNews)
チェック・ポイントがシスコ、ネットスクリーンを評価しない理由 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)