「すぐに使いたい電子行政を提案」、日立がショールーム刷新

2006/5/20

 日立製作所は5月19日、中央官庁、地方自治体担当者向けの電子行政ショールーム「CyberGovernment Square」(CGS)に新たな展示を追加し、5月22日にリニューアルオープンさせると発表した。政府が策定したIT新改革戦略の「具体的なイメージを見せることを目標に展示を拡充する」(日立)という。

「電子窓口 ロッカーシステム」。住民基本台帳カードによる本人認証でロッカーが開く仕組み

 CGSは2000年3月に開設し、これまでに2万2000人以上が来場した。日立のハードウェアやソフトウェアを組み合わせた電子申請やセキュリティ、業務効率化、認証システムなどのソリューションを展示している。市民との窓口になるシステムなど、「中央官庁や地方自治体の担当者が『すぐに使いたい』と感じられる展示コンテンツ」(同社 情報・通信グループ 公共システム営業統括本部 統括本部長 津田義孝氏)をそろえる。

 追加したのは「電子窓口 ロッカーシステム」「IPテレフォニー」「セキュリティPC」「センサタグ」。電子窓口 ロッカーシステムは、市役所などの窓口時間を延長するシステム。市民が電子申請やファクシミリ、電話で書類の発行などを市役所に依頼すると、市役所の担当者が書類をロッカーシステムに入れる。市民は都合がいい時間にロッカーシステムから書類を取り出す。市民の認証は住民基本台帳カードを使う。書類だけでなく貸し出し図書や母子手帳などもロッカーに入れられる。すでに東京・東村山市が導入し、市内8カ所に設置。9種類の証明書などを扱っている。

IPテレフォニーのデモンストレーション

 IPテレフォニーやセキュリティPCは日立がすでに販売しているソリューション。IPテレフォニーの展示ではIP電話とアプリケーションを連動させたデモンストレーションや、最大40拠点まで対応する遠隔会議システムのデモを見られる。セキュリティPCはハードディスクドライブを搭載せず、データを中央サーバに格納するシンクライアントPC。PC側にデータが保存されないので、情報漏えい対策に活用できる。

 IPテレフォニーとセキュリティPCを組み合わせて、社員の座席を特定しない「フリーオフィス」の提案も行う。フリーオフィス化することで社員間のコミュニケーションが活発になったり、ペーパーレス化が進むといい、先行して導入している日立のある部署では社員の7割が肯定的だという。

 センサタグは人の脈や体温を測定し、無線LAN経由でPCに送信できる腕時計型の機器。センサタグを付けた人の状態を離れたところから見守ることができる。日立では福祉施設や危険な作業を伴う工事現場などで利用できるとしている。

 日立の公共分野の売り上げは2000億円前後で、ソリューションの販売が55%を占める。ただ、同社の公共システム事業部 全国公共システム本部 政府自治体関連プロジェクト推進部 部長 甲斐隆嗣氏は、公共分野の情報システムへの投資は「レガシーシステムがオープンシステムに移行することで今後は若干の微減」と予測。ただ、「投資の減った分は、地域の情報化やコールセンターなど住民の近いところで使われていく」と期待している。

(@IT 垣内郁栄)

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日立製作所の発表資料

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