沖電気、小規模事業所向けに本格的IPテレフォニー製品を投入

2006/10/13

沖電気 取締役社長兼CEO 篠塚勝正氏

 沖電気は9月12日、完全IP対応の中小企業向けビジネスホンシステム「IPstage SX」と「IPstage MX」を同日に国内販売開始したことを発表した。

 製品発表会で、同社取締役社長兼CEOの篠塚勝正氏は「今回の発表には2つの意味がある。IPシリーズがフルラインで展開できるようになったこと、そして新製品により、通信関連製品の積極的な海外展開ができるようになったことだ」と説明した。

 沖電気は過去約3年間にわたり、IPテレフォニーシステムを展開してきた。当初は大規模システムに焦点を絞り、「SS9100」を投入。次に中規模システムをターゲットとして「IPstage EX300」と「SS9100 Type M」を展開した。同社は2006年度を「ビジネスホン強化の年」とし、最大の市場である小規模事業所を狙い、IPテレフォニー対応のビジネスホンシステムを投入する。

 「NGNとFMCへの流れで最大のメリットを受けるのは小規模企業」(篠塚氏)。沖電気はこれまでの中堅〜大規模システムで蓄積してきたノウハウを活用し、新製品の市場を開拓する。
「IPstage SX」は電話機30回線以下、「IPstage MX」は100回線以下の事業所に向けたIPテレフォニーシステム。従来型のビジネスホンシステムの使いやすさを残しながらIPのメリットを取り入れている。

 新製品ではNTT東日本/西日本によるIP電話サービス「ひかり電話ビジネスタイプ」の利用がサポートされている。今後、ほかの法人向けIP電話サービスにも対応の予定。端末については約40種に対応する。無線LAN接続機能を備えた携帯電話端末も幅広くサポート。N900iL、E02SA、hTcZなどを利用することで、小規模事業所でも「FMCを実感できる」と同社情報通信事業グループ IPシステムカンパニープレジデント 坪井正志氏は話した。

 また、新製品では同社の大/中規模システム向けIP-PBX/IPテレフォニーサーバ製品と共通のIP電話ソフトウェア「Com@WILL」が利用可能。本格的なIP電話ソフトウェアが利用できるのは、ビジネスホンシステムとして初めてという。Com@WILLは「Microsoft Outlook」や「Microsoft Dynamics CRM」、イリイの「BIG Pro for CTI」などとの連携を実現しているが、さらに同社ではアプリケーションパートナープログラムを通じ、より多くのアプリケーションとの統合を目指す。そのほか、電話システムに熟練していなくとも保守ができるように、Webベースのグラフィカルな管理インターフェイスを提供している。

 沖電気では新製品を12月1日に出荷開始するが、その後12月20日より、中国を手始めとしたアジアやオセアニア、欧州へも順次展開していく。沖電気はPBXを世界的に販売していた時期もあったが、現在通信関連製品で海外における販売を行っているのはセットトップボックスやCPEなどに限定されている。同社では2製品をてこに、海外市場を対象における通信関連製品の販売活動を再開する。販売目標は国内・海外合わせて3年間で10万台という。

(@IT 三木泉)

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沖電気の発表資料

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