WANトラフィック高速化機能も利用可能に

「ブランチに本社の環境を実現」、シスコがISRを機能強化

2007/01/16

 シスコは1月16日、同社のブランチオフィス(支店)向けサービス統合型ルータ「Cisco ISR」の機能強化を発表した。

 ISRは企業の支店向けのルータだが、ソフトウェアやモジュールの形で、セキュリティ機能やQoS機能、SIPなどのアプリケーション機能を組み込めるようにしているのが特徴。今回は支店を本社とシームレスに統合し、本社と同一なビジネス環境を実現することを主眼とした機能を追加した。

 具体的にはまず、拠点間でやり取りするデータの暗号化をトンネリングなしで実現する「GET VPN」機能の搭載を可能にした。これはIPsecのトンネルモードのようにIPヘッダを書き換えることなく、送信元ホストがつけたIPヘッダをそのまま適用し、ペイロード(データ)部分を暗号化してESPヘッダ後に配置するというもの。アドレス解決の問題から一般のインターネット環境に直接適用することはできないが、MPLSや広域イーサネットなどのVPN上で、さらにデータの秘匿性を確保したい場合に利用できる。メッシュ的な通信環境に適している点や、送信元でIPヘッダ内に指定したQoS/CoS設定を生かすことができる点が、金融業界などで歓迎されるだろうという。新機能はCisco IOSソフトウェアリリース12.4(11)T Advanced Security上の機能として、2006年11月に提供開始済み。

cisco01.jpg Cisco ISRシリーズ

 そのほかの特徴としては、WAN最適化ソフトウェアのISRへの適用が挙げられる。ISRではこれまで、ファイルサービスの高速化を実現するWide Area File Services(WAFS)機能が提供されてきたが、新たにファイル共有プロトコルだけでなく、さまざまなアプリケーションの高速化を実現する「Cisco Wide Area Application Acceleration Services」(WAAS)ソフトウェアがISR上で稼働できるようになった。

 また、トラフィック分析ソフトウェアも強化され、同社の企業向けスイッチの上位機種である「Catalyst 6500」用の分析ソフトウェアと同等の機能が利用できるようになった。

 これら2つのソフトウェアは、新たに投入したISR 2800/3800用サービスエンジンモジュール上で動作する。同モジュールは前世代のサービスエンジンモジュールと比較して最大2.5倍のパフォーマンスを発揮するという。また、新モジュールはLinuxベースのアプリケーション動作環境を提供している。

 シスコはこのところ、自社のネットワーク製品に対するアプリケーション寄りの機能の組み込みを進めてきている。ISRについても今回発表されたサービスエンジンモジュールがLinuxベースになったことで、従来よりも多彩なアプリケーションを早期に導入していくことができるという。同社はISRシリーズで、2007年春にさらなる機能強化を予定している。

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(三木泉)

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