シンプルな操作と自動化を推進

NECが“原点回帰”の運用管理製品新バージョン

2007/03/19

 NECは3月19日、運用管理製品群の新バージョン「WebSAM Ver. 7」を発表した。今回のバージョンアップでは「運用管理の原点に返り、シンプルな運用管理を目指した」と同社の第一システムソフトウェア事業部長 池田治巳氏は話した。

nec01.jpg NEC 第一システムソフトウェア事業部長 池田治巳氏

 新バージョンで注目されるのは「ナレッジ機能」と「シナリオ」の搭載。

 ナレッジ機能は、WebSAM自体やデータベース管理システム、Webアプリケーションサーバ、グループウェアなど18製品について、製品マニュアルおよび同社のフィールド業務における経験から、トラブル対処方法をまとめたもの。各製品に関する障害などの重要メッセージに対応し、対処方法に関するガイドメッセージを自動表示する。また、ユーザー企業が自社の操作・運用管理マニュアルをグラフィカル・インターフェイス経由で、あるいは一括してWebSAMに登録し、ナレッジとして利用できるようになった。ただし後者は日常の運用管理のなかで蓄積される対処方法や対処例の情報を動的に取り込むものではなく、より静的に、確立された情報を登録して活用することを目的としている。

 一方、シナリオでは、パフォーマンス劣化や障害に関し、異常状態を検出して相関分析における診断を行い、適切な対処方法を見出して実行するという一連のプロセスを自動化あるいは半自動化して提供する。シナリオはOracle、Apache、WebLogicの3つのアプリケーションに関するパフォーマンス劣化への対応や、特定日時におけるサーバリソース追加など12パターンを提供するという。

 今回提供するシナリオでは、収集された情報の分析により導き出された対処方法の実行は主にWebSAMの1製品である「SigmaSystemCenter」が担う。サーバやストレージの統合管理製品であるSigmaSystemCenterは、サーバ仮想化を前提とした特定アプリケーション/OSへのリソース割り当て変更や、予備サーバの追加ができる。今回のバージョンアップではシナリオに従って自動的に作成された最適構成をSigmaSystemCenterに伝え、自動的に適用できるようになったため、障害復旧における管理者の負担を軽減できるという。

 また新バージョンでは、全般的に製品間の統合度を向上させ、製品アーキテクチャの面からもシンプル化を図っている。

 WebSAM製品ではVer.6から「CMDB」(構成管理データベース)を搭載、物理的な管理対象のデータについてはこのデータベースで一括管理しているが、SigmaSystemCenterで扱っているような論理的なサーバやアプリケーションの構成に関するデータも新たに統合できるようにした。さらに各製品の管理インターフェイスを統一するとともに分かりやすさを工夫した。複数製品からの情報を単一画面で俯瞰(ふかん)できるようにし、監視作業の煩雑さを低減したという。

 NECはまた、今回のバージョンアップで製品体系を整理し、製品数も一時は100以上だったものを24に減らした。同一のフレームワークの下で、中堅企業から大企業までのニーズに応えることを目的に、まずサーバ管理とアプリケーション管理からはじめ、企業活動の規模が大きくなるとともに、資産管理やジョブ管理、ストレージ管理などの機能を追加していくシナリオを描いている。

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(@IT 三木泉)

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