サーバからクライアントにストリーミング

アプリは“配信”の時代に、「Citrix Presentation Server」新版登場

2007/04/11

 シトリックス・システムズ・ジャパンは4月11日、クライアント・アプリケーションを実行可能な状態でクライアントPCに配信する「ストリーミング技術」を実装した「Citrix Presentation Server 4.5」を発売したと正式発表した。アプリケーションの画像をクライアントPCに配信する従来の機能に加えて、アプリケーションをPC上で実行できるようになる。

citrix01.jpg シトリックス・システムズ・ジャパンの代表取締役社長 大古俊輔氏

 ストリーミング技術を使えば、クライアントPCがネットワークにつながっていないオフライン時でもアプリケーションを利用できるようになる。ユーザーは自らの環境に応じてどちらの機能も利用できる。同社 マーケティング本部長の柳宇徹氏は「ユーザーの選択肢を広げる」と話した。同社の代表取締役社長 大古俊輔氏は「アプリケーションの仮想化から一歩踏み出し、ストリーミングを提供する」と話した。

 ストリーミング技術の仕組みはこうだ。まずはクライアントで利用するアプリケーションとインストールするための必要ファイルをファイルサーバの「アプリケーションハブ」に登録する。アプリケーションハブに登録されたアプリケーションは、「インストールされたのと同じ状態」(シトリックス)で保存されているので、クライアントPCに配信すれば、インストールすることなく、実行できる。

 クライアントPCにはストリーミングされたアプリケーションを実行するための「ストリーミング・クライアント」を導入する。ストリーミング・クライアントから利用するアプリケーションを選択し、起動。ストリーミングを受けて1度実行したアプリケーションはPCのキャッシュに保存され、オフライン時でも利用できる。

 ストリーミングされたアプリケーションはキャッシュ上の分離環境で実行する。同じアプリケーションの異なるバージョン製品を同時に実行することもできる。シトリックスは「100%とはいえないが、かなりのアプリケーションが動く」としている。アプリケーションをストリーミングする技術は、マイクロソフトの「Microsoft SoftGrid」も採用している。

citrix02.jpg Citrix Presentation Serverの管理画面。ストリーミングするアプリケーションを登録する

 シトリックスはアプリケーションハブを、ICAクライアントを使う従来の画面配信機能にも利用する。Citrix Presentation Serverの大規模なユーザーでは100台単位のサーバを使っているケースもある。アプリケーションはこれらのサーバに保存されていて、バージョンアップを1度に行うのは困難。そこでアプリケーションハブをアプリケーション登録の共通レポジトリとし、サーバにアプリケーションをストリーミングする。各サーバは配信を受けたアプリケーションを登録し、クライアントPCのリクエストに応じて画面を配信する。

 Citrix Presentation Serverは画像再生のパフォーマンスを最大20倍向上させた。地理情報システムやグラフィックスソフトウェアなどのアプリケーションもスムーズに画像配信できるという。従来は個別製品が提供していたSSL VPN機能やアクセス管理機能、シングルサインオン機能も実装した。アプリケーションのパフォーマンスを監視する機能も新たに搭載した。

 5同時接続ユーザーを含む最小構成価格は、全機能が利用できる「Platinum Edition」が51万7500円から、アプリケーション監視機能やシングルサインオン機能を省いた「Enterprise Edition」は34万8500円から、アプリケーションの画面配信だけが利用できる「Advanced Edition」は30万2500円から。

(@IT 垣内郁栄)

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