MS、シマンテック、マカフィー

統合セキュリティツール合戦に突入した大手ベンダ

2007/06/15

 セキュリティ脅威がますます洗練さを増す中、データおよびネットワークを保護するコスト効率のよい統合型ツールを開発販売するベンダが増えている。

 セキュリティ業界では数年前から、買収や合併を通して統合的なツールの開発に注力することが一種の流行になった。

 Forrester Researchのアナリスト、ポール・スタンプ(Paul Stamp)氏は、セキュリティポートフォリオに欠けた部分のある企業がほかのベンダを買収し、買収相手の技術を取り入れるケースが多いと述べている。

 各社の優れた製品を組み合わせたベストオブブリードと、単一の製品スイートがせめぎ合っているのはセキュリティ分野だけではないし、自然な流れでもあると、スタンプ氏は指摘した。新たに脅威が登場すると、それに対するポイントソリューションが生み出され、問題への理解度が増してツールの効率性も向上してくると、整理統合へ向かう流れが現れるのだ。

 「人々はいつもこうした方向を望んできたように思う。ユーザーは、可能なかぎり簡単かつ安全に作業をしたいと考えている」(スタンプ氏)

 ベンダもまた同じ願いを抱いているようであり、最近ではいくつもの統合型ツールが市場に投入された。6月4日の週には、米マイクロソフト、米シマンテック、米マカフィーといった大手ベンダが、そろってセキュリティ統合に関する発表を行っている。

 マイクロソフトは、コードネーム「Stirling」と呼ばれる製品のリリースを予告した。Stirlingは、IT管理者が自らのIT環境の中で、セキュリティの設定、実装、管理からポリシーの構築までを集約的に実施できるようにする製品だ。Stirlingのベータ版は2007年後半にリリースされる予定で、完成版には「Forefront Client Security」「Server Security」「Edge Security and Access」の各ソリューションの次世代バージョンと統合管理コンソールが搭載されるという。

 シマンテックは、ウイルス対策およびスパイウェア対策、ホストおよびネットワーク侵入防止などのエンドポイント向けセキュリティ技術を1つのエージェントとしてまとめ、ユーザーのコストと手間を軽減しようとしている。「Endpoint Protection 11.0」と名付けられた同製品は、今年9月には利用可能になる見込みだ。シマンテックのNAC(Network Access Control)と互換性があり、同じエンドポイントエージェントおよび管理コンソールに統合できると、同社の関係者は説明している。ただし、ライセンスは個別に購入しなければならない。

 マカフィーは6月11日に、「ePolicy Orchestrator 4.0」のベータ版をリリースした。同アプリケーションはマカフィーの「Total Protection」スイートの一部となっているが、ITスタッフが1箇所のウェブベースコンソールから複数のセキュリティおよびコンプライアンスアプリケーションを管理しやすいように、Webベースの管理や自由設定可能なレポート作成といった新機能が追加されている。

 Enterprise Strategy Groupのアナリスト、ジョン・オルトシク(John Oltsik)氏は、「大規模な組織は、法外な運用コストをかけずに、全体的なセキュリティを強化する必要に迫られている」と指摘した。

 「互いにうまく統合できれば、ベストオブブリードのポイントツールも生き残れるかもしれないが、今のところそうした試みは成功していない。小規模ベンダにこれが不可能であるなら、マイクロソフトのような大手ベンダが自社のソリューションとAPIを統合して、業界の流れを作っていくことになるだろう」(オルトシク氏)

原文へのリンク

(eWEEK Brian Prince)

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