従来モデルと新モデルの2本立て

販売奨励金廃止へ一歩、auが新販売モデル開始へ

2007/10/04

 KDDIは10月4日、販売奨励金制度見直しの動きを受け、新料金コースを2つ定め、「au買い方セレクト」を11月12日に開始すると発表した。端末代金と通話料の分離を求めた総務省のモバイルビジネス研究会の報告を受けたもので(関連記事:1円ケータイがなくなる――総務省研究会が報告書案)、今後はNTTドコモなど他社も追随するものと見られる。

kddi01.jpg 新料金体系を説明するKDDI 執行役員 コンシューマ事業統括本部長 高橋誠氏

 新たに用意したのは、従来の販売モデルに近い「フルサポートコース」と、モバイルビジネス研究会が求めた「分離プラン」に近い「シンプルコース」の2つで、利用者は購入時にどちらかを選べる。

 どちらのコースを選ぶとしても、店頭での料金表示が端末本来のものになるため、端末の表示価格は高くなる。代わりに、フルサポートコースでは長期契約者に対して新たにKDDIは2万円の「端末補助金」を負担する。店頭での価格表示は、端末本来の価格と端末補助金による割引額表示という形になり、いわゆる“0円ケータイ”は姿を消す。

 フルサポートコースでは2年未満利用時の解約で契約解除料がかかる。解除料は1年未満で1万8000円、1年半未満で1万2000円、2年未満で6000円。

 見かけ上、値上がりに感じられることから端末の買い替えサイクルは長くなると予想されている。KDDIは、流動性の低下を懸念する販売代理店や端末メーカーに配慮し、契約解除料に割り当てることができるポイントの発生率を従来の2〜3.5倍とした。月々の利用額が多いほどポイントが早く貯まるため、より多くサービスを利用するヘビーユーザーは短期間で買い替えやすくなる。例えば、月の利用額が1万4000円のユーザーなら初期契約期間の半分の12カ月で、蓄積するポイントと解約料が逆転する計算だ。

補助金なしで、1分10.5円の安い通話料のコース

 モバイルビジネス研究会の求めた「分離プラン」に相当するのがシンプルコースだ。長期契約の縛りや端末補助金がない代わりに、通話料が安くなる。シンプルコースで選べる料金プランは「シンプルプランL」(月額基本料2625円、通話料10.5円/分)と「シンプルプランS」(月額基本料1050円、通話料15.75円/30秒)の2プランのみ。

 利用者が支払う端末の購入価格は従来に比べて高くなるが、同一端末を長く使うユーザーや、利用頻度の低いライトユーザーにメリットがある。買い替え頻度による不公平感や、販売奨励金制度の仕組み自体が不要な買い替えを招いているという指摘に対して、KDDIは答えを出した形だ。

 見かけの端末価格が高くなるため、「今後は低利用層に低価格端末を積極的に導入していく」(執行役員 コンシューマ事業統括本部長 高橋誠氏)という。また高機能な端末を購入する層に対しては、「この新しい販売モデルが根付いてきたら、さらに長期間の契約期間で端末補助金を増額する」(同)ことも視野に入れているという。

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(@IT 西村賢)

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