ケータイの即時性とPCのパワフルさを提供

Vistaとスマートフォンが融合、デュアルOSのHTC shift発売へ

2008/04/08

htc00.jpg HTC Nippon代表取締役社長 ジェニファー・チャン氏

 台湾HTCの日本法人、HTC Nipponは4月8日、Windows Vista Businessを搭載した800グラムの小型モバイル端末「HTC shift」を4月中旬以降に発売すると発表した。7型で800×480ドットのタッチスクリーン液晶を搭載し、800グラムと軽量。40GBの1.8インチハードディスク、メモリ1GBを搭載。HSDPAやW-CDMA、海外向けとしてGMS/GPRS/EDGEに対応。Bluetooth 2.0やIEEE802.11 b/gに対応する。このほか30万画素のWebカメラ、USBポート×1、VGA出力ポート、指紋センサー、SDIOスロットなどを搭載する。価格は16万4800円。

 NTTドコモもしくはソフトバンクモバイルのSIMカードを挿すことで下り3.6MbpsのHSDPAを使った高速な通信が可能。現在のところ定額制データ通信プランには対応しない。

htc01.jpg Windows Vista Businessを搭載する「HTC shift」(クリックで拡大)。液晶ディスプレーはスライド式で、タブレットPCのようにして使うこともできる。サイズは207(幅)×129(奥行き)×25(高さ)mm
htc02.jpg 通信速度やプロセッサパワーは十分。Webブラウジングも快適だ(クリックで拡大)
htc03.jpg USB接続のドングルが付属。複数のUSBデバイスや有線LANの利用が可能

 分類としてはUMPCと呼ばれる軽量ノートPCで、プロセッサにもIntel Ultra Mobile Platform 2007として昨年4月に発表されたIntel Processor A110(800MHz)を搭載する。しかし、HTC Nipponのビジネス・ストラテジ&マーケティング本部 ディレクター 田中義昭氏はケータイに近い機動性を持ったことで「従来のUMPCとは一線を画する」(田中氏)と強調する。「PCのパワフルさと、ケータイのようなモビリティと即時性を持った製品」(同)。

 実際、HTC shiftはインテル製CPUと、ARMベースのケータイ向け統合CPU「Qualcomm MSM 7200」(400MHz)という2つのCPUを持つ製品だ。ユーザーに直接見えるOSはVistaのみだが、実際にはWindows Mobile相当のOSが搭載されており、その上でタッチスクリーンを生かした待ち受けアプリケーションが稼働する。

 A110ではWindows Vistaとマイクロソフト製のモバイル端末向けメニュー画面「Microsoft Origami Experience 2.0」が稼働する。Vista上ではQualcommのチップはモデムとしてのみ認識される。一方、QualcommのMSM 7200上ではマイクロソフトとHTCが共同開発したWindows MobileベースのOSが稼働し、その上にHTCが独自開発した「SnapVUE(スナップビュー)」というスタートページが用意されている。

htc04.jpg HTCが独自開発した「SnapVUE」。OSを起動することなくメールや予定などがチェックできる

 OrigamiとSnapVUEの目的は似ており、いずれも新着メールや予定、天気予報などの情報を一画面に収めてケータイの待ち受け画面に近い使い勝手を提供する。違いは、Origamiがインターネットや音楽、画像、ビデオといったコンテンツの入り口にもなっているのに対して、SnapVUEは利用頻度の高いアプリケーションだけを提供する代わりに、ケータイ同様にOSの起動を不要とした。「パソコンでのいちばんの不満は起動時間が遅いことという調査がある。HTC shiftではケータイように一発でメール確認ができる」(田中氏)。SnapVUEでは、ケータイ同様にメールがサーバ側からプッシュされてくる。ただし、SnapVUEとVista側の連携は考慮されておらず、両者間でのメールボックスの一元化やファイルの移動はできない。

 VistaとSnapVUEの切り替えはボタンで明示的に行う。それぞれのOSは個別に動いていてVistaだけをハイバネートすることができる。こうすることで低消費電力での利用が可能となり、メール確認程度であれば最大2日間というバッテリ駆動を実現することができたという。バッテリは2700mAhで大容量バッテリは用意しないが、メール受信を受ける待ち受け状態で約53時間、待ち受けなしの場合は約10日間使えるという。

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(@IT 西村賢)

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