開発者の心得を語る
グーグル副社長が「想像力とは筋肉だ」
2008/06/02
サンフランシスコ発――グーグルで検索製品およびユーザーエクスペリエンス担当副社長を務めるマリッサ・マイヤー(Marissa Mayer)氏が、同社における仕事の進め方を開発者に公開し、競争力の高いWebアプリケーションやサービスを生み出すためのヒントを授けた。
グーグルの副社長 マリッサ・マイヤー氏(写真はグーグルのWebサイトから)グーグルの初めての女性エンジニアであり、さらには検索分野の巨人たるグーグルが最初に雇った社員20人のうちの1人であるマイヤー氏は5月29日、1999年に同社へ加わってから持ち続けてきた見識や見解を基調講演の中で語った。
現地で開催された「Google I/O」開発者カンファレンスで、同氏が開発者に送ったメッセージを要約すると、「平凡や日常といったものについて考えれば、大きな問題を解決できる」ということになる。
ユーザーがスタートページをカスタマイズできる「iGoogle」も、こうした思考法が作り出したものだという。さらに、ユーザーページにコンテンツを埋め込み、表示させる「Google Gadgets」は、広告主ばかりでなく「開発者にもさまざまなチャンスを与えてくれた」と同氏は述べた。
「平凡や日常を、非凡で当たり前という次元へ昇華させるのである」(マイヤー氏)
マイヤー氏はまた、開発者がデザインをするにあたって、「“オッカムの剃刀”流のアプローチを採用するのがよいだろう」という。すなわち、デザインには簡素性が何より重要だということだ。
そのよい例が、グーグルのシンプルでミニマルなホームページだという。同ページをデザインしたのは、グーグルの共同設立者であるセルゲイ・ブリン氏だ。マイヤー氏が、必要最低限にしか装飾が施されていないWebサイトを構築した理由を尋ねたところ、ブリン氏は「当時はWebの達人がいなかったし、自分もHTMLが書けないから」と答えたそうである。
一方で、開発者は自分が置かれている状況や特定の分野内で目指したい場所を確認し、「顧客自身よりも顧客のことを知る必要がある」と、マイヤー氏は主張した。
そのためにグーグルは、マイヤー氏が「A/Bスプリットテスト」と呼ぶ取り組みを実施してきた。これは、異なるユーザーグループに、別々の新たなWebエクスペリエンスを提供するというテストである。
「ここでは、デザインをアートではなく科学としてとらえている。グーグルはA/Bスプリットテストにより、さまざまなアプリケーションについて、どの程度の余白がユーザーに好まれるのか、どれくらいの結果を一度に表示するのか、広告の色はどうするのかなどを決定してきた。このテストの長所は、ユーザーが言葉で表現しにくい願望を把握できるようになるところだ」(マイヤー氏)
同氏はそのほかにも、Webアプリケーションを開発する際は、「急ぎ過ぎると価値が減じる恐れがあることを忘れないように」と忠告した。
また、「開発者は、2年後に意味を持つアプリケーションを常に考案していかねばならないが、同時に10年後のことも考えてサービスを開発する必要がある」とも、マイヤー氏は話している。
グーグルでは、毎年夏にブレインストーミングセッションを開いて、同社が2年後にあるべき姿を論じ合う場を設けているという。
マイヤー氏はさらに、「“不可能なことにも前向きに挑戦していく”こと、“制約に戦いを挑み、抗う”ことが重要だ」と、イベントに集まった開発者たちに語りかけた。
また開発者は、「“想像力は筋肉”のようなものだと、いつも肝に銘じていなければならない」という。グーグルはそうした考えに基づいて「20%の自由時間」コンセプトを打ち出し、「1週間のうち1日は好きな仕事をすることを社員に許している」と、マイヤー氏は説明した。「この自由時間から、いろいろな優れたアイディアが生まれた。20%の自由時間の産物には、“Google News”や“Orkut”」などのサービスがある」(マイヤー氏)
多種多様な分野に参入しているグーグルだが、中核業務である検索ビジネスに対するこだわりは捨てていない。「検索技術は今後、携帯電話や自動車、その他のメディアなど、多方面に展開していくと考えている。ユーザーの居場所や最後に検索した項目といったパーソナライゼーションも、さらに伸びるだろう。パーソナライゼーションは、最も成長の見込める期待株だ」(マイヤー氏)
もっとも、「グーグルは開発者層に相対する場合と同等の情熱で持って、技術のバグを処理する開発者をより細やかにサポートしていく必要がある」と、マイヤー氏は述べた。「現時点では、バグを報告しようとしている技術系の人々に対し、十分な回答を返せていない」(マイヤー氏)
(eWEEK Darryl K. Taft)
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