プロプライエタリな仕様からオープンな仕様へ
Web関連仕様を開発する「Open Web Foundation」設立
2008/07/25
Web関連の技術仕様をコミュニティベースの議論で開発・策定していくNPO、「Open Web Foundation」(OWF)が7月24日に設立された。OpenIDの提唱者の1人でシックス・アパートに在籍するデービッド・リコードン氏が、米国ポートランドで開催中のオープンソース系イベント「OSCON 2008」で発表した。設立時点では22人の個人会員とBBC、Facebook、グーグル、シックス・アパート、ヤフーなど10の企業賛助会員が名を連ねている。
Open Web FoundationOWFはApacheファウンデーションやOpenIDの成功にならったモデルを採用する。メンバー制度や組織運営、知的財産の取り扱いといった法的枠組みについては、今後意見を募りながら決めていくという。
W3C、IETF、OASIS、ISOなど、Web関連の技術仕様を策定する標準化組織はすでにいくつもあるが、OWFが目指すのはインフォーマルな形で議論し、仕様を策定していく場を提供することにあるという。リコードン氏は同団体のWebページに設置された掲示板のメッセージの中で、既存の標準化団体との違いをこう説明している。「W3CやIETF、OASISなどほかのフォーマルな標準化組織は多くの有用な仕事をしている。(その一方で)、アド・ホックな形でオープンな仕様を策定しているコミュニティがいくつもある。主にOWFが手助けしようと考えているのは、こうしたコミュニティだ」。
OWF設立メンバーのデービッド・リコードン氏(写真は2007年7月の@ITでのインタビュー時のもの)リコードン氏は24日に行ったプレゼンテーションのなかで、IMなどで使われるメッセージングプロトコル「XMPP」の例を挙げている。同氏は「“Web”という言葉の定義を進化させる必要がある。XMPPは、もはやWebの一部だ」と指摘。こうした仕様が、従来の標準化組織の外部で、コミュニティベースで作成されるケースが増えていることが、OWF設立の動機だとしている。最近ではWebブラウザベンダの開発者らが非公式に集まった「WHAT WG」の例もある。WHAT WGが策定し、自ら自分たちの製品に実装していったHTML関連の仕様は、その後、W3CでHTML5の標準化活動と合流している。
リコードン氏が成功例として挙げるOpenID、OAuth、OpenSocialは共通点を持っている。「個人として活動する人と組織が入り交じったコミュニティ」、「フォーマルな標準化組織の外部で標準化が起こったこと」、「オープンソースの実装を提供」、「急速な普及」、「誰でも実装できるオープンな仕様」、「数週間でドラフトが進化し、数カ月で製品リリースという短いサイクル」といったものだ。一方、これらの仕様およびコミュニティは問題点も共通している。明示的ライセンスの不在、知財の扱いの不安、プロジェクトをまたぐ上位組織の欠落などだ。今後は個別の仕様で「十数の団体を作るより、1つの団体を作ろう」(リコードン氏)と呼びかけている。
オープンな仕様を作っていくことの重要性について同氏は、こう説明する。「プラットフォーム化しているWebをオープンにしておくには意味がある。デスクトップ(の歴史)を繰り返さないようにしよう。ソースコードと同じぐらいデータ仕様やプロトコルが重要になりつつある。オープンなWebのためにデータはオープンでなければならない。そのためにはオープンな仕様が必要だ。オープンなAPIや仕様をどうやって作るのか、いまやわれわれは学んだ」。
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