iSlate SDK、iPhone OS、新型iMac……

アップルの発表でタブレット以外にも期待するもの

2010/01/25

 長らく待った末、アップルはついに新しい「創造物」を披露する記者発表会を開くことを明らかにした。同社の「iSlate」は長い間うわさになっていたため、識者らは、このイベントでスティーブ・ジョブズ氏がタブレットを発表すると主張している。

 その可能性は高い。アップルのタブレットは何カ月も前から話題になっていた。新しいパズルのピースが毎週増え、アップルがこのイベントでiSlateを発表すると信じる人は増えていった。

 iSlateは画期的な製品となる可能性があるが、多くの人がアップルの今後に期待しているのはそれだけではない。それを踏まえて、1月27日の記者発表会でアップルに発表してほしいものをまとめることにした。iSlateから新版iPhone OSまで、確かにアップルのイベントで見たいものはいくつかある。

 では早速見てみよう。

1. iSlate

 これは明白だ。iSlateはわれわれ皆が待ち望んでいたものだ。多くの報道で取り上げられていた機能が全部あるかどうかかまだ分からない。だがアップルがついにこのデバイスを発表するのなら、今年のビッグな出来事の1つになるのは確実だ。そして、アップル、Hewlett-Packard(HP)などのメーカーの間でタブレットの覇権をめぐる戦いが始まることにもなる。

2. 新版iPhone OS

 今こそiPhone OSの新バージョンが登場するときだ。アップルがバージョン3.0をリリースした後、ライバルたちは追い上げてきた。今やほとんどのタッチ対応デバイスはマルチタスクや改良されたユーザーインターフェイスなどを備えている。アップルが市場での優位を保ちたいのなら、後れを取らないようにしなければならない。だからといって、ソフトの全面刷新は必ずしも必要というわけではない。だが、これからもユーザーを満足させたいのなら、マルチタスク機能を追加して、アプリ管理を改良する必要がある。

3. iTunes Store刷新

 iTunes Storeのカタログは古くなってきているし、肥大化もしている。映画、テレビ番組、アプリにより、同ストアは驚異的なペースで拡大してきた。そのため、使いにくくなりつつある。これは、アップルにとって今後問題になる恐れがある。iTunes Storeは急速に、業績に大きく貢献する要素の1つになりつつあるからだ。アップルが同ストアをどんなふうに刷新するのかは誰にも分からないが、まずはアプリをもっと探しやすくするべきだ。そんな単純な改善で、はるかに魅力的になるだろう。

4. 新型iMac

 うわさがすべて本当なら、アップルは今後、自社のハードウェアをマルチタッチで固めるつもりだ。タブレットを別にすると、iMac以上にタッチが深く影響するものはない。iMacはタッチ機能には最適に思える。基本的なコンピューティング機能を必要とするホームユーザー向けに設計されているからだ。アップルにとっては残念だが、HPは同じ分野で競合するオールインワンPCを投入しており、最近では同社のデバイスは多数の点でiMacに勝っている。フルマルチタッチのiMacをリリースする以上の対抗手段があるだろうか?

5. iSlate SDK

 iSlateが成功するには、App Storeで提供されているアプリに対応する必要がある。つまり、スティーブ・ジョブズ氏はアプリ開発者が自作アプリをiSlate向けに提供できるようにSDKを発表するべきだ。そうすれば、iSlateの価値が強まるだけでなく、App Storeのアプリ販売増にも貢献する。Win-Winだ。

6. Web音楽サービス

 アップルがLalaを買収してからというもの、わたしは同社がその資産を活用するのを待っている。アップルは27日のイベントで、主なライバルであるAmazon MP3 Storeと同レベルで張り合えるWebベースのiTunesサービスを発表するかもしれない。WebベースiTunesはストリーミングやフルダウンロードなどを提供できるだろう。Lalaはアップルにとって、Webで本格的に名を上げる機会になるかもしれない。

7. iLife新版

 アップルのiLifeは、本当に刷新が必要な状態にある。長らくGarageBand、iMovieなどのサービスは、同じ基本的なユーザー体験を提供してきた。とは言え、これらのアプリケーションはMac OS Xには不可欠であり、多くのアマチュアアーティストに広く使われている。もっと機能豊富な類似のアプリケーションがたくさんあることを考えると、アップルはそろそろiLifeユーザーが自分の創造性をもっと生かせるよう、手助けした方がいいかもしれない。

8. Apple TVもお忘れなく

 ジョブズ氏から「ホビー」デバイスと呼ばれたApple TVは停滞状態にある。アップルがほかの市場を追求し、このデバイスを無視することにしたからだ。だがセットトップボックス(STB)市場はその気になれば掌握できる。アップルには、ホームエンターテインメント分野の主要プレイヤーになる機会がある。しかし、その道を切り開く確固としたSTBなしではそれは不可能だ。App Storeと幾つかの機能(デジタルビデオ録画など)の助けがあれば、Apple TVはリビングルームのマストアイテムになり得る。

9. セキュリティ関連

 ジョブズ氏は新製品を発表するときにいつも、前回のプレゼンからアップルがどれだけ成功してきたのかをたっぷりを話す。だが業績の話ばかりするよりも、もう少しセキュリティの話に時間を割くべきかもしれない。ちまたには「アップルのOSは完全に安全で、アップルのOSを使っていれば心配することは何もない」という誤解がある。これは間違いだ。そしてアップルはこれまでユーザーに対し、彼らに実際に悪影響があることを伝えるための取り組みをほとんどしていない。ジョブズ氏がセキュリティについての説明を先延ばしにするほど、深刻なセキュリティ問題がMac OS Xユーザーに影響する可能性は高くなる。

10. ジョブズ氏の後継者育成

 これは意外かもしれないが、ジョブズ氏は後継者育成に取り掛かる必要がある。ジョブズ氏はアップルそのものだ。投資家は、同氏の指導力を信じてアップルに多額の投資をしている。だが同氏は過去に健康問題を抱えており、そのことから、同氏があとどれだけアップルにとどまっていられるのかを問う声も上がっている。

 ジョブズ氏はおそらく間違いなく、アップルの歴史の中で唯一、同社を効果的に率いたCEOだろう。同氏が永久にアップルを去るとき、投資家は誰を信頼するべきだろうか。これは早急に答えを出してしかるべき疑問だ。最も効果的に答えを示す方法は、今度のイベントでジョブズ氏が選んだ後継者に、ステージ上で話す時間を多く与えることだ。

原文へのリンク

(eWEEK Don Reisinger)

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