地理上の距離を超えた仮想マシンとデータの移動も

「従来のインフラでは仮想化時代に間に合わない」とブロケード

2011/10/12

 ブロケード・コミュニケーションズ・システムズは10月11日、米ブロケードのCEO、マイケル・クレイコー氏の来日に合わせて記者会見を開催した。この中で同社は改めて、サーバ仮想化の普及やデータ容量の急増といった環境の変化に合わせ、インフラ、特にネットワークインフラは変化しなければならないという見解を改めて表明した。

 クレイコー氏によると、これから5年の間の変化は、過去25年――クライアント/サーバ型のITシステムが構築され、いま当たり前に使われているイーサネットが普及し、PCが一般的になった――よりも大きなものになるという。その要因はサーバ仮想化の浸透であり、データ量の爆発的な増加であり、モバイルデバイスの普及だ。こうした変化には、従来のネットワークインフラでは対応しきれないという。

 あらゆる企業が仮想化に突き進む中、さまざまなアプリケーションを迅速かつシンプルに展開できる、柔軟性を備えたインフラが求められているとクレイコー氏。同社は「クラウドに最適化されたネットワーク」、具体的には「Cloudplex」というアーキテクチャによって、こうした課題を解決すると述べた。

 Cloudplexの柱として、米ブロケードのCTO兼コーポレート・ディベロップメント担当バイスプレジデント、デイブ・スティーブンス氏は、「Fabric」「Global」「Open」という3つのキーワードを挙げた。

 1つ目のFabric(ファブリック)は、従来の階層型ネットワークと対比される、フラットなレイヤ2ネットワークを意味する。SANで長年採用されてきたファブリックという構成をイーサネットに持ち込むことにより、ネットワークトポロジを簡素化でき、構築や運用管理のコストを下げることができるほか、スパニングツリーを廃し、帯域をフルに活用できることがメリットだ。このファブリックはまた、イーサネットだけでなくファイバチャネル(FC)も収容する。

 「仮想化およびクラウドの基盤となるファブリックを考慮していないこれまでのデータセンターは古いものになるだろう」(スティーブンス氏)。

 ブロケードはファブリックを実現するコンポーネントとして、データセンター向けスイッチ「Brocade VDX」をリリースしているが、今後もこのラインアップを拡充。シャーシ型製品やよりポート密度を高めたモデルなどを投入する計画だ。

 2つ目のGlobalは、地理的な距離感を覆い隠し、たとえどこにデータセンターがあろうとも、シームレスに仮想マシンを移動できるよう支援する技術を差す。具体的には、仮想マシンそのもの(イーサネット)と大容量ストレージ(FC)の両方を効率よく移動できる「Extender」の形を取る。

 3つ目のOpenは、文字通りオープンスタンダードのサポートだ。「これまでのプロプライエタリなアプローチはうまくいっていない。各ベンダの優れたものを取り入れるベストオブブリードのアプローチで、オープンシステムの形で『Virtual Compute Block』を提供していく」(スティーブンス氏)。同時に、OpenStackやOpenFlowといったオープン技術を支援していくという。具体的な取り組みの1つとして、2012年2月には、日本のパートナーと協力しつつ「OpenFlow Solutions Lab」を設立する予定だ。

(@IT 高橋睦美)

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