[Analysis]

エコシステムとしてのIT

2003/06/24

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 “エコシステム”という言葉が最近頻繁に耳に入る。IT業界でこの言葉がはやり始めたのは1年ほど前のことだろうか。記憶にあるのは、インテルがオープンアーキテクチャへの対応を目に見える製品の形で示した(その時はモジュラー型の通信サーバを発表した)時である。1年前はすでに、メインフレームからオープンアーキテクチャへの移行は当たり前という風潮であり、「いまさら何を」という感があったが、エコシステムというIT業界にしては少々風変わりな言葉で、オープン時代のシステムのあり方を表現したことに新鮮な感じを受けたのである。しかし、結局エコシステムという言葉は、いつの間にか耳にする頻度が少なくなっていった。

 それが、最近再びよく耳にするようになってきたのである。サン マイクロシステムズ、IBM、ヒューレット・パッカードといった大手外資系ITベンダの幹部が来日し、2003年以降の事業戦略を語る時、彼らの口からエコシステムがこぼれる。先日インタビューを行ったマクロメディアの会長兼CEO ロブ・バージェス(Rob Burgess)氏も、自社製品群のエコシステム化について言及した。

 彼らが好んで使うエコシステムとは、そもそもどのような意味なのか。一般的な辞書に載っている意味は「植物、動物又は微生物の群集とこれを取り巻く非生物的な環境とが相互に作用して1つの機能的な単位を成す動的な複合体」を指す。それがIT業界では、オープンな標準に則したビルディングブロック(製品)をニーズに沿って組み合わせることと同時に、製品それぞれが相互に連携し合いながら、1つのソリューションとして存在することを示しているのである。

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