[Analysis]

新会社法は1円起業だけじゃない

2006/01/17

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 新しい会社法が今年5月に施行される見通しだ。有限会社の株式会社への一本化や合同会社の設立、1円起業の実現などが話題だが、IT関連で見ると「内部統制システムの構築の義務化」が注目される。

 新会社法では内部統制システムについて「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制」と指摘し、その整備を義務付けている。

 義務付けの対象は資本金5億円以上か負債200億円以上の株式会社である大会社だが、弁護士の牧野二郎氏は、中小会社でもステークホルダーが多数いたり、大会社と取引するケースも多いことから「結局、すべての企業が内部統制システムの整備をやらないといけない」と説明している。

 新会社法で義務付けられる内部統制システムの具体的内容は、法務省が2005年11月29日に発表した法務省令に記載されている。

 加えて、監査役の監査の実効性確保の体制作りが求められ、事業報告での開示義務がある。内部統制システムを各社がどのように整備するかは、それぞれの会社に委ねられる。企業ごとに業務のどこにリスクがあり、不正の芽があるかは異なる。企業は自社の業務体系を考え、柔軟に対応する必要があるだろう。

 2008年3月期を対象に導入される見通しの日本版企業改革法(日本版SOX法)は財務諸表が対象だが、新会社法は企業の運営全般が対象。企業に対する法令遵守や財務の信頼性向上、業務効率化の要求は高まっている。

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