[Analysis]

スーパールーズSOXにやきもき

2007/08/06

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 企業の内部統制担当者やIT統制担当者が、やきもきしている。財務報告の適正性を保つために上場企業に対して内部統制の整備を義務付ける金融商品取引法(いわゆる日本版SOX法)の2008年4月の適用を前に、金融庁が内部統制の整備についてQ&A集を公開することを検討しているからだ。内部統制整備で誤解が生じる部分について、見解を示すという。

 もちろん、不透明な部分について金融庁が考えを示すQ&A集は基本的には歓迎されるだろう。問題はその時期だ。仮に今秋にQ&A集が公開されたとして企業が対応できる準備期間は約半年。これまでと異なる解釈が含まれている場合は半年では対応は難しいだろう。

 金融庁は今年2月に、日本版SOX法の基本ルールともいえる「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」を公開。さらに日本版SOX法関連の内閣府令「『四半期報告制度』、『内部統制報告制度』及び『確認書制度』の実施等に関する内閣府令」を7月31日に決定し、8月6日以降に順次公開する。

 また、企業を監査する側の日本公認会計士協会は7月18日、監査手続きなどを記す「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(公開草案)を公開した。企業がお手本とすべき資料、文書はすでに大量だ。ちなみに、金融庁が内閣府令のパブリックコメントの結果を発表した7月31日には閲覧しようとするユーザーが殺到し、金融庁Webサイトがアクセスしづらくなった。金融庁の動向はかなり注目を集めている。

もっとルーズになる?

 さらに悪いのは日本の財務報告に係る内部統制制度が実質的に緩和されるとの観測が浮上している点だ。Q&A集にその緩和策が盛り込まれるとの意見もある。日本版SOX法のとりまとめを行った金融庁の企業会計審議会 内部統制部会長の八田進二氏によると、日本の内部統制制度は“ルーズSOX”だ。ルールを厳密にし過ぎて企業の負担が増加し、結果としてなし崩し的に緩和されている米国SOXと異なり、日本版SOX法は企業の実情に合わせて、程よいところに落ち着けたはずだった。米国SOX法に比べるとルーズだが、その分、企業の負担を下げて定着を図る――これが日本版SOX法の精神だ。

 しかし、いまの時期にさらにルールが緩和されて“スーパールーズSOX”になってしまうと、現場の混乱に拍車が掛かる可能性がある。公的な存在である企業がさまざまな法令の影響を受けるのは当然だ。だが、翻弄されるのは何か間違っているように思う。

(@IT 垣内郁栄)

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