[コラム:Spencer F. Katt]
攻撃は最大の防御?

2004/6/1


 「飛行機で行ったり来たりするなんて、時間とお金の無駄遣いじゃないか? 時間の無駄といえば、新しいオンライン・トラベル・システムで予約しなきゃならないこともそうだし……」と、吾輩は編集者に訴え、ラスベガスに2週間滞在させてくれるよう懇願した。が、ケチで小心者の彼は、吾輩のためにホテルの部屋をキープしてくれそうにはなかった。こうなりゃ、カジノのディーラー採用試験でも受けて、意地でもラスベガスに踏みとどまってやるぞ。

 ベネチアン・ホテルで開催された「ベリタス・ビジョン 2004」で、ベリタスのCEOグレイ・ブルームはソフトウェアベンダに対して、さらに新たな買収攻勢に出る意向を示した。「われわれは買収にどん欲であり、その貪欲さを満たす十分な資金がある」とブルームは豪語した。

 ベリタスは過去16カ月間に、イジェイセント、プレサイス・ソフトウェア、ジャレバ テクノロジーズなどを買収し、ユーティリティ・コンピューティング・マッスルの強化に余念がない。「おそらく」と、スロットマシンに寄りかかってうたた寝しながら吾輩は考えた。「ベリタスが次に買収する相手はサービス・ベンダあたりだろうな……」

 その後、すっかり寝込んでしまった吾輩は、気がつくとホテルの警備員たちに囲まれていた。そして彼らに抱きかかえるようにして出口にエスコートされ、慇懃無礼(いんぎんぶれい)にカジノからたたき出されてしまった。JBossのCEOマーク・フルーリが「サーバー・サイドJavaシンポジウム」のディナー・パーティに颯爽(さっそう)と登場した姿に比べると、まったく情けない格好であった。そのフルーリは、バットマンの宿敵ジョーカーの姿でベネチアンのバンケットホールのサービスドアから現れ、テーブルの間を意気揚々と歩きながら、こう叫んだ。「この業界には浣腸(かんちょう)が必要だ!」

 フルーリがジョーカーに扮していたわけは、すぐに明らかになった。彼はカードデッキで「エンタープライズJava分野で最も影響力のある52人」を発表したのだ。その中にはeWEEK記者のダリルK.タフトも含まれていた。52人のリストは、サーバー・サイドJavaシンポジウムのJavaおよび.NET対応Webサイトのスポンサーであるザ・ミドルウェア・カンパニーが作成したもので、www.middleware-company.com/whoswhoに掲載されている。

 翌朝、吾輩はベネチアンの人造運河に浮かぶゴンドラの中で、空き瓶を抱えて目を覚ました。2人の女性従業員が哀れむような目で遠巻きに吾輩を眺めていたが、ありがたいことに「NetWorld+Interop」が始まるまで、そのままそっとしておいてくれた。

 シスコのCEOジョン・チェンバースの基調講演では、32MBのUSBメモリースティックが無料で配布された。吾輩は受け取りを丁重に辞退しながら、「さすがはラスベガスだな」とつぶやいた。今年のN+Iは従来と同程度の開催規模を維持していたが、来年はラスベガス・コンベンションセンターの広大なスペースを埋めるのが難しいらしく、どうやらマンダレイベイでの開催になりそうだという。何人かの参加者と話をしているとき、ネットワーク・スイッチに統合された新開発のブレード、いわゆるサービス・モジュールのことを誰かが“未熟なエイリアン”と評していた。

 N+Iの主催者はワームなどが侵入しないように、会場のネットワークを完璧にシールドしていた。しかし吾輩は、イベント・ネットワーク原産の数種類のワームが、インターネットをうかがっていたという話を耳にした。攻撃は最大の防御なり、というわけか?

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Compulsive Gamboling

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