[コラム:Spencer F. Katt]
MS開発チームの遺伝子を組み換えて……

2004/7/6


 「そう、それがいつもの政府のやり方だ。緊急事態を宣言してから、夏休みに入る!」と吾輩は毒づいた。連邦通信委員会(FTC)が、スパム対策には認証が最適な方法だと認めておきながら、電子メール認証に本腰を入れるのは秋以降になるという。

 おそらくFTCは、スパマーも夏休みを楽しみ、認証専門家たちは秋にならないとコードを書かない、とでも思っているのだろう。もちろん、FTCは間違っている、という意見に反論する声はない。

 「いま世間では、みんな認証システムの研究に没頭していることを、FTCは知らないんでしょ」と語るのは、アンチスパム業界のプリマドンナ、The Institute for Spam and Internet Public Policy(ISIPP)のCEOアン・ミッチェルだ。「たぶんFTCは電子メール認証サミットより、一般家庭に水洗トイレを普及させるためのサマー・カンファレンスを優先させたんじゃないの」。

 吾輩が考え込んでいると、友人から電話があった。先日行われたオラクルの決算発表で、CFOのジェフ・ヘンリーが、次年度に数百万ドル規模の買収を2件計画していることを明らかにしたそうだ。当然、そのうちの1つはピープルソフトだろう。もう1つの買収について、ヘンリーは何1つ言及しなかったので、こっちで勝手に推測するしかない。

 今年3月29日付の本コラムで、ラリー・エリソンがローソン・ソフトウェアに入り浸っているのは、オラクルがこのERPプレーヤーに興味を持っているからかもしれない、と指摘した(『アトランタで風とともに聞いた話』)。しかし、ローソンの幹部は吾輩の友人に、身売り話はないと明言し、むしろBEAが買収のターゲットになる可能性を示唆したという。エリソンは、もし価格が適正であれば、BEAを買収したいとしている。でも、CEOのアルフレッド・チュアングが、ビル・コールマンとエド・スコットの3人で築き上げた会社をバーゲン・プライスで叩き売りするとは考えられない。

 オラクルはまた、CRM部門を強化するために、シーベルに注目している可能性がある。セールスフォース・ドットコムがIPOに成功したとなると、オラクルのオンデマンド戦略を推進するために、エリソンがシーベルという熟した果実に手を伸ばすことは十分考えられる。

 吾輩は友人からの電話を切り、ニューイングランド・ビジネス・アンド・テクノロジ協会のミーティングを取材するために、ボストンのフェアモント・コプレー・プラザホテルへ向かった。そこで吾輩はゲノム界の導師、バイオテクノミーのCEO、ホアン・エンリケスの仮説にすっかり魅了されてしまったのである。その仮説というのは、遺伝子組み換えによって将来、蚊の唾液をかゆみ成分に代わる何か有益な物質を運ぶ媒体に変化させることができるかもしれないというものだ。素晴らしい。もしマティーニを口いっぱい含んだ蚊が飛んできたら、ちょっと嬉しいかも……。

 そうしたことが可能になれば、マイクロソフトの開発チームの遺伝子を操作して、ウイルスだけを通さないソフトを開発させるようにすることだって、そのうちできるはずだ。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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