[コラム:Spencer F. Katt]
ニューオリンズのディープスロート

2005/6/14


 「まったく、ひどいの一言だな」。ニューオリンズで開催されたRed Hat Summitで、レッドハットのCEOマシュー・ズーリックが歌っている姿を眺めながら、吾輩は悪名高い辛口アイドル評論家サイモン・コーウェルのように辛らつに批評した。

 基調講演のあと、ヒルトン・リバーサイドのステージに再登場したズーリックは、赤い帽子とガウンを身にまとい、地元のコーラス隊を従えていた。ケージャン(ルイジアナ州)の賛美歌はなんだかよく分からなかったが、まぁ、そんなことはどうでもよくて、とにかく彼の調子っぱずれな歌声に、会場は爆笑の渦に包まれた。

 ズーリックに対する猛烈な喝采のあとを受けてステージに現れたのは、ヒューレット・パッカードのオープンソースとLinux事業、およびNonStop Enterprise部門を担当する副社長のマーチン・フィンクだった。彼は、「私に歌わせたくないなら、もっと大きな拍手が必要ですよ」とおどけた。

 そのとき吾輩は、密かに連絡を取り合うディープスロートたちと、ほとんど通信できない状態にあることに気付いた。レッドハットのオフィシャルが、ズーリックの基調講演の短い間しかWiFiアクセスを提供しなかったからだ。さらにひどいことに、プレスルームにはテーブルもなければ、LANもなく、ダイアルアップ回線すら用意されていなかったのだ。もはや吾輩がジャーナリストを志すきっかけとなった映画「大統領の陰謀」のDVDをPCに挿入せざるを得ないシチュエーションであることは明らかだった。

 ちょっと気分転換でも、と思い、吾輩はハリケーン・カクテルを求めて、フレンチクォーターにある「パット・オブライエンズ」に飛び込んだ。そこで運よくオープンソース業界の専門家と出会い、しばらく意見交換することができた。彼の話によると、Linuxに興味があるPCユーザーは、opensource.region-stuttgart.de/test_linux_desktop.phpで、同OSのテストドライブができるという。このWebサイトでは、PCにLinuxをインストールしなくても、とりあえずLinuxの乗り心地を試したり、タイヤをけったり、ボンネットを開けたりすることができるそうだ。

 ふらりと中庭に出ると、いかにもオタク風な2人の業界関係者が話し込んでいた。さりげなく聞き耳を立てると、なんでもマイクロソフトがWindows Media Player 11の軽量バージョン“Aurora”の開発をキャンセルしたそうだ。レドモンドはどうやら、“Longhorn“ Media PlayerのXP互換バージョン(コード名:Polaris)への移行を計画しているらしい。2005年11月にもベータ版を出荷する見込みで、最終製品版は来年第1四半期に予定しているという。

 吾輩の新しい友人となった2人は、マイクロソフト主催の「OneNote Power Toys」コンテストに参加するそうだ。同社は、ノートテーキング・ソフトのOffice OneNote 2003向けに最もクールなアドオン・プログラムを開発したコンテスト優勝者にToshiba Portege M200 Tablet PCを贈呈するらしい。友人の1人によると、エントリーの締め切りは8月15日だという。

 つぎに吾輩は、「ジミー・バフェットのマルガリータビル」へ向かった。そこで編集者と落ち合うことになっていたのだ。彼は目が合うなり、まるで編集主幹のベン・ブラッドリーのように、「コラムは書き上げたか」と聞いてきた。吾輩はロバート・レッドフォード扮するボブ・ウッドワードをまねて答えた。「ええ、いまちょっと磨いているところです」。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Agin' Cajun

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