[コラム:Spencer F. Katt]
JavaOneでJavaのオープンソース化を発表?

2006/4/11


 「なんだこの臭いは!」。ボストン・コンベンション&エクスポジションセンターに到着したとき、吾輩の鼻腔をツンとくる刺激臭が襲った。LinuxWorldカンファレンス&エキスポ会場でペンギンのバーベキューパーティをやっていないことは明らかだったが、すぐにユニシスが自社ブースで小さな炎を燃やしていることに気がついた。「BFDを呼べ!」と吾輩は叫んだが、もちろんボストン消防局(Boston Fire Department)を呼ぶほど大げさなものではなかった。

 実際、会場に燃え広がっていた「サン・マイクロシステムズが5月にサンフランシスコのJavaOneカンファレンスで、Javaのオープンソース化を発表するかもしれない」という憶測に比べれば、ホールにただよう微かな煙など、誰も意に介さなかったに違いない。

 憶測の炎は、サンの元エグゼクティブで現アクティブグリッドCEOのピーター・ヤレドがサンの社長、ジョナサン・シュワルツに送った公開書簡で、「SolarisとStarOfficeをオープンソース化したのに、Javaをそうしない理由は何か」と問いただしたことが明らかになって、さらに勢いを増していた。サンの担当者に問い合わせると、ヤレドの書簡に関してはノーコメントだが、JavaOneまでには何らかの発表があると明言した。

 Linuxの世界から離れる直前、吾輩の携帯電話が鳴った。聞こえてきたのはアドビの関係者の声だった。その情報によると、6月にリリース予定のAdobe Acrobatは、いまだにベータテストも始まっていないらしい。Flash Player SDK 7やFlash Lite 2など、マクロメディア関連の製品はすでに市場に出ているが、アドビの主力製品はマクロメディアとの統合に伴うゴタゴタで開発が遅れている模様だ。

 その後、吾輩は西海岸の友人と一杯やるために「ザ・ブラック・ローズ」に飛び込んだ。久しぶりに会った友人の話によると、SAPは互換性・リスク管理ソフトウェアのメーカー、バーサ・システムズの買収を来月にも完了するらしい。またSAPは同社のアプリケーションスイート、Business Oneをベースとするサービス型ソフトウェア製品の提供を加速させる構えを見せているという。

 クラッカーを砕いてクラムチャウダーに落としていると、友人は最近ベイエリアで、マーキュリー・インタラクティブが近く買収されるかもしれないと噂されていることを教えてくれた。最も有力な買い手として取り沙汰されているのはHPらしいが、友人はIBMとTivoliの連合が買収する可能性も否定できないと話す。

 そのとき、オーランドで開催されたガートナー・アウトソーシング・サミットに潜入していた同業者から携帯に電話が入った。彼が言うには、ハーバード・ビジネススクールの教授、クレイトン・クリスチャンセンの基調講演がなかなか面白かったそうだ。クリスチャンセン教授は、社会を激変させるような革新性を持った企業がどのように成長するかを研究した「革新者のジレンマ」の著者として知られる。教授はスピーチの中で、「有名なビジネススクールはどこもケーススタディ手法を用いるが、たいてい過去の成功事例しか取り上げない」と批判。そうした教育だけでは、有効性が証明された方法だけで会社を経営しようといったネガティブな行動様式を学生に植えつけてしまうと警告したそうだ。

 ふむ。ビジネススクールに行くべきなのは、もしかすると毎日同じ間違いを繰り返している吾輩かもしれないな……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Great Balls of LinuxWorld Fire

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