[Spencer F. Katt]

デルがHPのブレードランナーをゲット

2006/11/06


 オークランドのゴールデンステート・ウォリアーズ・アリーナの名称が「オラクル・アリーナ」に変更されるそうだ。そのニュースを聞いたとき、吾輩は思わず“Bang, bang―I am the warrior……”とパティ・スミスばりに歌った。NBAのウォリアーズに対してではなく、オラクルの親分、ラリー・エリソンに捧げる抒情詩としてだが……。

 もちろん、10年3000万ドルで合意した命名権にも目を見張ったが、吾輩にはむしろラリーのレッドハット・サポート“チーム”の発表のほうが印象深かった。Oracle Unbreakable Linuxキャンペーンと銘打って、レッドハットLinuxのサポートビジネスに割り込む強引な手口は、紀元前6世紀ごろの中国の兵法書「孫子」をラリーは一字一句すべて暗記しているらしい、という噂が真実であることを証明しているようだ。

 「Oracle OpenWorld」を一緒に取材した友人の1人は空港で、「オラクルがUbuntuベースのリリースを計画しているという憶測は、どうやらガセだな」と話しかけてきた。吾輩は「ああ、おそらくそうだろう」と応え、ボストンへ帰る便に飛び乗った。

 その機内では、テキサス州から来たという技術者が、「デルはデスクトップ以外にサポートサービスを拡大するという約束をちゃんと守ろうとしているわけだな」とジョークを飛ばしていた。彼の話によると、マイケル・デルの投資会社、MSDキャピタルが最近、サンフェルナンド・バレーにある大手造園管理会社の株式の過半数を取得したらしい。株取引の詳細は未発表だが、従業員8500人、年間売上高8億ドル以上と見られる全米規模の造園管理業者、バレークレスト・カンパニーズの経営権をデルが取得した模様だ。今後、技術スタッフがパソコンのサポートに出向けないときは、代わりに造園スタッフが庭木の刈り込みに来てくれるだろう。

 テキサスの技術者はスミノフをガブ飲みしながら、もう1つ、ヒューレット・パッカードの副社長でブレードの専門家として知られるリック・ベッカーが先ごろデルに移籍したことを教えてくれた。デルはブレードサーバ事業の建て直しに向け、ベッカーの力量に期待を寄せているという。そういえば、マイケル・デルとAMDのヘクター・ルイズが新しいOpteron搭載のPowerEdgeサーバを開発中だ、と発表したときの2人のラブラブぶりは、いまでもときどき吾輩の脳裏にフラッシュバックする。デルは、ビッグブルーやサン・マイクロシステムズ、HPといった大手とブレード市場で対抗するための戦略の中に、ベッカーを位置づけているに違いない。

 自宅に戻ると友人から電話があり、ウィキペディア創立者のジミー・ウェールズが、もし1億ドル使えるとすれば、パブリックドメインに自由を打ち立てるために、どのような著作権を買収するか、という問いかけをウィキペディアのメーリングリストに投稿したそうだ。「簡単だよ」と、吾輩は即座に答えた。とりあえず吾輩なら、ビートルズの版権をマイケル・ジャクソンから買い取っちゃうね。ウェールズは投稿の中で、この質問をポストしたのは、そんな夢を実現できそうな誰かに問いかけられたからだ、と書いている。

 電話をかけてきた友人はまた、“Fantasy Congress(仮想議会)”というゲームを知っているかと吾輩に聞いた。カリフォルニアの大学生たちが始めたらしいけど、ファンタジーフットボールによく似たゲームで、子供たちに政治への関心を強めてもらおうという意図があるらしい。

 しかしねぇ、議員が子供たちにファンタジーを抱いたら、どんなことが起こるか、すでにわれわれはニュースで知っている。そんなとき、子供たちに政治家へのファンタジーを与えたいなどと誰が思うんだ?

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