Spencer F. Katt

ロスト・ウェッジに怯えたCAの人々

2007/05/14


 ラスベガスで起きていることは、ラスベガスで確かめよう……百聞は一見にしかずだ。というわけで、吾輩はCA Worldの取材と、ここ数年、失い続けた大量のコインを少しでも回収するために、ロスト・ウェッジ(賃金を失う街)へ密かに潜入した。

 ラスベガスでは、CAのCEOジョン・スウェインソンが「過去を話すより、未来を話そう」と、しきりに強調していた。だが吾輩は、ドロドロした怖い話や思い出したくもない嫌な話を聞きたくて、会場のあちこちを精力的にかぎまわった。

 そして吾輩は、じつに多くの元CA従業員と話をすることができた。その中で、共同創業者のチャールズ・ウォンがアイランディアの本社に“恐怖のカルチャー”を作り出したとする同社特別訴訟委員会のレポートはデタラメだと反論したのは、たった1人だけだった。

 別の元従業員によると、ウォンは年2回、会社組織を再編し、降格人事を行って一部の従業員をさらし者にしたあと、1年ほどしてから解放し、大幅に昇進させることがよくあったという。また別の証言によると、従業員たちはウォンの下で、いつも失職の恐怖に怯えながら働いていたそうだ。CAの特別訴訟委員会が返還を求めるべきだとする5億ドルに関して、ウォンが法的に追求なされるかどうかは、裁判所が同委員会のレポートをどう評価するかによる、とスウェインソンは、この問題に慎重に触れながら聴衆に説明した。

 一方、CAの現役従業員たちから、同社の製品ファミリーが「ケーパビリティ・ソリューションズ」という名称でパッケージ化されるという話を聞いたとき、吾輩はくすぐったいような興奮を覚えた。たとえば“ジェネレータ”という単語で、これほどワクワクするような製品名が作られたことがあるだろうか?

 そのときキャットフォンから着信に設定していたグエン・ステファニーの“Don't Get It Twisted”が流れてきた。電話をかけてきたペンギン系の友人によると、デルがまもなく自社製品にプリインストールするLinuxのフレーバーを特定する手がかりを、Linuxウォッチャーたちが見つけたらしい。デルのホームページに最近、マイケル・デルが個人的に利用しているパソコンのリストが掲載された。その中に、Ubuntu 7.04 “Feisty Fawn”を実行するDell Precision M90ラップトップマシンがあるというのだ。すり減ったビートルズのアルバムから、ポール死亡説の証拠を見つけたと主張するようなものだな。マイケルのパソコン・リストには、そのほかにも4台のマシンがあり、いずれもVista Ultimateが稼動している。なんとも憶測の域を出ない話だ。

 電話の友人はまた、YouTubeに新たな挑戦者が現れたことを教えてくれた。ネットスケープの共同創立者マーク・アンドリーセンが投資する動画検索エンジン、CastTVだ。2007年5月から運用が始まるベータ版を利用するには、CastTV.comのサイトで招待状をリクエストしなければならない。

 電話を切ったあと、吾輩はセキュリティ業界のベテラン技術者とハードロックホテル&カジノへ向かった。われわれはバーでジャックダニエルをあおりながら情報交換した。彼は最近、“サムサッキング(thumbsucking)”という言葉が、「ポータブルUSBストレージを利用して会社のデータを不正に持ち去る行為」を指す意味で用いられていることを知ったという。発信源は、どうやらセンフォース・テクノロジーズらしい。

 サムサッキング、ポッドスラーピング、ブルースナーフィング、スニーカーネッティング……。どれも小型デバイスでデータを盗むことを意味するバズワードだが、なんだかドクター・スースの絵本に出てきそうな語感だ。

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