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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ 営業企画局
制作:アットマーク・アイティ 編集局

掲載内容有効期限:2005年2月20日

 

 

サーバ増強の“最適解”──「サーバ仮想化」最前線(3)
商用UNIXのパーティション技術最新事情

 サーバ・コンソリデーションやメインフレーム・マイグレーションなどのニーズの高まりから、注目を集めているテクノロジがパーティショニングだ。

 その実現方法はさまざまである。ハードウェア・ベンダはハードウェアとファームウェアによるパーティショニングを推進し、ソフトウェア・ベンダはMicrosoft Virtual Server 2005、VMwareなどのようにソフトウェア・アプローチを取っている。マイクロソフトは次期OS、Longhorn(開発コード名)でもパーティショニング機能をサポートすると表明している。Linux分野でもLinuxをホストOSとして仮想マシン、仮想OS環境を実行するシステムの研究も行われているようだ。

 こうした中、歴史と実績があるのが商用UNIX系の技術だ。各社はメインフレームの技術を取り入れ、最先端のテクノロジを競い合っている。実際、サン・マイクロシステムズのSolaris Container、IBMのマイクロ・パーティショニング、そしてHPのVirtual Server Environment(以下、VSE)など、各社の最新パーティション技術を目にする機会が増えてきた。

 これら商用UNIXの技術も子細に比較すると、それぞれ“得手不得手”があり、実はかなりの違いがあることが分かる。ここでは、カタログスペックからは見えないパーティション技術の最新事情をレポートする。

  3種類のパーティション技術

 パーティション技術とは、1台のサーバのリソース(CPUやメモリ、I/Oなど)を複数のパーティションに分割し、それぞれに独立したOSインスタンスやアプリケーションを動作させる技術を指す。メインフレーム分野で広く利用されていた手法で、オープンな環境におけるサーバ・コンソリデーションや仮想化技術の普及とともにUNIXプラットフォームでも積極的に製品に取り入れられるようになった。

 本稿では、以下の3種類のパーティション技術について、HPが提供する最新のソリューションを紹介し、他社商用UNIXとの比較の中で、それぞれの長所短所を比較してみたい。

  • 物理パーティション(ハードウェア単位の分割)
  • 論理パーティション(OS単位の分割)
  • リソース・パーティション(アプリケーション単位の分割)

図1 3種類のパーティション技術(拡大表示)

 図1は、この3種類のパーティション技術の位置付けを表したものだ。

 まずは、物理パーティション技術から見ていくとしよう。

  物理パーティションを比べる

 物理パーティションとは、ハード・パーティションとも呼ばれ、サーバ全体をシステム・ボード単位で電気的に分割する技術である。これにより、1つの筐体内に複数台のサーバを格納しているかのような使い方が可能になる。また物理パーティションでは、パーティション間が電気的に完全に分離されるので、あるパーティションでハードウェア障害が発生してもほかのパーティションには影響が及ばないというメリットも得られる。

 HPは、ミッドレンジおよびハイエンド・サーバにおいて、nPars(nPartitions)と呼ばれる物理パーティションをサポートしている。HPの競合となるA社も物理パーティションをサポートしているが、同じ競合B社の新しいUNIXサーバでは物理パーティションをサポートしておらず、いずれか1カ所のハードウェア障害がシステム全体のダウンをもたらす可能性がある。

 表1は、各社の物理パーティションを比較したものである。

HP A社 B社
物理パーティション (未対応)
パーティションの最小単位 セル・ボード システム・ボード
動作中の構成変更
パーティション間の隔離性 △(拡張ボード共有時は隔離されない)
バックプレーンの隔離性 ×
表1 物理パーティションの比較(2005年1月現在)

 A社物理パーティション技術の特徴は、動的な構成変更をサポートしている点だ。これはいわばシステム・ボード(4〜8CPUを搭載したマザーボード)のホットスワップ機能といえる技術で実現されており、サーバ全体の動作を止めずにシステム・ボードの交換や追加が可能だ。これに対しnParsでは、セル・ボードの交換にはシステム・リブートが必要になるものの、将来使用する可能性のあるCPUを必要となった時点でオンライン化して使用できるiCAP(instant Capacity)の利用により動的なCPU増設を実現している。

 ただ、A社技術の弱点は、システム・ボードの交換が必ずしも成功するとは限らない点だ。A社のドキュメントには、この方法による構成変更が失敗する可能性があること、そしてその場合はリブートが必要なことが記されている。また構成変更実行後のSCSIバスのハングアップや、ネットワーク障害による構成変更のハングアップなどのバグも報告されている。これらの点から、ミッション・クリティカルなプロダクション環境においてA社の動的構成変更が実際に運用されるケースはあまり多くはないだろう。

 一方、HPのnParsのアドバンテージは、物理パーティション間の隔離性が高いことである。セル・ボード間を接続するバックブレーン・スイッチがポート単位で隔離されているため、セル・ボードの障害がシステム全体に波及することがない。A社構成変更ではこのレベルの隔離性は実現できていない。またA社の場合、拡張ボードをパーティション間で共有する構成では、1カ所の障害が複数のパーティションに影響する可能性がある。物理パーティションの可用性という観点では、nParsに軍配が上がる。

 では続いて、各社の論理パーティションに目を転じてみたい。

  論理パーティションを比べる

 論理パーティションは、ソフト・パーティションとも呼ばれ、サーバのリソース(CPUやメモリ)をソフトウェア的に分割する技術である。1台のサーバ(もしくは物理パーティション)を複数の論理パーティションに分割し、それぞれ個別のOSインスタンスを運用可能だ。またパーティション間でCPUの移動が可能な点も大きな特徴である。

 B社では、論理パーティションとして2つのテクノロジを提供していた。さらに同社が昨年にリリースした新型UNIXサーバとB社OSでは、処理をプロセッサ以下の単位に分割する新たなパーティション技術が提供されるようになった。

 一方のHP-UXでは、論理パーティションとしてvPars(Virtual Partitions)をサポートしている。また2005年後半には、B社新技術と同様のプロセッサ分割を実現する論理パーティション技術Integrity VM(Integrity Virtual Machines)がリリースされる予定だ。

 表2は、各社の論理パーティションを比較したものである。

HP A社 B社
論理パーティション (未対応)
性能オーバーヘッド ほとんどなし あり
プロセッサ性能低下 なし あり
プロセッサ分割
I/Oの共有
専用管理コンソール 不要 必要
表2 論理パーティションの比較(2005年1月現在)

 HPのvParsの特徴は、ハードウェアやソフトウェア本来の能力をできるだけ損なわないかたちでパーティション分割を実現している点だ。例えばvPars利用によるパフォーマンスに対するオーバーヘッドはほとんど発生しない。またクラスタウェアHP ServiceguardによるHA構成や、プロセッサ障害時の動的切り離しなども、vPars非利用時とまったく同様に利用できる。さらに前述のnParsや後述するリソース・パーティションとも自由に組み合わせることができる。

 B社新技術のメリットは、プロセッサ分割を可能にする現時点で唯一のソリューションであることだ。つまり、1つのCPUの能力を1/10単位で分配できるため、より多くのパーティション分割が可能になる。例えばvParsの場合は各パーティションに最低1個のCPUを占有させる必要があるため、サーバのCPU数を超える数のパーティションを設けることはできない。一方B社新技術では、サーバ1台で10個や20個といったパーティション分割も理論上は可能である。

 もっとも、B社新技術の導入には注意が必要である。なぜなら、現時点ではそのオーバーヘッドがかなり高いからだ。B社が公開している調査会社のレポート(2005年1月現在)では、B社新技術利用時の性能オーバーヘッドが最大で40%に達すると報告されている。またB社のドキュメントでは、キャッシュ依存性のあるアプリケーションにおいて、B社新UNIXサーバのパフォーマンスの大黒柱であるSimultaneous Multi-Threading技術(SMT:複数スレッドの同時実行技術)との併用を推奨しないとしている。つまり、上述したオーバーヘッドに上乗せするかたちで、SMTによる約30%の性能向上が帳消しとなる可能性があるのだ。これでは「パーティション数に比例してスループットが低下する」という本末転倒な状況になりかねない。その点で、B社技術の現実的な適用範囲は限定されるだろう。

 一方、A社はvParsやB社技術に相当するパーティション技術として同社OSの機能を紹介しているが、実質上リソース・パーティションであり、本稿で論じるところの論理パーティションとはいえない。詳細は次項に譲る。

  リソース・パーティションを比べる

 リソース・パーティションは、1つのOSが管理するリソースを分割し、個々のアプリケーションに分配する技術である。すべてのアプリケーションは1つのOSインスタンスを共有するため、論理パーティションと比較するとパーティション間の隔離性は低く、OSバージョンやパッチレベルをパーティションごとに変えることはできない。その一方で、例えばプロセッサやメモリの利用率を%単位で指定するなど、論理パーティションより粒度の細かな分割が可能になる。

 A社OSの仮想実行環境は、リソース管理をつかさどるツールを備えている。HPでは、このA社のツールに相当するものとして、Process Resource Manager(PRM)およびWorkload Manager(HP WLM)を有償で提供している。またB社では、システムリソースの動的調整機能、複数のパーティションにまたがったワークロード管理機能を用意している。

 表3は、各社のリソース・パーティション機能を比較したものである。

HP A社 B社
リソース・パーティション リソース管理/ワークロード管理 リソース管理 リソース管理/ワークロード管理
管理対象リソース プロセッサ、メモリ、ネットワーク、ディスク プロセッサ、メモリ、ネットワーク プロセッサ、メモリ、ネットワーク、ディスク
使用率設定
サービスレベル管理の自動化 × ×
論理パーティション連携
セキュリティ・コンパートメント ×
表3 リソース・パーティションの比較(2005年1月現在)

 HPのPRMとA社のリソース管理機能、B社のリソース動的調整機能は、いずれもリソースの使用率を設定して分割することができる。例えばHPのPRMでは、Fair Share Scheduler (FSS) と呼ばれる専用のスケジューラによってプロセッサ・リソースの分配を実現している。このFSSでは、標準の優先度ベースのスケジューラでは実現できないCPUパワーの正確な分配が可能だ。例えばアプリケーションごとにプロセッサ使用率の最大値、最小値をあらかじめ設定しておけば、FSSはそれを厳密に維持するスケジューリングを行う。

 またHPが2005年春にリリースするSecure Resource Partitions(SRP)では、HP-UXのセキュリティ・コンパートメント機能が導入される。これにより、個々のリソース・パーティションがあたかも個別のOS上で動作しているような、厳格なプロセス間隔離が実現される予定だ。

 以上、本稿では商用UNIXベンダ各社が提供するパーティション技術の違いを概観した。よりスケーラブルで可用性に優れたITシステム構築に向けて、ソリューション選択の参考にしていただければ幸いである。

  第4回

index
@IT [FYI]
サーバ増強の“最適解”──「サーバ仮想化」最前線
  第1回
サーバ仮想化の新発想「仮想スケールアウト」とは
  第2回
高負荷時は数秒でサーバ増強。仮想スケールアウトの凄さ
第3回
商用UNIXのパーティション技術最新事情
  第4回
サーバを増やす「打ち出の小づち」、vPars

 
本記事は、日本ヒューレッド・パッカードのHP-UX Developer Edgeに掲載された記事を許諾を得て、再構成したものです。詳しくは、HP-UX Developer Edgeの以下の記事をご参照ください。(要登録、登録無料)

『商用UNIXのパーティション技術最新事情』

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