新世代の並列処理言語Google Goをひもとく

第6回 Goでドメイン特化言語も作成可能!?

赤坂 けい
チームWordProgress

2010/4/19

Cよりはるかにお気軽なGo。クロージャーや無名関数、インターフェイスによる動的結合を使いこなせば内部DSL作成にも使えるかもしれない。
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GoでDSL(ドメイン特化言語)?

 昨年秋の登場から、Goのメーリングリスト(リンク)では活発な議論が続けられている(2010年3月時点で、累積投稿数は10,000件を超え、メンバー数も3000人超)。近時の投稿を見ると、Genericの導入やオブジェクト指向など言語仕様の議論に加えて、C言語との連携手法、モバイルサポートなど、実際の活用を意識した質問も多く寄せられている。

 そうした議論の中で、『GoはDSL(ドメイン特化言語)の構築に適しているのか(Is Go suitable for building DSL?)』という問いかけ(リンク)に始まる一連の議論が興味深い。

 DSLとは、Domain-Specific Language(ドメイン特化言語)の略記であり、特定のタスク専用に設計されたプログラミング言語を意味する。DSLにはプログラミング言語とは独立のもの(例:データベース向けの言語SQL)とプログラミング言語内に埋め込まれるもの(例:ブラウザのDOM操作に特化したJQueryライブラリ。JavaScript内で使用する)とがある。前者を言語外DSL、後者を言語内DSLなどと呼ぶ。ここでの議論は、Goの言語内におけるDSLのものだ。

 投稿者のAndrea Fazzi氏は、GoとRubyと比較したブログ投稿(リンク)を行っている。メーリングリストのスレッドでも指摘されている通り、高速なコンパイルのために言語仕様をシンプルに保っているGoは、Rubyと比べたのでは、言語内DSL構築能力という点ではやや厳しいものがあろう(Rubyは、Ruby流のやり方に十分に慣れた人が便利と感じるであろう(*1)、柔軟な表現を許容している)。

[*1]参考 まつもとゆきひろ氏談より [ 出典]
  Railsをはじめ、さまざまな言語内DSLを可能にしているRubyは、初心者ではなく生産性を追求する怠惰(lazy)なプログラマにフォーカスを当てているという旨を、作者のまつもと氏は一貫して主張しているものと思われる。なお、まつもと氏自身は、Goをすべてがオブジェクトである静的言語と理解し、高く評価している(Rubyの記述に用いているC言語から乗り換えようと思った始めての言語であるとのこと)。

 とはいえ、Goはクロージャと無名関数を扱える。また、静的型付言語であるが、型表記を省略する仕組みがあり、インターフェイスにより動的結合が可能となっている。これらの機能の表現はC言語よりJavaScriptに近く、GoによるDSL構築のポテンシャルは、JavaScriptに近いのではと期待している。Railsのような言語内DSLが作れるかはさておき、Goでも相当な言語内DSLを構築できそうではある(もちろん、C言語と同じく、別途の言語を作ることを意味する言語外DSLを記述することもできる)。

 以下は、先のスレッドにおいて例示されている、Goで記述されたDSLの試験的なコード(タスク記述DSL)である。どこかJavaScriptテイストなDSLに見えるのではないだろうか?

func main() {
   var hello = task(
           Action(func() { println("Hello") }))
   var world = task(
           Action(func() { println("World!") }),
           DependsOn(hello))
   var bye = task(
           Action(func() { println("Bye!") }),
           DependsOn(hello, world))
   bye.Run()
}

 これは、以下のように書き換えた方が読みやすいかもしれない。

func main() {
   _h :=func() { println("Hello") }
   hello := task(Action(_h))
   _w :=func() { println("World!") }
   world := task(
        Action(_w), DependsOn(hello))
   _b := func() { println("Bye!") }
   bye := task(
        Action(_b),DependsOn(hello, world))
   bye.Run()
}

 実行結果は以下の通りとなる。

Hello
World!
Bye!

 上記の変数_h、_w、_bには、引数・戻り値のない関数を代入できる。もう少し手間をかけて、引数・戻り値のある関数をタスクとして記述できるようになると、DSLとしての実用度が増すことだろう。

 このタスク記述DSLの実装では、インターフェイスが活用されている。サンプルということもありコードも短いので、興味のある方は、コードを見ておいてほしい(現状のコードを動作させるためには、セミコロン推論の仕組みなどが導入された後のビルド版(Linux、Macのもの)を用いる必要があることに注意)。

 それでは、今回は、Goのコレクション機能(集合を扱う機能)であるmapを学び、インターフェイスとともに学んでいきたい。

1/3
next
Index
Goでドメイン特化言語も作成可能?
  Page1
GoでDSL(ドメイン特化言語)?
  Page2
Goの組込コレクション機能mapを学ぶ
  Page3
任意の型を格納可能なinterface{}
おわりに

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