Database Watch 7月版 Page 2/2

DB2とHiRDBが相次いで新バージョンを発表


加山恵美
2006/7/20

国産データベース、HiRDBはVersion 8へ

 新バージョンのニュースはDB2だけではありません。日立はHiRDBの新バージョンとなるVersion 8を6月30日からリリースしています。ちょっとややこしいですが新バージョンの数字はDB2は9で、HiRDBは8です。

 HiRDB Version 8の強化点を見ると、時代の要請をよく反映しています。HiRDBはもともと基幹システム分野で実績がありますが、これまで重要視されていた信頼性に加え、さらにSOAやセキュリティ面での強化が見られます。

 キーワードの1つがSOAです。メインフレームにあるデータベースも含め、散在する各種データベースをSOAで柔軟に連携できるようにしています。外部のデータベースにある情報の収集や加工をフェデレーション(リアルタイム参照)、レプリケーション(更新差分の逐次反映)、ETL(バッチ抽出・加工)と、情報を活用する鮮度に合わせて選択できます。

 もう1つがコンプライアンス(法令順守)です。特にIT運用では利用状況の管理が重要となるため、データベースに対する各種操作履歴を記録する監査証跡機能を強化しています。表単位での証跡を取得可能とするなど、細かい監査運用も可能としています。また改ざん防止機能や暗号化機能も強化しています。

 本来の強みである高可用性もさらに追求しています。システム負荷が集中する状況下で性能を低下させないように並列実行を可能としたり、災害時のディザスタリカバリ機能ではバックアップ拠点へデータを反映するときに、回線帯域占有量を低減するなどの点で改良されています。

マイクロソフト「SQL Server 2005 マイグレーションラボ」開設

 さて次にマイクロソフトのSQL Server 2005です。同社のWebサイトで連載している「SQL Server 2005 と Oracle 10g の真実」は5回目の記事が公開され、引き続き熱い火花が飛び交っています。

 ところで昨年末から始まった「SQL Server 2005への移行:期間限定ディスカウントキャンペーン」を覚えておいでですか。このキャンペーンは6月末までということになっていました。そのキャンペーンがそろそろ終わるかなと思ったころ、新しいマイグレーションの話が飛び込んできました。

 マイクロソフトはOracle DatabaseからSQL Server 2005への移行を支援する「SQL Server 2005 マイグレーションラボ」を開設すると発表しました。これはISVやSI企業の支援として、移行の検証支援、ファシリティ、移行ツールを提供するものです。ラボはマイクロソフト調布技術センター内に開設し、6月19日よりサービスを開始しています。

Oracle Secure Backupダウンロード開始

 オラクルの方では真実をめぐる論戦で4回目の反論が公開されたところです。さらに最近オラクルはガートナージャパンが7月3日に発表した「2005年国内DBMSソフトウェア市場動向」調査にて、データベース市場とリレーショナルデータベースソフト市場においてともに首位を獲得したと発表しました。

 ほかにもオラクルは技術者コミュニティサイトOTNでOracle Secure Backupダウンロードで提供することを始めました。これは異機種環境でバックアップを集中管理し、さらにバックアップデータを暗号化することができるものです。

Firebird はRC3をテスト中

 オープンソースのRDBMSの1つ、Firebirdは7月2日にRelease Candidate 3をリリースしました。現時点ではこのRC 3を評価中です。もうここまで来ると限りなく完成に近く、正式版の発表まで秒読み段階です。

 Firebird日本ユーザー会では毎月セミナーを開催しています。つい最近では7月12日に「Firebird組み込みサーバでアプリを作ろう+α」と、対象者を初級から中級まで広げて開催したところです。正式版リリース前後には本格的にFirebird 2.0を紹介するセミナーも企画されそうですね。

セキュリティのコンソーシアム

 2005年2月に設立され、データベース・セキュリティの普及促進について活動しているデータベースセキュリティコンソーシアムでは、ワーキンググループにおける活動や会員向けイベントの開催などを行っています。

 最近このコンソーシアムではセキュリティガイドライン普及ワーキンググループと、セキュリティガイドライン実装ワーキンググループが新しく組織され活動を始めました。データベースについてのセキュリティはいま重要な分野ですので、活躍を期待しています。

 ではまた来月、お会いしましょう。

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 Index
連載 Database Watch 7月版
DB2とHiRDBが相次いで新バージョンを発表
  Page 1
・ついに発表、DB2 9(コードネーム:Viper)
・これまでのRDBMSでXMLを使うには
・CLOB型でもシュレッディングでもない
・データの圧縮、セキュリティの強化
Page 2
・国産データベース、HiRDBはVersion 8へ
・マイクロソフト「Oracle マイグレーション ラボ」開設
・Oracle Secure Backupダウンロード開始
・Firebird はRC3をテスト中
・セキュリティのコンソーシアム


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