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BI市場を狙って活発に動くMSとオラクル

加山恵美
2011/12/12

広大なメモリ空間を利用して超高速BI処理「Oracle Exalytics」

 今回は、オラクル関連の大きな話題がもう1つあります。11月29日、日本オラクルは記者向けにBI製品の説明会を開きました。説明はオラクル・コーポレーション ビジネス・インテリジェンス/プロダクトマネジメント担当 バイスプレジデントのポール・ロドウィック(Paul Rodwick)氏が担当しました(写真)。

 「オラクルBIは、インテリジェントな意思決定サイクルをより高いレベルに引き上げる」とロドウィック氏。意思決定サイクルとは、まず「何が起こったのか」を調べ、「なぜ起きたのか」を分析し、起こるまでの流れをモデル化し、次に「誰がそれを起こすか」を決めて実行に移すといった一連の流れ。オラクルBIを使うと、確かなデータから根拠のある決断を下すのに役立てられるとのことです。

 オラクルのイチオシは、もちろん10月のOracle OpenWorldで発表したOracle Exalytics in Memory Machineです。ExadataやExalogicsと同様にEngineered Systemで、分析という用途で最高の性能を発揮するように開発したものです。

 大まかなハードウェア構成は、1Tbytesのメモリ、合計40コアのIntel Xeonプロセッサ、高速ネットワークインターフェイス。ソフトウェアはTimesTen(Exalytics向けに拡張)とEssbaseなどのほか、Oracle BI Foundation Suite(BI関連製品)などを備えています。

 ポイントとなるのが製品名にも入っている「in Memory(インメモリ)」という言葉です。メモリにどのデータを展開するかを決定する自己発見・適応型インメモリキャッシュから、Exalytics用のTimesTenへデータが渡り、Essbaseも利用してデータを並列で処理します。さらにカラム(列)単位でデータを圧縮することでストレージ容量を節約しながら、分析の性能を向上させています。カラム圧縮はBIの処理には特に効果的です。BIでは、特定の列全体の平均値や合計といった演算を繰り返すからです。

 ユーザーにとっての操作しやすさに気を使っているところも大きな特長です。対話形式で操作するようにしたことで「担当者の思考の速度に合った分析と可視化ができる」そうです。

「いいにく」の日にgroonga村の新年と収穫の祭り

 11月29日にはgroongaの勉強会が1年ぶりに開催されました。groongaとはオープンソースの全文検索エンジン(ライブラリ)です。一見、データベースとは関係ないようですが、実は深い関係があります。

 冒頭に株式会社クリアコードの須藤功平氏が登場しgroonga 1.2.8リリースを発表しました(写真)。

 当日はさらにmroonga 1.10(データストアとしてgroongaを使うMySQLのストレージエンジン)、rroonga 1.3.0(groongaを使うためのRubyライブラリ)、などgroongaに関連した新バージョンも同時にリリースされました。これぞgroonga村の「収穫」です。

 groongaはすでに「ぐるなび」のレストラン検索「スカパーJSAT」の番組情報検索、ほかにも転職サイトなどで採用され、着々と実績を積んでいます。またMySQLのフォークとなるMariaDBに今後同梱されることが決まりました

 全文検索エンジンとしてはgroongaの前に、更新頻度の高いWebサイト向けの検索エンジン「Senna」がありました。groongaはその後継となります。そのためgroongaはSenna同様に「高速に検索できる」という特長を継承しています。さらにSennaにはなかったストレージを備えています。ここが大きな違いです。

 「ストレージ込み」なのでデータをDBMSで管理できます。この特徴ゆえにgroongaはMySQL(mroonga)やPostgreSQL(textsearch_groonga)からSQLでアクセスできます。

 MySQLとPostgreSQLだけではありません。node.jsからHTTPやAPIでアクセス(nroonga)したり、RubyからAPIでアクセス(rroonga)することもできます。もちろんgroongaコマンドもあり、HTTP、CLI、gqtpが使えます()。

 全文検索エンジンは、Sennaの時代からカラムストアを実装しており、これが集計の高速化で役立っています。また位置情報の検索にも強く、ぐるなびのレストラン検索で役立っているそうです。

 groongaを中心に、これだけ多くのオープンソース製品が集まるということはgroongaに大きな魅力があるという証拠と考えます。これから年末にかけてgroonga関連のリリースが続く予定です。groonga村はますます発展しそうな勢いです。

 今年も1年ご愛読いただき、ありがとうございました。また来年、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!

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Index
BI市場を狙って活発に動くMSとオラクル
Page 1
正式名称決定! SQL Server 2012は来年上半期に登場
いきなり電源ケーブルを抜いても安定稼働!
簡単操作のBI機能
クラウドも社内サーバも一括管理、OEM 12c
→ Page 2
広大なメモリ空間を利用して超高速BI処理「Oracle Exalytics」
「いいにく」の日にgroonga村の新年と収穫の祭り



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