第6回 読者アンケート結果
VB開発者が次に選ぶ言語の行方は? ―

小柴豊
@IT マーケティングサービス担当
2002/12/25


 開発言語における2002年最大の話題といえば、.NET系言語の登場に間違いないだろう。当フォーラム会議室の盛り上がりを見ても、Visual Studio .NET発売以降、.NET開発が着実に進んでいることがうかがえる。そこで注目されるのが、既存のVisual Basic(以下VB)ユーザーの動向だ。開発者規模で最大といわれるVBユーザーが、順当にVB.NETに移行するのか/ほかの言語にシフトするのかは、今後のソフトウェア開発環境を左右する選択となり得るからだ。本稿では、Insider.NETフォーラムが実施した第6回読者調査から、VBユーザーの今後を占うデータをレポートしよう。

開発言語使用状況:開発者シェア現在トップのVB。しかし……

 始めに、読者が業務で使用している言語の状況から確認しておこう。図1(青棒)をご覧いただきたい。予想どおり、現在最も使われている言語は「VB(6.0以前)」(47%)であった。また.NET系言語の使用率では、「C#」が21%、「VB.NET」が14%となった。正式リリースから半年少々の結果であることを考えると、.NETの業務利用はまず順調に立ち上がっているようだ。

図1 開発言語の使用状況/習得意向(n=531)

 一方、読者に「現在最も習得したい言語」を聞いた結果が、図1の黄棒グラフだ。ご覧のとおり全体の約半数がC#を選んでいるのに対し、現最大派閥(?)の後継であるVB.NETを習得したいと答えた人は、13%にとどまった。この結果を見ると、開発者の心理的な「VB離れ」が始まっているように思われる。では現在のVBユーザーはどこへ向かうのか。検証を続けよう。

VB→VB.NET移行状況

 図2は、VB 6.0以前のユーザーを対象に、VB.NETへの移行状況(予定)を問い合わせた結果だ。「すでにVB.NETへの移行を実施している」人が18%、「VB.NETへの移行を予定/検討中」は27%であり、両者を合わせても現時点でVB→VB.NET移行が見込まれるのは、該当者の半数弱となった。残りの選択肢(移行予定なし/他言語へシフト/態度保留)の中で最も多かったのは、「C#への移行を予定/検討中」という層だ。図1で見たC#への傾倒は、VBユーザーの中でも大きな流れとなりつつあるようだ。

図2 VBからVB.NETへの移行状況(VB 6.0以前のユーザー:n=252)

VB.NET移行の課題:OOP/.NET Frameworkの習得

 いままでVBを使っていた人が、バージョンアップよりもC#を選ぼうとする背景には、C#の魅力のほかに、「バージョンアップのハードルが高い」という要因が考えられる。そこで現VBユーザーに、VB.NET移行時の課題を尋ねたところ、

  • オブジェクト指向プログラミング(OOP)の理解
  • .NET Frameworkなど、新しい技術を習得する時間/コスト

の2点が上位に挙げられた(図3)。読者のコメントを見ると、「大きく変わったVB.NETを再学習するくらいなら、C#に移行したほうが将来性が高い」と感じている人が多いようだ。

読者のコメントより:

  • .NET対応に移行する場合はシステムを再設計した方がよいと思われ、再設計し再構築するのであればC#、マネージドC++、J#を選択したい(受託開発ソフト業:システム開発)

  • VB.NETは基本的に以前のVBとは別物になるようなので.NETを使うのであれば、思い切ってC#に移行することを考える(受託開発ソフト業:システム開発)

図3 VB→VB.NET移行時の課題(VB 6.0以前のユーザー:n=252/3つまでの複数回答)

 こうした状況に対して、最近ではVB.NET移行のハードルを下げるようなキャンペーンやトレーニングも展開されている*。取りあえずOOPなどを意識せず、「便利になった新バージョン」としてのVB.NETにソフト・ランディングするか、やはりC#にトライするのか。.NETの普及速度を左右するVBユーザーの進路選択に、今後とも注目していきたい。

*参考記事
Insider.NET:新たな.NETプログラマ獲得に向けマイクロソフトが次の一手
@IT ラーニングデスク PR:どう学ぶ? VB.NET

IDE利用状況:だからVBユーザーはJavaに向かわない?

 さて今回の調査では、言語と同時に統合開発環境(IDE)の使用状況も聞いているので、後半はその結果を紹介しておこう。図4は、読者全体に「現在業務で利用しているIDE」(青棒)/「今後最も利用したいIDE」(黄棒)を、それぞれ聞いた結果だ。一目瞭然だが、現在は「Visual Studio 6.0以前」、今後は「Visual Studio .NET」を挙げる読者がダントツに多い。

図4 統合開発環境の使用状況/利用意向(n=531)

 興味深いことに、図1「最もっとも習得したい言語」で「Java」を挙げた読者が3割弱いるにもかかわらず、Javaの主要IDE利用意向はどれも高くない。Java開発者には「JDK+エディタ」利用者が多いためかもしれないが、いずれにせよ「これがJava IDEの決定版」といえる製品が存在しないことは事実だろう。図2で既存VBユーザーのJava利用意向がC#に比べて極端に低い理由も、このあたりにあるのではないだろうか?

IDEに求められるもの

 ではなぜVisual Studioは、これほどまでに高い支持を得ているのだろうか?読者にIDE製品の選択理由を聞いたところ、主要因と呼べるものはただ1つ、「開発生産性の高さ」だった(図5)。

図5 利用希望IDE製品の選択理由(3つまでの複数回答 n=531)

 短納期や仕様変更に悩まされる現代のソフトウェア開発者にとって、生産性のプライオリティは特別に高いのだろう。Visual Studio .NETは、その高生産性環境を複数言語に提供することで、標準IDEとしての地位をますます固めつつあるようだ。End of Article

調査概要
調査方法
Insider.NETコーナーからリンクした Webアンケート
調査期間
2002年10月25日〜11月22日
有効回答数
531件
 
関連記事
連載:プロフェッショナルVB.NETプログラミング 〜 VB 6プログラマーのためのVB.NET入門
Keyman Interview:VB.NET移行の最大のハードルはオブジェクト指向プログラミング
連載:ここから始めるオブジェクト指向(Development Style)
 
 「Insider.NET 読者調査結果」


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