帳票ベンダ・インタビュー 第16回

“参萬円也”、手形数字出力もできる
帳票設計ツール


吉田育代
2007/6/26


プリンタベンダならではのソフトウェアソリューションが帳票の問題を解決する!
Excelアドインのきめ細かい帳票設計ツールは必見

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 オープン環境の企業情報システムにおいて、帳票ニーズはいまどのような状況になっており、それに対して帳票ベンダはどのようなソリューションを提供しているのか。帳票ベンダへの直接取材でその解を探るシリーズ。第16回は、アプティを取り上げる。

 同社はもともと日本アイ・ビー・エムと東芝テックが共同出資して設立したプリンタベンダで、オープンシステムへの適用を望むIBMホストユーザーが顧客に多いことから、独自のプリンティングソリューションを作り上げた。そこに浮かび上がってきたのは、ニッチ市場に焦点を絞って果敢に攻める帳票ベンダの姿だった。

   IBMと東芝テックの共同出資で誕生したプリンタベンダ

 最初にアプティという企業の出自と概要をご紹介しよう。同社は1991年、IBMと東芝テックが共同出資して誕生した会社である。そのころはアドバンストペリフェラルズという名称で、レーザープリンタやインパクトプリンタをOEMで提供するところから事業を開始した。その後、IBMからプリントヘッドを開発するグループが移管され、同社自身のブランドでも数々の先鋭的なプリンタを発売するようになる。現在の社名に変更したのは1993年のことだ。2001年に入って日本ビジネスコンピューターの資本参加によって同社のグループ企業となり、新生アプティが誕生している。

 これで結局何がいいたいかというと、同社は基本的にプリンタメーカーであり、それもIBM環境に通じている。だから、提供する帳票ソリューションも自然とiSeries、zSeriesなどIBMホストを起点としたものになっている。

   IBMホストユーザーが困っていた4つの問題点

 そう、同社はIBMホストユーザー企業の抱えるプリンタ環境および帳票利用回りの問題を解決しようと知恵を絞り始めた。

図1 IBM統合出力ソリューションの問題点
図1 IBM統合出力ソリューションの問題点 出典:アプティ

 実際、IBMホストユーザー企業はどんなことに困っていたのだろうか。アプティが調査したところ、それは大きく4つあった。

 まずは、プリンタのベンダ問題である。今日はオープンシステムの時代で、基幹システムはIBMホストだが、エンドユーザーが利用するITそのものはWindowsシステムということが多い。そして、プリンタは用途に合わせてさまざまなベンダの製品が導入されている。しかし、IBMホストは、そのデータ出力に関してIBM製プリンタとの親和性が極めて高く、ほかのベンダ製品だと改ページの制御などがうまく行えないなどといった問題が発生した。ユーザー企業にとっては、競争原理の働く安価なプリンタが市場に存在するのを分かっていながら、特定のプリンタに縛られることになる。それを何とか回避したいという思いがあった。

 2番目は、複写伝票絡みのものだ。これは基幹システムがホストだからどうこうという問題ではないが、同社の顧客の間で複写伝票を廃止したいという要望が高まっていたのは事実だった。複写伝票は事前に専用帳票として印刷して在庫しておく必要があり、制作コストも、保管コストも別に確保しなければならない。昨今は、バーコードなどの技術を使って情報を電子的に保管できるため、各拠点で証拠として残すために作っていた複数枚つづりの複写伝票そのもののニーズも減りつつある。それ故、企業には印刷環境を普通紙に統合できたらコストが削減できるのに、という思いがあるのだ。

 3番目は、帳票の表現力の問題である。一般に、ホストからの帳票出力はそもそも文字や数字だけが並んだ非常にシンプルなものである。それを読みこなすにはそれなりのコツがいる。しかし、今日のビジネスは複雑化しており、帳票も増える一方だ。そして、それらの帳票から迅速にデータの意味をくみ取って、次のアクションにつなげていかなければならない。求められているのは、カラー化やビジュアル要素の付加による高い視認性だ。また、文字と数字だけの帳票では、顧客への説明資料としても再利用しにくい。そうした意味からも、見やすくきれいな帳票の作成を可能にする環境が渇望されていた。

 4番目、実はこれが最も大きな課題かもしれない。前掲の3つのニーズを基幹システムへの変更なしに成し遂げないといけないのである。ホストに手を入れるとなると、そのコストも、時間も、作業負荷も、半端なものではないが、IBMのiSeriesやzSeriesを導入している企業が必ずしもIT予算を潤沢に備える大企業とは限らない。むしろ帳票環境の変化を予測して一定の予算を確保している企業の方が珍しいといえるだろう。

 このようにして、IBMホストユーザー企業は、市場やテクノロジーの進化を享受したいと思いながら、そうし切れないジレンマに陥っていたのである。

   アプティが提示したプリンティングソリューション、
  クライアント分散タイプとサーバ集中タイプ

 そこへアプティが提示したのが、IBMホスト向けプリンティングソリューション「PrintGen」シリーズである。具体的に製品としては、クライアント分散タイプのシステム構成を取る「PrintGen for iSeries」「PrintGen for zSeries」とサーバ集中タイプのシステム構成を取る「PrintGen for Server」がある。まずは、これらを1つ1つ見ていこう。

 クライアント分散タイプとは、IBMホストと「PrintGen」を別の拠点に置いて運用する場合に、アプティが推奨するシステム構成だ。IBMホストから「PrintGen for iSeries」「PrintGen for zSeries」がデータだけ受け取り、それにフォーム情報を加えてオフィスプリンタに出力する。IBMホストと「PrintGen」との間は文字・数字のキャラクタデータしかやりとりせず、後はクライアント側で処理するため接続回線の帯域が狭くても問題なく運用できるという。

 一方、サーバ集中タイプというのは、IBMホストのそばに帳票サーバとして「PrintGen」を配置し、そこと各拠点を接続、イメージデータをやりとりして印刷を実行する手法である。そのため接続回線の帯域はそれなりに必要だが、「PrintGen for Server」がネットワーク上にあるプリンタを一元管理、リモートでメンテナンスを行えるメリットがあるという。

図2 PrintGen for Serverのシステム構成
図2 PrintGen for Serverのシステム構成 出典:アプティ

 「PrintGen」シリーズにおける印刷処理の流れを追うと、次のようになる。

  1. 印刷要求があると、iSeriesの場合、OUTQからの印刷データが、TN5250Eプロトコルのプリンタセッションという仕組みを介してPCに送られる
  2. PCに搭載された「PrintGen」内のデータ抽出部が“何行目の何カラム目から何バイト”といった形で必要なデータを抜き出す
  3. それをCSV形式やタブ区切りのデータにしてオーバーレイフォームに渡し、該当場所に配置する
  4. データとオーバーレイフォームが合体されたイメージデータがWindowsプリンタドライバに渡される
  5. オフィスプリンタで印刷を行う

 この環境でホストデータそのものを印刷することもできる。また、プリンタ側で持っていたオーバーレイフォーム情報を「PrintGen」で“引き取り”、それを利用して印刷することも可能だ。いずれにせよ、これらの機能が実現するのは、特定プリンタからの解放だ。

 見ていただいてお分かりのとおり、IBMホストは従来どおりのデータ提供方法でよい。また、必要なデータだけを抜き出してオーバーレイフォームを掛けることにより、オープンシステム時代ならではの、文字・数字だけではない、現代的な帳票を実現できる。

   Excelアドインや手形数字出力など、
  きめ細かい配慮が特徴の帳票設計ツール

 この視認性の高い帳票を作成するための開発ツールが、「PrintPro for Designer」である。画面を見ながらオブジェクトを0.1mm単位でマウスを使って割り付け、そこに項目データを配置していく。それなりの修正は必要だが、既存システムの帳票をスキャナで読み込んでデータ化することも可能だ。グラフやイメージデータを合成することもできる。

 特筆すべきは、Excelのアドインツールとして機能できることで、Excelのデータをそのまま帳票データとして印刷したり、プレビューしたりすることが可能だ。

画面1 Excelアドイン、PrintPro for Designerの設計画面
画面1 Excelアドイン、PrintPro for Designerの設計画面 (クリックして拡大表示)

 アプティ ソリューション&セキュリティ開発担当 執行役員 花岡春海氏は、次のように語る。

アプティ ソリューション&セキュリティ開発担当 執行役員 花岡春海氏
アプティ ソリューション&セキュリティ開発担当 執行役員 花岡春海氏

 「当社はプリンタベンダで、このプリンティングソリューションもプリンタをもっと便利に使おうというところから始まっているため、出力部分でのこだわりは相当あるつもりです。それが、最初のリリースから十数年経過している『PrintPro for Designer』にも表れています。例えば、バーコード印刷はほぼすべての規格を網羅していて、それも規格基準に忠実にプリンタの解像度の許す限り高精細に出力するとか、項目データの枠幅が決まっているときは、中に入れるデータ量でフォントを変えるとか、備考欄にテキストを挿入するときは、折り返し処理や禁則処理が自動的に行えるとか。変わったところでは、“参萬円也”といった手形数字の出力を通常の数値から変換して表示する機能もあり、当社の手形も実は、これで出力しています(笑)。ツールの方でこうした機能を備えていれば、お客さまのところではデータを流し込むだけで済むので、そういう配慮は可能な限りしています」

   モバイル環境への帳票ソリューションの可能性

 同社のソリューションには、もう1つユニークな特徴がある。それは「PrintPro for Mobile」というモバイル環境向けの製品をラインアップしていることだ。

 例えば、流通業界にはルートセールスというビジネスモデルがある。ここでは顧客の元を訪ね、在庫を確認したうえで商品の納品数量を決定するようなことがよくある。その際の納品書作成に、PDAやポケットPCなどと車載プリンタをはじめとしたモバイルプリンタ、そして「PrintPro for Mobile」を利用するというわけだ。ルートセールス市場自体はあまり大きくないようで、同社自身、今後の展開を模索しているようだが、何かこのソリューションが生きる使い方があるような気がするのだがどうだろう。

 そのほか同社には、「PrintPro for Web」という電子帳票向けソリューションもある。基本的にWebブラウザを利用し、フォーム定義をActiveXで初回のみダウンロード、データを圧縮して転送する手法を取るため高いレスポンスが発揮できるという。

 IBMホストユーザーを間近で見守ってきたからこそ、そしてプリンタベンダだからこそ誕生した帳票ソリューション。ニッチではあるが、意外に希求されているのかもしれない。


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