Insider's Eye

MSがビジネス・ユーザーに10年の約束

―― 延長された製品サポート期間。ユーザーが受ける恩恵は? ――

デジタルアドバンテージ
2004/06/10

 米Microsoftは、2004年5月23日から米国サンディエゴで開催されたITプロフェッショナル向けのカンファレンスであるTechEd 2004において、同社の製品サポート期間を最低で10年に延長すると発表した。

 サポート延長の対象になるのは、次の条件を両方とも満たす製品である。

  • Visual Studioなどの開発用ソフトウェア製品、または各種Windows OS、SQL ServerやExchange Serverなどのビジネス向けソフトウェア製品

  • 2004年5月末時点でメインストリーム・サポート・フェーズにある製品、または今後発売される製品

マイクロソフト製品ライフサイクルの基礎知識
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マイクロソフトのLonghorn戦略

 従ってWindows XP Home Editionなどのパーソナル用途向け製品は対象にならないし、Windows NT 4.0やWindows 98などメインストリーム・サポート・フェーズが終了してしまった製品は対象外である。後で詳しく述べるが、Windows 2000やSQL Server 2000は対象に含まれる。

 今回発表された変更と従来の内容を比較したものが次表である。

フェーズ このフェーズでの主なサポート 変更前 変更後
メインストリーム・サポート ・すべてのサポート
・修正プログラムの提供
・セキュリティ修正プログラムの提供(無償)
製品発売から5年 次のうちいずれか長い方
・製品発売から5年
・後継製品の発売から2年
延長サポート ・すべての有償サポート オプション
・セキュリティ修正プログラムの提供(無償)
(セキュリティ関連以外の修正プログラム・サポートは、「延長修正プログラム・サポート契約」が必要)
メインストリームサポート終了から2年 次のうちいずれか長い方
・メインストリーム・サポート終了から5年
・2番目の後継製品の発売から2年
オンライン・セルフ・ヘルプ・サポート ・サポート技術情報
・各種ツール提供
・そのほか、オンラインでのリソースの提供
最短8年 最短10年
ServicePackのサポート Service Pack新版の提供 次のうちいずれか短い方
・次のService Pack公開から12カ月
・次の次のService Packが公開されるまで
次Service Pack公開後12カ月
(ユーザーの状況により、24カ月とすることを都度検討)
サポート・ライフサイクル新旧比較

 これらを図すると次のようになる。

サポート・ライフサイクル新旧比較
今回の改訂により、製品発売から少なくとも10年まではセキュリティ修正プログラムが無償提供されることになった。また各フェーズの期間は固定ではなく「最短」とされ、今後の延長に含みを持たせている。

 従来、すべてのサポートが提供される「メインストリーム・サポート」フェーズの終了は製品発売から5年とされていた。5年という期間は変わらないが、「後継製品発売から2年」という条件が1つ追加され、それらのうち「いずれか長い方」と緩和された。つまり、後継製品が発売されないかぎり、いつまでもメインストリーム・サポートが受けられることになる。あるいは、後継製品が発売されても、システムの移行期間として2年間が保証されると考えることができる。

 「延長サポート」は、セキュリティ修正プログラム(いわゆるセキュリティ・パッチ)の提供が保証されるフェーズだ。インターネットを介した不正攻撃から情報システムを防衛することは、いまや企業のシステム管理者にとって最大のテーマとなった。セキュリティ修正プログラムの実体は、多くの場合WindowsのシステムDLLやカーネルの新版であり、マイクロソフト以外は作成できない。セキュリティ修正プログラムの提供が終了したソフトウェアを使い続けることは可能だが、この場合はたとえセキュリティ・ホールが見つかっても放置するしかない。少なくとも、何らかの形でインターネットに接続されたシステムで、これを選択をするのは不可能である。このためセキュリティ修正プログラム提供が保証される延長サポート・フェーズの終了を、システム・リプレースの区切りとして考える導入担当者は多い。

 今回の発表では、この延長サポート・フェーズが大幅に拡大された。最短でもメインストリーム・サポート・フェーズから5年であるから、最短でも製品発売から10年間はセキュリティ修正プログラムが提供されることになる。

 そして、インターネット上でサポート技術情報やツールの提供を行う「オンライン・セルフ・ヘルプ・サポート」も最短8年から最短10年に拡大された。

サポート延長の対象となる製品

 すでに述べたとおり、既存製品で今回のサポート延長の対象となるのは、開発者向け製品かビジネス向け製品で、現時点でメインストリーム・サポート・フェーズにあるものだ。今回の発表でサポート延長になる現行製品と、それらの各フェーズ終了日を一覧にしたのが次表である。ただし記事の都合で、下表には主要な製品のみを列挙した。全製品のライフサイクルを知りたければ、以下のマイクロソフトのページを参照されたい。基本的に、下表もこれらのマイクロソフトのページを基にし、明記されていない部分には、今回発表されたルールを当てはめて日付を表記している。

製品名 製品発売日 メインストリーム・サポート終了日(最短) 延長サポート終了日(最短) オンライン・ヘルプ・サポートの終了日(最短)
Windows OS
Windows 2000 Professional 2000/3/31 2005/6/30 2010/6/30 2010/6/30
Windows 2000 Server 2000/3/31 2005/6/30 2010/6/30 2010/6/30
Windows 2000 Advanced Server 2000/3/31 2005/6/30 2010/6/30 2010/6/30
Windows 2000 Datacenter Server 2000/11/13 2005/12/31 2010/12/31 2010/6/30
Windows XP Professional 2001/12/31 2006/12/31 2011/12/31 2011/12/31
Windows Server 2003, Web Edition 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
Windows Server 2003, Standard Edition 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
Windows Server 2003, Enterprise Edition 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
Windows Server 2003, Enterprise Edition(64bit) 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
Windows Server 2003, Datacenter Edition 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
Windows Server 2003, Datacenter Edition(64bit) 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
Windows Storage Server 2003 2003/5/28 2008/6/30 2013/6/30 2013/6/30
ミドルウェア
SQL Server 7.0 1999/3/1 2005/12/31 2010/12/31またはメインストリーム・サポート終了後2年間(いずれか長い方) 2010/12/31またはメインストリーム・サポート終了後2年間(いずれか長い方)
SQL Server 2000 2000/11/30 後継製品リリース後2年間 2010/12/31またはメインストリーム・サポート終了後5年間(いずれか長い方) 2010/12/31またはメインストリーム・サポート終了後5年間(いずれか長い方)
SQL Server 2000(64bit) 2000/11/30 後継製品リリース後2年間 2010/12/31またはメインストリーム・サポート終了後5年間(いずれか長い方) 2010/12/31またはメインストリーム・サポート終了後5年間(いずれか長い方)
Exchange 2000 Server 2000/11/29 2005/12/31 2010/12/31 2010/12/31
Exchange Server 2003 2003/9/28 2008/9/30 2013/9/30 2013/9/30
BizTalk Server 2000 2001/5/2 2006/6/30 2011/6/30 2011/6/30
BizTalk Server 2002 2002/4/1 2007/6/30 2012/6/30 2012/6/30
Internet Information Server 5 2000/5/17 2005/6/30 2010/6/30 2010/6/30
Internet Information Server 5.1 2001/10/25 2006/12/31 2011/12/31 2011/12/31
Internet Security & Acceleration Server 2000 2001/3/18 2006/3/31 2011/3/31 2011/3/31
ISA Server Feature Pack 1 2003/3/31 2008/3/31 2011/3/31 2011/3/31
Systems Management Server 2003 2004/1/20 2009/3/31 2014/3/31 2014/3/31
Systems Management Server 2.0 1999/4/1 2005/3/31 2010/3/31 2010/3/31
SMS 2.0 Administration Feature Pack 1.0 2003/2/11 2005/3/31 2010/3/31 2010/3/31
SMS 2.0 Software Update Services Feature Pack 1.0 2003/2/11 2005/3/31 2010/3/31 2010/3/31
Operations Manager 2000 2001/9/29 2006/9/30 2011/9/30 2011/9/30
Application Center 2000 2001/5/2 2006/6/30 2011/6/30 2011/6/30
Commerce Server 2000 2001/1/30 2006/3/31 2008/3/31 2008/3/31
Commerce Server 2002 2002/4/4 2007/9/30 2012/9/30 2012/9/30
Content Management Server 2002 2002/11/7 2008/12/31 2013/12/31 2013/12/31
Content Management Server 2001 2001/10/30 2006/12/31 2011/12/31 2011/12/31
Host Integration Server 2000 2001/3/1 2006/12/31 2011/12/31 2011/12/31
Metadirectry Service 2.2 2001/7/1 2004/9/30 対象外 対象外
開発ツール
Visual Studio .NET 2002 2002/4/15 2007/6/30 2009/6/30 2012/4/25
Visual Studio .NET 2003 2003/7/10 2008/9/30 2013/9/30 2013/9/30
Visual Basic 6 1999/1/27 2005/3/31 2008/3/31 2009/1/27
Visual Basic .NET 2002 2002/4/15 2006/6/30 2009/6/30 2012/4/15
Visual Basic .NET 2003 2003/7/10 2008/9/30 2013/9/30 2013/9/30
Visual C# .NET 2002 2002/4/15 2007/6/30 2009/6/30 2012/4/15
Visual C# .NET 2003 2003/7/10 2008/9/30 2013/9/30 2013/9/30
Visual C++ 6 1998/8/30 2004/9/30 2005/9/30 2008/8/30
Visual C++ .NET 2002 2002/4/15 2006/6/30 2009/6/30 2012/4/15
Visual C++ .NET 2003 2003/7/10 2008/9/30 2013/9/30 2013/9/30
.NET Framework 1.0(ランタイム) 2002/4/15 2007/6/30 2013/6/30 2013/6/30
.NET Framework 1.1 2003/7/10 2008/9/30 2013/9/30 2013/9/30
今回の延長措置の対象となる主要ソフトウェア(2004年6月現在)

 上表の基にしたマイクロソフトの情報は、すべて2004年6月上旬のタイムスタンプで更新されているので、今回の発表内容が反映されているものと思ったのだが、よく見てみると、発表された新ルールに沿っていないものも散見される。前出のマイクロソフトのページは頻繁に更新されているようなので、たまにはチェックしてみるとよいだろう。

サポート終了の製品も、例外的にサポートが継続中

 今回の発表とは無関係だが、企業の中には、いまなおWindows 98やWindows NT 4.0などの古いOSを使い続けているところも少なくない。これらの古いOSのサポート状況についてもここで簡単に触れておこう。これらについては、以下のマイクロソフトのページで最新状況を確認できる。

製品名 セキュリティ修正プログラム提供の終了日 有償サポートの終了日 オンライン・セルフ・サポートの終了日
Windows 98 2006/06/30
(緊急のみ)
2006/06/30(緊急以外、既存のセキュリティ修正プログラム) 2007/6/30
Windows 98 SE 2006/06/30
(緊急のみ)
2006/06/30(緊急以外、既存のセキュリティ修正プログラム) 2007/6/30
Windows Me 2006/06/30
(緊急のみ)
2006/06/30(緊急以外、既存のセキュリティ修正プログラム) 2007/6/30
Windows NT Workstation 4.0 2004/06/30 2004/06/30(プレミア・サポートのみ) 2005/12/31(最短)
Windows NT Server 4.0 2004/12/31 2004/12/31 *1 2005/12/31(最短)
Windows NT Server 4.0, Terminal Server Edition 2004/12/31 2004/12/31 *1 2005/12/31(最短)
Windows NT Server 4.0, Enterprise Edition 2004/12/31 2004/12/31 *1 2005/12/31(最短)
Windows XP Home Edition 2009/12/31 対象外 2009/12/31(最短)
旧版Windows OSのサポート状況(2004年6月現在)
*1 インシデント制有償サポートとセキュリティ関連ホットフィックス・サポートを2004年12月31日まで提供。セキュリティ以外のホットフィックス・サポートは、2003年12月31日以降にカスタム・サポート契約を行ったユーザーに対してのみ提供。

 いずれもメインストリーム・サポート・フェーズは終了しているが、セキュリティ修正プログラムは提供が続行されている。ただし無償提供されるのは最大深刻度が「緊急」のものだけで、それ以外のレベルのものや、既出の修正プログラムは有償サポートを受けなければ入手できない。

直近で最も恩恵を受けるのはSQL Server 2000ユーザー

 今回のサポート延長の発表で、直近で最も恩恵を受けるのはSQL Server 2000ユーザーだろう。マイクロソフトは、SQL Server 2000の次期バージョンであるSQL Server 2005(開発コード名Yukon)を開発中である(マイクロソフトのYukonのホームページ)。Yukonの出荷は当初2004年中ごろとうわさされていたが、その後マイクロソフトは、2005年前半に出荷時期を遅らせた。

 SQL Server 2000の製品発売は2000年11月30日であるから、従来のサポート・ポリシー(製品発売から5年)では、来年末にはメインストリーム・サポート・フェーズが終了する予定だった。通常、データベースの移行は、準備期間も含めると半年〜1年以上はかかる。移行に手間取ると、一時的にではあれ、メインストリーム・サポートを受けられない期間が発生する危険が高かった。

 しかし今回の延長により、後継製品発売から2年間はメインストリーム・サポートが継続されるので、SQL Server 2005の発売が2005年中ごろだとすれば、2007年中ごろまではSQL Server 2000もメインストリーム・サポートが続行される。この2年の間でSQL Serverのリプレース作業を行うことができる。

 SQL Server 2000ほど顕著ではないが、Windows XPについても同様のことがいえる。マイクロソフトは、Windows XPの後継製品であるLonghornを開発中だが、こちらは2006年以降にずれ込むもようだ。Longhornの発表がいつになろうと、「後継製品発売から2年」のルールにより、Windows XPユーザーは、少なくとも2年間はメインストリーム・サポートを継続させながら、Longhornに移行する猶予が与えられる。

 なおWindows 2000のメインストリーム・サポートはあと1年ほど(2005年6月まで)で終了する予定だが、拡張サポート・フェーズに今回新たに加えられた条件「2番目の後継製品の発売から2年」のルールにより、Longhorn発売後も2年間はセキュリティ修正プログラムの提供が受けられる。これはデスクトップOS(Windows 2000 Professional)だけでなく、サーバOS(Windows 2000 Server)も同様である(ただしLonghornのベース・テクノロジを用いたサーバOSの動向は明らかになっていない)。最低でもセキュリティ修正プログラムが提供されればシステムは維持できると判断するなら、Windows XPやWindows Server 2003をスキップして、Windows 2000からLonghornベースOSに移行する選択肢もある。マイクロソフトは強調しないが、これは今回の隠れたポイントかもしれない。End of Article

 「Insider's Eye」


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