Insider's Eye

企業ユーザー向けに再整備されたMSの新サポート・ポリシー(2)

Paul DeGroot
2005/06/08
Copyright (C) 2005, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc.

明確な判断基準とルールを提供

 しかし、こうした変更ですべてのケースがカバーされたわけではない。新ルールは一般に、現在メインストリーム・フェイズにある製品にのみ適用され、旧製品については多くの場合、以前の(短い)ライフサイクルがそのまま据え置かれた。だが、顧客はWindows 98やWindows NT 4.0といった製品を使い続け、それらのサポートを要望し続けた。そこでMicrosoftはそれらのライフサイクルの年数を適宜延長していくことになった。これによって当面の問題は解決されたが、製品ライフサイクルは非常に不確かなものになった。あたかも製品のライフサイクルは、十分な数の顧客から不満が出れば、毎年延長されるかのようだった。

 最新の変更は、顧客が旧製品に関してどのようなサポートをどれだけの期間受けられるかについて、確実な判断基準と明確なルールを提供することを目的としている(ライフサイクル・フェイズの概要については、コラム「製品ライフサイクルのフェイズとオプション」を参照)。

■認知度が低い延長修正プログラム・サポート
 延長修正プログラム・サポート契約(Extended Hotfix Support Agreement:EHSA)はまったく新しいものではないが、ほとんど知られていない。Microsoftは現在、この契約について広くPRを行い、顧客に確実に周知することを目指している。EHSAでは、メインストリーム・サポートが終了して延長サポートの対象となっている旧製品のバグ修正プログラムが提供される。このサービスのルールは次のようになっている。

  • 顧客がEHSAを購入するには、プレミア・サポート契約を結んでいる必要がある。

  • EHSAは特定のMicrosoft製品のみをカバーする。

  • 顧客は当該製品のメインストリーム・サポート・フェイズの終了から90日以内にEHSAに加入しなければならない。ただし、SAを購入済みのサーバ製品については、この90日ルールは適用されない。

 EHSAの料金は、延長サポート・フェイズを通じて年々上昇する。このことは、メインストリーム・フェイズにある新しいバージョンへのアップグレードへと顧客の背中を押すことになる。EHSAの初期料金は約3万ドルで、さらにバグ修正プログラムの料金が加算される。

 EHSAの現在の対象製品には、Exchange 5.5やVisual Basic 6.0などがある(Visual Basic 6.0が延長フェイズに移行してEHSAの対象となったことは、一部のユーザーの怒りを買った。彼らは自分たちがVisual Basic .NETに移行する間、Microsoftがメインストリーム・サポートを延長して提供することを望んでいる)。Windows 2000も2005年7月からEHSAの対象となる。

 顧客は複数の製品用に1件のEHSAを購入するだけで済むが、EHSAを適用する製品を増やすごとに、追加書類に署名しなければならない。

■注目されはじめたカスタム・サポート契約
 EHSAと同様に、カスタム・サポート契約(Custom Support Agreement:CSA)は、まったく新しいものではないが、Windows NT 4.0の延長サポートが終了して以来、カスタム・サポートの認知度は高まっている。Microsoftの一部の大口顧客はWindows NT 4.0を使い続け、Microsoftにサポートの提供を求めていた。Windows NT Workstation 4.0の延長サポートが終了した2004年半ばに初めて発表された時点では、CSAでは、深刻度が「緊急」と分類された脆弱性のセキュリティ修正プログラムだけが提供されることになっていた。Windows NT Server 4.0の延長サポートが終了した(2004年12月31日をもって)ことに伴い(2004年12月31日に終了)、MicrosoftはCSAの顧客に「重要」な脆弱性のセキュリティ修正プログラムや、セキュリティ関連以外の修正プログラム、問題回避策、移行に関するアドバイスも提供することとした。年間料金にはセキュリティ関連以外のバグ修正プログラム1つ分の料金が含まれており、顧客はバグ修正プログラムとインシデントベースのサポートを追加購入できる。

 顧客は製品の延長サポート終了後、直ちにCSAを購入する必要はないが、後になって購入した場合には、延長サポートの終了日にさかのぼって年間料金を支払わなければならない。またそうした場合、Microsoftは購入時点より前にリリースされたバグ修正プログラムやそのほかの更新プログラムを顧客に提供する。EHSAと同様に、CSAの料金は発表されていないが、毎年上昇し(上昇額も未公表)、CSAの購入にはプレミア・サポート契約が必要だ。

 現在、CSAの対象製品はWindows NT 4.0だけだが、Exchange 5.5も延長サポート終了に伴い2006年初めからCSAの対象となる。また、CSAはWindows CE 3.0やWindows NT Embeddedなど、一部の組み込み製品向けにも提供されている。

 顧客はCSAをMicrosoftか同社の一部のパートナー企業から購入できる。

 MicrosoftはCSAの終了時期を定めていないが、同社の現在のロードマップでは、Windows NT 4.0については2006年末まで、Exchange 5.5については2007年末までCSAが提供される。このロードマップからすると、両製品は実質的に、いずれも支援サポートが10年間提供されることになり、これは、現行のビジネスおよび開発用製品についてメインストリーム・サポートと延長サポートが合計で最低でも10年間提供されることに対応している。

 MicrosoftはCSAプログラムを2008年以降も長期間継続または延長することは考えていない。EHSAやCSAのようなタイプの契約を現在利用している顧客はごく一部に限られ、メインストリーム・フェイズと延長フェイズを通じて現行製品について提供される10年間の支援サポートは、顧客の将来のサポート・ニーズに対応できるだろう、と同社は述べている。

コラム
製品ライフサイクルのフェイズとオプション

 この表は、Microsoftがエンタープライズ・ソフトウェアについて設定しているライフサイクルの4つのフェイズとオプション(メインストリーム、延長、カスタム・サポート、オンライン・セルフヘルプ)を要約して示している。

ライフサイクルのフェイズとオプション 通常期間 製品サポート・オプション ソフトウェア更新
メインストリーム・サポート・フェイズ 次のうちいずれか長い方
・製品発売から5年間
・製品発売から後継バージョン発売の2年後まで
・無償インシデント・サポート(保証ベース)
・オンライン・サポート情報
・有償サポート
・オプション
・セキュリティ関連の更新プログラムと修正プログラム(無償)
・セキュリティ関連以外の更新プログラムと修正プログラム (無償)
・サービスパックまたは累積的修正プログラム(無償)
延長サポート・フェイズ 次のうちいずれか長い方
・メインストリーム・フェイズ終了から5年間
・メインストリーム・フェイズ終了から2番目の後継バージョン発売の2年後まで(例えば、Windows 2000の延長フェイズは、Longhornのリリースの2年後に終了する)
・有償サポート
・オプション
・延長修正プログラム・サポート契約
(Extended Hotfix Support  Agreement:EHSA)
・セキュリティ関連の更新プログラムと修正プログラム(無償)
・セキュリティ関連以外の修正プログラム(EHSAが必要)
カスタム・サポート・オプション ・期間の長さは規定されていない
・特定の製品についてのみ提供される
カスタム・サポート契約(プレミア・サポート契約が必要) ・緊急または重要なセキュリティ関連の更新プログラム
・修正プログラム
・問題回避策
・新規のバグ修正プログラム(追加料金が必要)
・移行などに関するアドバイス・サービス(有料)
・問題解決(有料)
オンライン・セルフヘルプ・サポート 製品発売から最低10年間 オンライン・サポート情報 大きなインストール・ベースを持つ特定の製品については、Microsoftはこのフェイズでもセキュリティ修正プログラムの無償提供を継続するかもしれない。

サポート期間の計算方法を見直し

 Microsoftは新たなサポート展開を表明するのと併せて、次のような各種サポート・ルールも明示した。

●MBSのメインストリーム・サポートの延長
 Great PlainsなどのMicrosoft Business Solutions(MBS)製品のサポートは、従来は3年間しか提供されていなかった。Microsoftはこれを延長してメインストリーム・サポートを5年間提供することとした。延長サポートはMBS製品については提供されない。

●SAによるインシデント・サポートの期限
 SAでカバーされたサーバ製品について提供されるインシデント・サポートは、その製品のメインストリーム・サポート・フェイズの終了時に終了する。ある製品のSAを購入した顧客はその製品の最新バージョンにアップグレードする権利があるため、最も幅広いサポート・オプションがある製品を使いたい企業にとって自然な選択肢は、アップグレードすることだ。また、無償サポートなしで旧製品を使い続けるという手もある。5年間のメインストリーム・サポートが終了した製品は一般に、明らかなバグはほとんど残っていない。アップグレードする計画はないがインシデント・サポートを求める顧客は、別途サポート契約を結ばなければならない。

 このルールの影響を受ける可能性がある顧客は、Windows 2000 Server(2005年6月にメインストリーム・サポートが終了)や、SQL Server 7、Exchange 2000(いずれも2005年末にメインストリーム・サポートが終了)のライセンスとSAを購入している顧客だ(今後1年間に新しいサポート・フェイズに入る製品をまとめたリストについては、コラム「製品サポート期間の今後の重要な節目」を参照)。

●サポート期間の計算
 サポート・フェイズの期間は製品の発売日を基準に計算されるが、Microsoftは計算を調整し、サポートの終了日を区切りのよい四半期末日に設定してきた。MicrosoftのWorldwide Premier and Support Servicesグループの新サービス担当グループ・マネージャ、Glenn Pereira氏によると、今後は、「製品が製造工程向けにリリースされた日から90日後の日付に最も近い四半期末日」がサポート上の製品発売日と定義され、サポート期間はこの日から起算される。例えば、Exchange 5.5は1997年11月5日に製造工程向けにリリースされたため、そのサポート上の発売日は1997年12月31日となる。

●エディション間のサポート期限の統一
 Microsoftは基本的に、製品の複数エディションのリリース時期が多少異なっている場合でも、すべてのエディションのサポート期限を統一する。例えば、Windows 2000 Server Datacenter EditionはWindows 2000 Server Standard Editionの6カ月後にリリースされたが、この2つの製品のライフサイクル期限は同じに設定されている。

 Pereira氏によると、Microsoftはこのポリシーを製品の64bitエディションにも適用する方針で、64bitエディションの期限は32bitエディションと同じになる予定だ。そうなれば、2005年4月にリリース予定のWindows XP Professional x64 Editionは、メインストリーム・サポートの提供期間が5年に満たないことになる。現在のロードマップでは、Windows XPのメインストリーム・サポートは2008年に終了するからだ。

 こうしたサポート期限の統一に伴う問題の一部は、開発スケジュールの改善によって製品の各種バージョンがリリースされる時期の差が小さくなることで、解決するかもしれない。また、将来のバージョンのOSでは、32bit・エディションと64bit・エディションが同時に登場しそうだ。End of Article

コラム
製品サポート期間の今後の重要な節目

 今後約1年間にいくつかの重要な製品が新しいサポート・フェイズに移行する。

 この表は、2005年4月1日から2006年半ばまでの間に新しいサポート・フェイズに移行するこうした製品を移行時期(カッコ内)とともに示している。また、すでにカスタム・サポートの対象に移行している製品と2006年に移行する製品も示している。

メインストリーム・サポート・フェイズから延長サポート・フェイズに移行する製品 ・Visual Basic 6.0(2005年4月)
・Interix 2.x、Services for NetWare 5.0(2005年4月)
・Systems Management Server(SMS)2.0(2005年4月)
・Windows 2000のすべてのワークステーションおよびサーバ・エディション(2005年7月)
・Services for Unix 2.0 Standard Edition(2005年7月)
・Internet Information Services(IIS)5.0(2005年7月)
・Embedded Visual Tools 3.0(2005年10月)
・SQL Server 7(2006年1月)
・Exchange 2000(2006年1月)
・Commerce Server 2000 Standard Edition(2006年4月)
カスタム・サポートの対象に移行済みの製品と移行する製品 ・Windows WorkstationNT 4.0(2004年7月)
・Windows NT Server & Terminal Server 4.0、IIS 4.0(2005年1月)
・Exchange 5.5(2006年1月)

参考資料

Directions on Microsoft日本語版
本記事は、(株)メディアセレクトが発行するマイクロソフト技術戦略情報誌「Directions on Microsoft日本語版」から、同社の許可を得て内容を転載したものです。『Directions on Microsoft 日本語版』は、同社のWebサイトより定期購読の申し込みができます。
 
 

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