KIU研究会レポート(1)

BPMのフレームと国際活動の現状・今後について

生井 俊
2006/1/19

- ベンダに依存しないオブジェクトを生成する考え方

 これが先ほど出てきました「BPMN」と、「BPEL」「XPDL」の関係です。

図4 モデリング概念モデル

 2つの潮流があり、1つが「BPEL」、もう1つが「XPDL」です。XPDLは現在WfMCでやっている会議ですが、BPELはOASISです。最終的にWebサービスで実装するのですが、いまは「BPELエンジン」が必要になっています。右側の「BPMエンジン」は異機種間でも使えるような形でやっていきましょうということになっています。「バイディレクショナル」というのは、XPDLを通すとベンダに関係なくオブジェクトを生成できるというところが1つの“売り”です。そういうことで、特異なBPELエンジンを使わなくても、もっと標準的なものを作りながら、Webサービスを使えるというのが最終目標です。

 次に、これはBPMという概念モデルを述べたものです。

図4 BPM概念モデル

 静的なものと動的な管理、それからこれがプロセスの自動化というところの、オブジェクトワークフロー・サジェスチョンやWebシステムです。この中でレイヤがずっと下にいくに従って、「オブジェクト」「エンジン」「コードジェネレータ」といった領域があります。

 図4の右側にはBPMと書いてありますが全体のハンドリングとして、上流工程から下までを含めてBPMとして考えています。そのためのアーキテクチャとして、MDAやコンポーネントベース、オープンソース、ユビキタスなどいろいろなものが想定されます。これにインターフェイスへの取り組みも含めて考えています。ただ、あまり領域が大きくなると困るので、「ユーザーにとって、最低限の機能とは何か」を発見することが最大の課題です。広げるのではなく、いかに絞り込むかがこの委員会の役目です。

- 海外の動向と日本における今後の展開
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 海外の取り組み状況ですが、トリンプやウォルマート、ノキア、シスコ、シティバンクなどでBPMを推進しています。英国ではEWNP(エンタープライズワークフロー・ナショナルプロジェクト)があり、ワークフローとBPMという考え方で、政府が数十億円、数百億円というお金を出して、こういうプロジェクトを立ち上げています。また、オランダにヨーロッパにおけるBPMの本部があります。ここがいま一番盛んに活動しています。米国はIDEFを発展させた取り組みの中から、BPMへの移行を進めています。この中で、全体的なBPMに関する国際連携の取り組みということで、WfMCとOMG、OASIS、BFGなどで国際連携を取りながら標準化を進めていこうという形でやっています。

 私は、日本におけるBPM-XXの設立に向け現在動いています。理由は、アジア・環太平洋各国でWfMCの協力下でBPM-XXが設立されつつあるからです。韓国ではBPM-Kが、2004年10月に設立されました。私はWfMCからのアンバサダーということで特別理事をしています。中国では科学技術院とか精華大学が主体で、2006年度設立予定ですが、中国は政治関係が非常に面倒で、まだまとまっていません。シンガポールにはBPM-Sinがあり、2006年にWfMC-Sinから移行します。そのほか、インドネシア、台湾、フィリピン、豪州などが出来上がっています。その中で日本が一番遅れています。

 日本的な取り組みを考えてみると、これは経営革新と情報システムの対応ということになろうかと思います。特に要求されているものは、ユーザー企業がいままで作ってきたいろいろなアプリケーションを、“要るもの”や“要らないもの”を含めていかにきれいに整理することです。つまり、要らないものを排除していく──という面から、BPMという概念を普及させていくことができるかが課題だといえます。

 この意味でも、BPMの標準技術が必要になります。標準技術にしないと、フォーマットも定義もばらばらで、お客さんも当然分からなくなります。ここで標準技術というのは国際標準だけではなく、例えばこの「KIU研究会」の標準があっていいのですが、ただしその中ではきちんと一元的な標準化の考えが必ずなければならないということです。

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index
KIU研究会レポート(1)
 BPMのフレームと国際活動の現状・今後について
  Page 1
WfMCのモットーは「変化に対応できるものが生き残る」
言語などの標準化によりベンダと客のリスクが減少
BPMNが使えるベンダは世界に26社のみ
BPMの領域とモデリングの概念モデル
Page 2
ベンダに依存しないオブジェクトを生成する考え方
海外の動向と日本における今後の展開


■要約
2005年11月30日、「経営とITの融合」研究会の第1回会合が開催され、WfMC運営委員会 副議長/環太平洋代表の貞金佳尚氏がBPMのフレームと国際活動について講演を行った。

『WfMCは非営利のワークフロー管理システム標準化団体です。BPMやプロセスに、なぜスタンダードが必要なのか──これには、リスクを減少させる意味があります。そのために「言語の標準化」と「機能の絞り込み」を行っています。

言語に関しては国際標準の1つとして、BPMNがあります。これはビジネスプロセスを表記するために作られた標準仕様です。単なる表記法ですから、それだけでツール間の互換性は保証されていません。それを使えるにするのが、XPDLとBPELです。

私たちはBPMを、上流工程から下までを含めて考えています。そのためのアーキテクチャとして、MDAやコンポーネントベース、オープンソースなどいろいろなものがあります。これらをいかに絞り込むかが委員会の役目です。

日本的な取り組みを考えてみると、経営革新と情報システムの対応でしょう。特にユーザー企業がいままで作り上げてきたアプリケーションをどう整理するかです。この面から、どのようにBPMを普及させていくことができるかが課題です』

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生井 俊(いくい しゅん)
1975年生まれ、東京都出身。同志社大学留学、早稲田大学第一文学部卒業。株式会社リコー、都立高校教師を経て、現在、ライターとして活動中。著書に『インターネット・マーケティング・ハンドブック』(同友館、共著)『万有縁力』(プレジデント社、共著)。


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