eビジネスソリューションの次なるビジネスは?(下)
 〜エンドユーザーのeビジネスが実稼働に入った今、 ソリューション・プロバイダの次のビジネスチャンスを考える

2001/5/22
By Rich Cirillo, VARBusiness 4:49 PM EST Fri., May 11, 2001

*この記事は全2回連載の2回目です。前回記事はこちら

SCMの高いデマンド

 BtoBのコンサルティング会社である米Aviconの共同設立者兼執行副社長であるAnn Grackin氏は、「サプライ・チェーン関連のソリューションは、ここ最近クライアントの契約の中に占める比率が高い」と語る。同氏はその理由を以下のように分析する。多くの企業では、eビジネス化を進めるにあたり、単なるフロントシステムとバックエンドシステムのWeb化に終始し、他のビジネスとの統合を行ってこなかったのだ。

 「ERP導入など社内への投資を効果的に活かそうとしているようだ」とGrackin氏。「残念なことに、完全にWebで武装するという観点からみると、この取り組みが問題になっている。企業がとってきた対策は、基本的に上流しかみていないものだったといえます。事態を根本から捉えて、“エコシステムやWWW、バリュー・チェーンから見ると我が社の社内システムはこうだ”と言える人は少なかった。さらには、“eビジネスとは我が社のビジネスモデルを変えることだ”と断言する人はもっと少なかったのです」。

 それでも先に進まなければならない。次の段階に移行するために、Grackin氏は企業は3つのことを実行する必要があると言う。

1、Webソリューションを既存のバックオフィスシステムやERPと連携させる
2、さまざまなビジネスの機能の中でも特にコミュニケーション機能を向上させる
3、取引先と直接やり取りをする

 Grackin氏はまた、PtoPコンピューティングを可能にするアプリケーションや、エンドユーザーの興味が高いワイヤレスデバイスとの統合も重要だと語る。

再定義の進むCRM

 米Exporio Solutionsの副社長Mark E. Behrens氏は、米国中部・中南部地区のCRM実装を担当している。同氏は、「CRMソリューションの実施で鍵を握るのは、クライアントをフェーズ別アプローチへ導くこと」と言う。

 カスタマー側の傾向としては、電子メール機能を追加するなど、セルフサービス型CRMへの移行が指摘できるとBehrens氏は言う。セルフサービス型では、顧客自らが事例を見て、発注を行なうようになる。同時にこれらの機能を既存データに統合するニーズも高い。データとの統合が実現すれば、プロセスの視覚化が進むからだ。内部のシステムでは、クライアントはポイント型のアプリケーションから完全に統合されたCRMシステムへの移行を図っていると言えよう。

 例えば、同社のクライアントであるH&R BlockがNortelのClarifyを導入するプロジェクトでは、「社内システムを調整する期間は短く、90日プロジェクトでサービス・センターを立ち上げ実動にこぎつけた」とBehrens氏。「それから、財務アドバイザーのネットワークをサポートする機能を追加して、納税申告データをキャプチャーしたり、アップセリングの対象者を識別したりできるようにしていった」

 Experioではつい最近、営業部への導入を完了。無事に2001年の課税年度に間に合わせることができた。「このプロジェクトはクライアントに実体のある補強をもたらした」とBehrens氏。また、「アドバイザーに比重をおいたシステムになった」とも言う。Experioは安定し、循環して利益を生む体制を作りあげたのだ。

流行ではなくリアリティを売る

 「クライアントに多くの口約束をして、実行を伴わないSI企業が多い中、弊社はクライントに現実的観測と予測を示し、それを実行した」とProxicomのCTO、Craig Millerは語る。最近、米コンパックがこの会社を買収することを明らかにしている。

 例えば、鉄鉱業界の取引のハブを作るプロジェクトの入札の例がある。この入札でProxicomは、エンド・ツー・エンドのソリューションを100万ドル以下の金額で3カ月以内に構築すると約束した、多くの名のあるeビジネス構築企業と対抗しなければならなかった。

 「この組織の中でProxicomの名を知っている人はだれ1人としていなかった。だが、弊社は“いや、あなた方はこのシステムの複雑性を本当に理解していない。弊社では、500万ドルで8カ月で請け負います。確実に実行します”と言った」とMiller氏。「入札した企業のなかで最高金額だったが変更しなかった。なぜなら、わが社には、そのような案件は、SI会社が言うほど簡単には実現しないということをじっくり説明する自信があったからね」。

[英文記事]
What's Next For E-Business Solution Providers?

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