[NETWORLD+INTEROP Tokyo 2002開催]
IPv6に再び大きな注目が集まる

2002/7/5

 7月3〜5日にわたって、ネットワーク技術に関する総合展示会「NETWORLD+INTEROP Tokyo 2002」が、千葉県 幕張メッセにて開催されている。今年はNTTドコモの初参加も含め、参加出展社総数は275社に達した。IT業界全体を見ても、過去最大規模の展示会となった。

N+I2002会場内の風景。過去最大の人出となった。

 もともと、「Networld」というLAN関連の展示会と、大規模ネットワークにおける機器の相互接続検証を目的とした「Interop」という2つの展示会が合体してスタートしたのがN+Iだが(国内では1994年からN+Iとしてスタートした)、「機器の相互接続検証でオープンなネットワーク環境を」という当初の目的は次第に薄れ、現在ではその時点でのネットワーク・トレンドを知るための総合展示会としての役割を担っている。だが、ここ1〜2年の傾向を見る限り、各社の展示内容は単にトレンドを反映したものだけではなく、多様化しつつあると感じられる。つまり、トレンドに応じて展示内容が偏るということが少なくなってきたのではないだろうか。過去最大規模となった2002年のN+Iの特徴をあえて挙げるなら、「全ジャンルを満遍なくカバーするネットワークの総合展示会」だといえる。

初出展のNTTドコモ。P504iシリーズ

 このように、展示会の内容から大きなテーマを見つけ出すことが難しくなりつつあるN+Iではあるが、その中で比較的際立っていたと感じられたのが、「IPv6」に関する展示だ。IPv6自体は、これまでに何度も対応製品が紹介され、すでに一部のISPからは商用サービスが開始されるなど、決して目新しいものではない。だが、IPv6に関する各社の製品やソリューションをまとめて紹介するコーナーである「IPv6 Showcase」での来場者の熱気を見る限り、「本当のブームはこれから」という印象さえ受ける。7月中旬には横浜で国内初となるIETF(Internet Engineering Task Force)の会議が開催されるが、そこで、IPv6に関するいくつかの重要な仕様が決められる可能性もあり、関係者も再びIPv6に注目を集めさせようという意図があるかもしれない。

NECブースでのノートPCを用いたモバイルIPv6のデモ。巨大なファイルのダウンロード中に、有線LANから無線LANに切り替えても、問題なくダウンロードが継続できていることを確認できる

 IPv6 Showcaseでは、日立製作所などが大規模ルータの展示を行っていたほか、インターネット冷蔵庫やホーム・サーバ、インターネット・ノード(インターネットに直付けできるカメラや温度計など)といった情報家電やITS対応自動車、IPv6対応ソフトウェアなどの、これまでも各所で紹介されてきた製品の展示が行われていた。だが、このコーナーで最も注目できる展示が、「モバイルIPv6」に関するものだろう。展示会場では、ヒューレット・パッカードがモバイルIPを搭載したPDAの展示を行っていたり、NECがノートPCを用いたモバイルIPv6のデモを行っていた。

 モバイルIPとは、ノートPCなど移動の可能性のある端末がネットワーク・セグメント間を移動しても、セッションを維持しつつ問題なく通信を行うための技術だ。IPv4の時代から研究開発が行われている意外と歴史の長い技術でもある。IPv4での実装はオプション扱いだったが、IPv6の時代になって標準仕様として組み込まれることになり、再び注目を集めている。モバイルIPのIPv6対応にあたり、フォーリン・エージェントというIPパケットの中継機構をTCP/IPスタック自体に組み込むなど、使い勝手の向上が図られている。また、IPv6の広大なアドレス空間を生かせる技術としても注目を集めている。現在、モバイルIPv6は最終的な仕様の検討段階に入っており、今年後半からさらに盛り上がることが予想される。

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NETWORLD+INTEROP Tokyo 2002

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