「制作現場へのパイプ役に」、MPEG-4制作のiVASTが新戦略

2002/10/29

iVAST製品で制作したMPEG-4コンテンツ。コンテンツ内にさまざまな情報を収納できるのが特徴だ

 ダイキン工業電子システム事業部は米iVAST(アイヴァスト)と提携し、iVASTが開発したMPEG-4コンテンツ制作のシステムソリューション「iVAST MPEG-4 プラットフォーム」を11月に発売すると発表した。ダイキン工業は「MPEG-4はブロードバンド時代のコンテンツ制作に欠かせないと確信している」との認識で、Webのコンテンツ配信だけでなく、放送など幅広い分野で利用できるとしている。

 iVASTのアジア・パシフィック VP&ゼネラルマネージャー マイケル・バトリック(Michael S. Buttrick)氏はiVAST MPEG-4 プラットフォームについて「MPEG-4の制作現場にフォーカスした製品で、市場を拡大させる」と述べ、「プロダクションへのパイプを持っているダイキン工業と組むことは意義がある」と提携の意味を説明した。

 iVAST MPEG-4 プラットフォームはMPEG-4のコンテンツ制作ツールや配信・管理ツール、再生ツールからなるシステムソリューション。MPEG-4のほかに、ストリーミングメディアの標準化団体が提唱している仕様の「ISMA 1.0」や、XML、J2EEに準拠している。コンテンツ配信はPC向けだけでなく、ハイビジョンテレビから携帯電話まで幅広くサポートしている。ユーザーが利用するプレーヤーに合わせて、コンテンツをさまざまな配信形態にカスタマイズできる。ダイキン工業は、従来から販売しているデジタルコンテンツ制作システムに、iVAST製品を組み込む方針で、3Dグラフィックスツールやノンリニアビデオ編集ツール、DVDオーサリングツールと組み合わせてコンテンツを制作、配信できるようになる。

 価格はコンテンツ制作ツールで、22万円から142万円。配信・管理ツールは64万2000円から122万円などとなっている。ダイキン工業では発売初年度で5億円の販売を目標としている。

 ダイキン工業は空調設備機器が経営のメインだが、1989年から3DCGツールの「SOFTIMAGE」を販売、1996年にはDVDオーサリングツールの「Scenarist」を発売し、市場で大きなシェアを獲得するなど、制作現場から高い支持を得ている。

 一方、iVASTは今春から本格的に日本で営業を開始。8月には日本オラクル、サン・マイクロシステムズとMPEG-4コンテンツ制作・配信のソリューション構築で提携した。コンテンツプロバイダや放送局に対して、end to endのソリューションを提供し、MPEG-4に関連するすべてのツールを押さえることがiVASTの戦略。これまでの長いツール販売で、制作の現場に入り込んでいるダイキン工業と組むことで、製作現場への浸透を広げる狙いだ。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
ダイキン工業電子システム事業部
米iVAST

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