「It's autonomic」、IBM

2003/11/26

IBM オートノミック・コンピューティング担当 バイスプレジデント アラン・ガネック氏

 日本アイ・ビー・エムが主催する「IBM オンデマンド・テクノロジー・フォーラム 2003」に合わせて、IBM オートノミック・コンピューティング担当 バイスプレジデント アラン・ガネック(Alan Ganek)氏が来日した。
 
 昨年12月に来日した際にもガネック氏はオートノミック・コンピューティングの概念解説を行ったわけだが、DB2、Tivoli、Notes/Domino、WebSphereといったIBMのブランド製品に実際に組み込まれ始めているいま、オートノミック・コンピューティングのイメージはかつてとは比較にならないほど具体的なものとなった。とはいえ、「自己構成」「自己修復」「自己最適化」「自己防御」という4つの主要構成要素が象徴する自律的なコンピューティング環境の実現にはまだ程遠いのが事実。ガネック氏の今回の短いプレゼンテーションも、啓蒙活動の域を出なかった。

 オートノミック・コンピューティング待望論の背景には、複雑化、多様化するコンピュータ・システムのカオス的状況をいかに秩序の名の元に管理するか、という命題がある。ガネック氏によると、「今日の(システム)障害の40%はオペレータ・エラーに起因」し、「(システム)全体の25〜25%の時間が問題の分析に費やされる」という。さらに、「企業によるIT投資の5分の4は(システムの)運用や維持、マイナー・バージョン・アップに支払われる」のだ。
 
 ここでいうシステムとは、過去、企業が機能を拡張し続けてきたさまざまな規格によるコンピュータ・コンポーネント(ハード、ソフト、ミドルウェアなどなど)の集積体を指す。すでに“過去の遺産”と化したアプリケーションの不具合を修復しようにも、情報がドキュメント化されていない場合が多く、しかも、複数のコンポーネントにまたがる問題を分析し、解決策を見いだせる神のようなスタッフがそうそうたくさん社内にいるわけではない。つまり、人為的な問題解決能力に依存していてはいつか「取り返しのつかないことになる」という懸念はなにも、IBMに限らず、ITにかかわる人間の頭の中に漂っているものだろう。

 しかし、インフォメーション・テクノロジは今後も進化を続けていく。この進化の過程から複雑性という怪物を排除することが無理なのだとしたら、自分の面倒はできるだけ自分でみられるようにデザインしてやればいいじゃないか。それがIBMのオートノミック・コンピューティングという思想の本音である。とはいえ、それがそう簡単な試みでないことは、自動制御(automatic)ではなく、自律制御(autonomic)という言葉が象徴している。

 かくして、IBMはオートノミック・コンピューティングの研究、開発を推進し、少しずつだが実際の製品に組み込み始めている。それがまだ過渡期であることは否めないが、近い将来、それがコンピューティング環境の当たり前の姿としてわれわれが知らずに認識してい可能性を否定することはできない。

(編集局 谷古宇浩司)

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